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冬至は影に注目! 建物の高さや影を決める日影規制とは?

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12月22日は冬至。カボチャを食べて柚子湯に入るのもいいのだが、今年はぜひ太陽の動きと影の長さにも注目してほしい。建物の高さをも左右する「冬至の日の影」にスポットを当ててみよう。
「影」が一年で一番自己主張する日、それが冬至

冬至の日は、年間を通じて太陽の南中高度が一番低くなる日、イコール影の長さが一番長くなる日でもある。南中高度とは、太陽が真南にきて一番高く上がったときの地平線との角度のことで、緯度によっても違うものだ。夏至や冬至などの南中高度は以下の計算式で算出できる。夏至の太陽の南中高度(度) = 90 - (その場所の緯度) + 23.4
冬至の太陽の南中高度(度) = 90 - (その場所の緯度) - 23.4
春分・秋分の太陽の南中高度(度)=90 - (その場所の緯度)

例えば、高さ300mと日本一を誇る超高層ビル「あべのハルカス」は北緯34.6度に位置するので、冬至の南中高度は90—34.6—23.4=32.0度。その時、建物がつくり出す影の長さは約480mにもなる。夏至の際には約59mなので8倍以上にも影が伸びる計算だ。

この一番影が長いときをもとに、建築物の高さを制限するのが建築基準法による「日影規制」。「冬至の日の影」が重要な役割を果たすのだ。

【画像1】「あべのハルカス」の場合の、夏至の日と冬至の日の影の違い(筆者作成)

【画像2】「あべのハルカス」一帯は商業地域。また特区制度による容積率緩和を受けている(通常容積率800%のところが1600%)(写真撮影:井村幸治)住宅エリアにおける建物の高さを規制する「日影規制」

通風、採光、日照などの環境を確保するために建築物の高さを制限する建築基準法の規定には「道路斜線制限」「隣地斜線制限」「日影規制」などがある。「日影規制」は、住宅地における中高層建築物の高さを規制して、周辺にできる日影の時間を一定限度以下に制限しようというもの。「隣に高い建物ができたから、一日中日が差し込まなくなった……」という事態を防ぐことが目的だ。

例えば大阪市の場合では、「第1種住居地域で指定容積率が200%の場合、冬至の日の午前8時から午後2時までの間に、地面から高さ4mの場所で、敷地境界線から5mをこえ10m以内の範囲には、5時間以上日影となる部分を生じさせてはならない」といったもの。

【画像3】(左)12月初旬、あべのハルカスがつくりだす影。周囲には住居地域もあり、タワーマンションもすっぽりと影に隠れる時間もあるが、影の移動スピードは意外と早く日影規制の対象とはならない。(右)夏至に近い6月下旬の「あべのハルカス」。太陽の位置が高い(写真撮影:井村幸治)

日影時間の制限は3つの幅があり、季候・風土や土地利用状況を考慮して自治体ごとに定められている。筆者の住む吹田市と大阪市でも微妙に違っている。また、商業地域、工業地域、工業専用地域では日影規制の適用はされない。ただし、影が用途地域を越えて規制対象区域にまで伸びる建物は規制の対象となる。商業地域に建つ「あべのハルカス」も規制対象ではあるが、日影規制をクリアしているということだ。

【画像4】大阪市における日影規制の詳細(画像出典:大阪市「建築基準法の手引きパンフレット8-12」より)マンション建設の際には「日影規制」をクリアしているはず

もし、近隣で工事があり「どんな配置で、何mの建物ができるか?」と気になったなら、自治体の管轄部署で「建築計画概要書」を閲覧するといいだろう。住宅地に新しくマンションが建設される、といったケースでは当然「日影規制」の条件をクリアしているはずだ。ただ、規制は単一の建物に対するものなので、複数の建物でつくられる日影には対処できないなど、日影規制だけでは日照を十分に確保できないという声もあるようだ。

筆者の住まいのすぐそばでもマンション建設が始まるが、「冬至日時刻日影図」という図面をもとに周辺住民への建設説明会が行われた。日影規制はクリアしているのだが、建物が完成すると夏至のころに地平線から昇る太陽、日の出の姿を見ることはできなくなりそうだ。残念だが致し方ない……。

太陽の動きや影のでき方なんて、普段はあまり気に留めることがないかもしれない。しかし、自分の家に、日差しがどれくらいあたるのかは、誰しも気になるだろう。冬至に近いこの時期、太陽の動きにも目を向けてみることをお勧めする。●参考
・大阪市における日影規制の詳細
・大阪市 地図情報サイト「マップナビおおさか」
元記事URL http://suumo.jp/journal/2015/12/22/103200/

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