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今週の永田町(2015.12.9~17)

【与党、税制改正大綱を決定】

 今週16日、自民党と公明党は、2016年度与党税制改正大綱を決定した。当初、10日にもとりまとめて決定する方針だったが、2017年4月の消費税率10%への引き上げに伴って負担緩和策として導入する軽減税率の制度設計をめぐって、自民党と公明党との間で調整が難航し、ずれ込む結果となった。

経済再生や企業の国際競争力向上、景気の底上げにつながる企業の投資拡大と賃上げを後押しするため、法人実効税率(国・地方)のさらなる引き下げについては、2016年度に29.97%、2018年度に29.74%まで引き下げる。大綱では「財源なき減税を重ねることは国民の理解をえられない」と明記したうえで、税率引き下げの穴埋め財源として給与総額など企業規模に応じて課税する「外形標準課税」(地方税)の拡大や、欠損金繰り越し控除の縮小一部前倒しなどで捻出するとした。外形標準課税の拡大に伴い、資本金が数億円レベルの中堅企業に対しては2016年度から3年間、法人事業税の負担額が増えた分から25~75%を軽減する措置を設ける。このほか、中小企業の設備投資を促すため、新たに購入した160万円以上の機械や装置などにかかる固定資産税を半分にする時限措置(3年間)も設けるとした。

 

消費税率引き上げに伴って地方税の自動車取得税が廃止されることが決まっており、それに代わる新たな自動車税制として購入時の自動車税・軽自動車税を拡充し、上乗せ分を低燃費車ほど段階的に税率が低くなる「環境性能割」を導入する。景気減速を回避する観点や国内販売落ち込みを懸念する自動車業界の懸念を払拭する観点から、全体として約200億円規模の減税となる見通しだ。税率は、達成すべき環境性能として国が定めた「2020年度燃費基準」を踏まえ、自家用普通車が購入額の3%を上限に4段階、営業車が上限2%で4段階、軽自動車が上限2%で2段階とした。燃費が良いハイブリッド車、電気自動車、燃料電池車、クリーンディーゼル車などがほぼ非課税となる。

また、医療費削減につなげるために医療用医薬品から市販薬に転用した「スイッチOTC医薬品」の購入額が年間計1.2万円超になれば、上回った金額分の所得控除(控除限度額10万円)、3世代同居のための改修費の一部を差し引く所得控除(控除限度額25万円)、子・孫への贈与が非課税となる措置の対象を出産関連まで拡大、公共交通機関の定期券代や有料道路の料金に応じた通勤手当の所得税非課税限度額を月10万円から月15万円へ引き上げなどの減税措置が並んだ。

 

このほか、地方創生の一環として地方自治体への寄付にあたり実質的な持ち出しを寄付額の約4割に軽減する「企業版ふるさと納税」を導入するほか、地球温暖化対策として森林整備を進めるため「森林環境税」(国税)の創設など新たなしくみを検討するとした。TPPの農業対策の一環として農地集約を促進するため、農地中間管理機構を通じて農地を長期間貸し出す農家に対し、固定資産税を最大5年間半減する優遇措置を導入するほか、再生可能な耕作放棄地に対する固定資産税を1.8倍に増やした。

 

 

【軽減税率、酒類・外食のぞく飲食料品全般に】

最大焦点となっていた消費税の軽減税率をめぐっては、事務負担が増える事業者への配慮や財源確保の観点から、2017年4月の軽減税率スタート時には対象品目を生鮮食品(年間軽減額3400億円)に絞り、段階的に加工食品までひろげる案を主張してきた自民党が、国民の痛税感の緩和や分かりやすさ、景気対策になることなどを重視して軽減税率の導入当初から可能な限り幅ひろい対象品目とするよう求める公明党の要求を受け入れた。飲食料品内で線引きを行うと軽減税率の対象か否かで消費者・事業者が混乱することが懸念されるほか、来年夏に参院選が控えているなかで公明党との選挙協力を重視する官邸側の意向もあって、自民党が譲歩するかたちとなったようだ。

これにより、適用税率を8%(国・地方合計)に据え置き、対象品目は「食品表示基準に規定する生鮮食品および加工食品(酒類・外食のぞく)」となった。対象品目の定め方について、「飲食料品の消費実態」「低所得者対策としての有効性」「事業者の事務負担」を挙げて、総合的に勘案したと説明している。対象外となる外食は、食品を調理する飲食店や喫茶店の衛生面を規制して危害の発生を防止する食品衛生法上の飲食店営業者が、テーブルや椅子など飲食設備を設置した場所での飲食サービスの提供を基準とした。これにより、店内やフードコートなどでの飲食は外食に、ファストフードのテイクアウトや出前・宅配などは外食にあたらないとして軽減税率を適用する。また、コンビニのイートインコーナーでは、持ち帰り可能な弁当・惣菜などは軽減税率が適用されるが、返却が必要なトレー・容器に入れた食品は外食扱いとなる。ケータリングや出張料理も外食にあたるとした。

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