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“がん治療”偏った考え方に陥らないようにするには?

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 今年9月、肝内胆管がんで亡くなった女優の川島なお美さんは、2013年8月に健康診断で腫瘍が見つかり、翌年1月に手術を受けたものの、その後は外科手術や抗がん剤治療を拒否。高濃度ビタミンC濃縮点滴や温熱療法といった代替医療や、金の棒を患部にあててさする「ごしんじょう療法」といった民間療法に取り組んでいたという。
 しかし、代替医療や民間療法は効果を科学的に証明する「エビデンス」が十分ではなく、その治療を選択することに対して懐疑的な意見も飛び交っている。

 書店の「家庭の医学」の棚にいくと、さまざまな人がさまざまな立場から書かれた本が並んでおり、何が一体正しく、何が一体正しくないのか悩ましく感じることもある。

 医師といっても、その専門領域は様々だ。
 例えば、アスコムの『医者は自分や家族ががんになったとき、どんな治療をするのか』は、西洋医療と代替医療を組み合わせた“統合医療”の実践を進める川嶋朗氏が執筆しており、「どんな治療法であっても、それによって健康を損なうリスクがなく、また経済的に余裕があるなら、どんどん試してみてよいのではないか」という私見を表明している。
 川嶋氏は東洋医学や自然医療を専門としている医者であり、その視点に基づいて本が書かれている。そのため、代替医療についての記述は深く、本書では「手を出してはいけない代替医療」についても触れられている。

 がん治療専門医の大場大氏は『東大病院を辞めたから言える「がん」の話』(PHP研究所/刊)の中で、「標準治療」を最善の治療とした上で、「先端医療」や「先進医療」が持つ「ハイグレードな治療」なイメージに対して警鐘を鳴らす。
 がん治療における「標準治療」とは「抗がん剤治療」「放射能治療」「外科手術」のことで、どの先進国であっても通用する推奨レベルの最も高い治療を指す。ところがそうした「標準治療」を否定する主張をする人たちもいる。
 大場氏は、特に“がんもどき理論”を提唱する近藤誠氏の「がん放置療法」に対して厳しい批判を加えながら、メディアを通して「がん治療」が歪んだ形で一般大衆に広まっていることを指摘する。

 「がんの治療」は生命にそのまま直結することであり、どうしても情報はセンセーショナルに広まってしまいがちだ。そこに医療不信が覆いかぶさり、世間はネガティブな情報に敏感になってしまう。
 長尾和宏氏は『抗がん剤が効く人、効かない人』(PHP研究所)の中で、かつて抗がん剤が大嫌いだったが、ここ数年いい薬が開発され、「もしもがんになって、抗がん剤が効くタイプであれば受けてみよう」と思うようになったと述べている。つまり、自分が触れている情報が一体いつのものなのかという視点も必要になってくるのだ。

 「がん治療」にまつわる様々な情報は、私たちの生活の至るところに転がっている。しかし、それぞれ主張することが違うため、どの医師の言うことを信じればいいのか分からず、詐欺まがいの治療法をすすめる人につけこまれる可能性もある。
 しかし、いかなる情報をあさっても「確実」「絶対」はない。メディアが使う「効く」という言葉も、必ずしもそれはイコールとして「治る」ではないだろう。では、そういった不確定な情報ばかりの中でどう判断すればいいのか?

 重要なことは、自分の治療法について医師からじっくり説明を受けた上で、納得のいく決断をすることではないだろうか。セカンドオピニオンを仰ぎつつ、自分にとって適切な方法を選ぶ。戦うのは患者本人なのだから。

 人間はセンセーショナルな言葉に弱い。それに負けないようになるためには、がんについての正しいリテラシーを持つことが大事だろう。さまざまな主張や情報を目に通しながら、納得のいく結論を導き出すことが必要だ。
(新刊JP編集部)


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