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うどんかるた発売延期の裏 伊勢うどん大使がうどん県を取材

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 香川県が発売予定をしていた「うどんかるた」が、1本の匿名電話により発売延期になった。なにが起きたのか、どうなるのか。伊勢うどん大使を務める大人力コラムニスト・石原壮一郎氏が県に取材した。

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 あくまで一般論ですが、どんなことにだって、イチャモンをつけようと思えばつけられます。受け止め方や感じ方は人それぞれですから、何をするにしても、全員がもろ手を挙げて賛成することはないでしょう。少数意見を尊重することは大切ですけど、少数意見に振り回され過ぎるのは、多数意見をないがしろにすることでもあります。

 それはさておき、香川県の「うどんかるた」が、いきなり発売延期になってしまいました。このかるたは、県が年明けうどんの習慣やさぬきうどんの魅力をPRするために企画したもので、全国から読み句を募集。県と有識者で「あ」から「ん」まで全46作品を選定し、12月12日に「全国年明けうどん大会2015inさぬき」の会場で発表されました。

 15日から発売がスタートする予定で、全国のうどんファンは胸を躍らせてその日を待ちかまえていたものです。「今年の正月は、うどんかるたで孫と遊びたいものじゃ」と楽しみにしていたおじいちゃんおばあちゃんもいれば、「うどんかるたで彼女とキャッキャウフフするぞー」と期待をふくらませていたヤングもいたことでしょう。

 ところが、発売前日の14日に、県に1本の電話が入ります。電話の向こうの匿名の誰かは、「つ」の読み句の「強いコシ 色白太目 まるで妻」に対して「良いイメージで受け取らない人もいるのでは」と指摘。自分がどう思ったかではなく、他人の受け取り方を心配しているところがおせっかいだし姑息ですけど、そういう言い方をするのも匿名の指摘の特徴です。

 この句の何がいけないのでしょう。妻に対する深い愛情や、人生を肯定的に受け入れている清々しさが感じられて、とてもあたたかくて幸せな気持ちになれます。電話の主は理由をはっきり述べてはいないようですが、もし「色白太目」を問題視しているとしたら、むしろ色白太目な人に失礼だし、うどん全体に対する冒涜であり挑戦でもあります。

 はばかりながら伊勢うどん大使を務める私としても、うどん仲間として黙ってはいられません。さっそく香川県ことうどん県の県産品振興課に電話して、事の次第や今後の見通しを聞いてみました。

私「このかるたは、このまま幻になってしまうんですか?」

担当者「いえいえ、いったん話し合う時間を取るための延期であって、発売中止ではありません。あらためて作者や選者のご意見を伺って、そのまま発売するか『つ』の札を差し換えるか、なるべく早急に結論を出す予定です」

私「それはよかったです。でも、たった一本の電話で発売を延期するなんて、さぬきうどんさんらしからぬ弱ゴシな対応じゃないでしょうか?」

担当者「けっして、そんなことはありません。強い対応と無謀な対応は違いますので。電話をいただいた段階では、この読み句に疑問を覚える方が少数なのか多数なのか、すぐには判断できませんでした。私どもも、うどんが女性から敵視されるのは本意ではありません。もう一回よくもんで、さらにしっかりした状態で販売できればと思った次第です」

私「弱ゴシなわけではなく、さらにコシを強くするための対応だったと」

担当者「ご存じのとおり、うどんは何度も踏んだりこねたりすることで、生地がミュルフィーユ状になってどんどん強くなっていきます。いや、話がそれてすいません」

私「安心して下さい。それてないと思います。作者の方はどういうつもりでこの句をお作りになったんですか?」

担当者「愛する妻を思う句だとおっしゃってました。選者のみなさんも、そういう気持ちが感じられるいい句だということでお選びになったと聞いています」

私「ところで、伊勢うどん大使の私としては、さぬきうどんさんが『太目』を強調なさることに対しては、釈然としない気持ちがあるのですが。『強いコシ』はいいとして」

担当者「……貴重なご意見、ありがとうございます」

 今回の発売延期騒動に対しては、毒蝮三太夫さんやブラックマヨネーズの吉田敬さんらも、疑問や怒りの声をあげています。仮にこのまま発売中止になったら、ますますクレーム大国、イチャモン天国になってしまうのではないかと懸念しましたが、うどん県はけっしてコシ砕けになっているわけではありませんでした。

 12月18日の時点ではまだ結論は出ていませんが、「年内には決めたい」とのこと。結論が出て準備が整ったら、いったん中止になっている「年明けうどん」の特設サイトからの「うどんかるた」の無料ダウンロードや商品の通信販売も再開されて、県内のうどん店や空港での販売もスタートする予定です。

 関係者のみなさんには、いつも食べているさぬきうどんで培った粘りゴシで、今回の騒動で注目が集まったことを逆手にとって、かるたの魅力や年明けうどんの習慣をさらに(う)どんどんアピールしてもらいましょう。がんばれうどん県! 負けるなうどん県!


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