専業主婦だから「賠償金ナシ」? 美容トラブルで驚きの事例「傷があっても家事には関係ないから」

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専業主婦だから「賠償金ナシ」? 美容トラブルで驚きの事例「傷があっても家事には関係ないから」

あなたは専業主婦だから、賠償金は出ません――。そう言われたら、どんな気持ちがするでしょうか。12月17日のフジテレビ「ノンストップ!」が紹介した美容トラブルの事例で、「主婦だから救われない」という聞き捨てならない言葉が飛び出しました。

ムダ毛の処理が面倒になった45歳の主婦Kさんは、思い切って脱毛しようと美容クリニックに電話しました。すると「今日までの特別キャンペーンで、今日契約すれば半額になる」と言われため、腕と脚コース5回を10万円で契約しました。(文:篠原みつき)
芸能人や接客業でなければ「逸失利益」は認められにくい

施術当日は白衣を着た中年男性が「先生、お願いします」と言われていたため、Kさんは信用して任せてしまいました。施術は激痛が伴うものでしたが、脱毛効果を期待し我慢。ところが帰宅したKさんの腕には、まだら状に真っ赤なヤケド痕が残ってしまったのです。

クリニックに電話すると「1か月ほどで消えてなくなります」との説明。しかし1か月経っても状態は変わらず、痕を隠すために常に長袖を着る生活に。そんなある日、Kさんは施術を受けたクリニックの社長らが逮捕されたことを新聞で知ります。

そのクリニックでは、資格のないスタッフが医療レーザー脱毛を行っていたのです。ショックを受けたKさんは、治療費や慰謝料を請求しようと急いで弁護士に相談しましたが、どこも「訴えを起こしても望むような結果にはならない」という回答だったそうです。

医学博士でもある石黒真理子弁護士によると、専業主婦が美容・医療事故に遭った場合、後遺障害がなければ得られた「後遺障害逸失利益」は認められにくいとのこと。

「労働能力が減った分を金銭で賠償するということなので、芸能人のような容貌が重要な仕事の場合は認められるんですね。しかし専業主婦の場合は、傷があっても家事には関係ないだろうということで認められないんです」

「接客する可能性」が摘まれたことは否定できないのでは

接客サービス業や営業など人と関わる仕事では認められても、主に自宅内にいる主婦は認められないというのです。番組レギュラーの神田うのさんは眉をひそめ、MCの設楽統さんも「それちょっと、随分ですね。被害にあった人が全然守られてない」と驚いていました。

もともと美容裁判は賠償額が少ないこともあり、弁護士が「裁判を起こしても費用倒れになりますよ」と説明すると、泣く泣く諦める人がほとんどだそうです。

しかし主婦だからダメとは一体どんなものでしょう。いまは家事をしているけれど、これから人と関わる仕事をしようとしていたかもしれません。可能性が摘まれたとも言えるわけで、法律の規定とはそういうものだと分かっていても釈然とはしません。

これでは業者をますますつけ上がらせるばかりではないでしょうか。巧みな言い回しでダイエットサプリなどを売る美容広告についても、違法性があっても行政指導されるだけなので業者側は強気です。
罰則は軽く、再犯を繰り返す業者も

さらにトラブルの因果関係の証明は消費者側にあるため、立証が難しい。罰則も「3年以下の懲役、または300万円以下の罰金」と比較的軽く、1年間に3億円稼いでいた場合、罰金を払って名前を変えて再犯を繰り返す者もいるそうです。

石黒弁護士は、裁判をせず示談などの解決を支援する「医療ADR」を紹介しました。各地の弁護士会は医療紛争解決センターを設けており、相談に乗ってもらえるとのこと。

裁判より費用も時間も抑えられるということなので、日弁連のウェブサイトもありますので、トラブルに遭ってしまった人は泣き寝入りせず相談してみてはいかがでしょうか。

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