実は日本育ちだった! クリスマスの定番、ショートケーキの誕生秘話
もうすぐやってくるクリスマスの夜は、ショートケーキでお祝いするという家庭が多いのでは? ふわふわのスポンジ生地に生クリームをたっぷり塗って、イチゴを乗せてデコレーション。「ケーキといえばショートケーキ」というくらい、日本人にとってショートケーキは定番にして王道の国民的スイーツです。
ところでこのショートケーキ、実は欧米にはない、日本オリジナルに発展したケーキだということを知っていますか?
欧米の“shortcake”はスコーンのようなお菓子
アメリカやイギリスにも「ショートケーキ(shortcake)」と呼ばれるお菓子はありますが、これは日本人が思い描くショートケーキとは別もの。英語圏の「ショートケーク」はそもそもスポンジ生地ではなく、パンとクッキーの中間のような生地でイチゴと生クリームを挟んだもの。形はスコーンに似ていますが、それより軽くあっさりした味わいが特徴です。
ところが、この素朴な「ショートケーク」は、洋菓子=高級品という感覚を持つ大正時代の日本人の舌にはどうやら合わなかったのだとか。さらに、やわらかい食べものを好むという日本人ならではの嗜好、日本が世界有数のイチゴの生産国だという背景もあいまって、イチゴと生クリームという要素は残したまま、土台をスポンジケーキに置き換えた日本オリジナルの「ショートケーキ」が誕生したといわれています。
発案者については諸説ありますが、大正11年にペコちゃんでおなじみ「不二家」の職人が考案、販売したとされる説が有力。ただ、当然のことながら要冷蔵のお菓子であるため、実際に普及するようになったのは冷蔵設備が一般家庭に整う昭和30年代以降でした。
ショートケーキに似ているフレジエって?
日本オリジナルのケーキとあって、正統フランス菓子を標榜する店ではショートケーキを置かないところも少なくありません。そうはいってもケーキ=ショートケーキという概念を持つ人がまだまだ大多数のため、フランス版ショートケーキともいうべき「フレジエ」を置くことでお客さんのニーズに対応している店も数多くあります。
ちなみにフレジエとは、アーモンドスポンジの間にバタークリームとカスタードクリームを合わせたものとイチゴを挟んだケーキのこと。ピンク色のマジパンで表面を覆った見た目にも愛らしいケーキです。ショートケーキとフレジエを食べ比べてみると、それぞれの国でスイーツに求める価値観の違いが見えてくるかもしれませんね。
参考文献:『おいしいスイーツの事典』成美堂出版 『お菓子の由来物語』猫井登
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