5つのマンション住民で区を動かす! 江東区・有明連合軍

access_time create folder生活・趣味

5つのマンション住民で区を動かす! 江東区・有明連合軍

マンションの立地は変えられない。しかし“立地の価値は変えられる”。そんな取り組みを同じ地域の5つのマンションが合同で実施して成果が上がっている例がある。東京都江東区・有明北地区にある「有明マンション連合自治会」だ。代表である星川太輔氏に話を伺った。【連載】マンション管理の今とこれから
マンションは年齢も職業も考え方も異なる多様な人々が暮らす場。住民の管理に関わる意識の低さ、住民間トラブル、修繕積立金の不足など、マンション管理の維持・運営には苦労や問題がつきまとう。一方、自分たちのマンションをより快適にすべく、理事会に積極的に参加する人も増えてきた。マンション管理の今とこれからについて、さまざまな事例や考え方を紹介していきます。バス便の経路変更や増便、信号機の変更など交通インフラを充実

『有明マンション連合自治会』は、有明北地区内に存在する5つのタワーマンション(オリゾンマーレ/ガレリアグランデ/ブリリアマーレ有明/シティータワー有明/ブリリア有明スカイタワー)の管理組合の連合体だ。代表の星川氏はブリリアマーレ有明の理事長でもある。

「有明地区は新しく開発された住宅地で、もともと町内会がありませんでした。街づくりの声を上げたくても1つのマンションだけでは上手く伝わらない。そこで地域のマンションで話し合うことにしたのがスタートです」

その成果はまずインフラの整備で現れた。全住民の声として江東区と東京都交通局にバス増便の要望書を提出。東京駅行のバスを、「土日のみ1本/時」程度だったのが「土日3本/時、平日4本/時」と約15倍に増便した。「有明は直線距離では東京駅や銀座に近いのに、交通インフラでは回り道になっていました。今では格段にアクセスが良くなり、朝夕だけではなく昼間も利用されています」とのこと。

加えて子どもの死亡事故をきっかけに、一部の信号を「歩車分離方式」といって車両と歩行者が交差しないような信号に変更した。「他の信号についても歩行者が横断しているときにクルマが来ないようにできないか協議中です。安全に暮らせることも街の魅力の1つです」

「2カ月に1回を目安として評議会を開催しています。管理組合がベースですので、いわゆる自治会とも多少異なりますが、実質的に有明住民を代表して、定期的に東京都や江東区、企業などへ情報収集や申し入れを行っています。実はマンション単独で行政や企業へ申し入れをしても、あまり効果がありません。個別ではなく複数のマンションが連合して『有明住民7600名の声』として申し入れをすると交渉力も出てきます」。今後は公園の設置なども働きかけていて、実現に向けて動いているそうだ。マンション対抗運動会など地域の親睦を醸成

また企業や学校などの約20団体の協賛を得た有明運動会も開催した。「有明地区ではお祭り等がなく、住民みんなで参加できるイベントが全くない状況でした。防災の観点でもつながりがないのは不安があり、親睦を高める必要がありました。そのため2014年からマンション対抗運動会をスタートしました」。マンションの住民同士の連帯感も高まるうえに、他のマンションにも知人ができ、地域全体の親睦が深まった。参加人数も初回は約400人、今年はさらに盛況で約700人も集まったそうだ。

【画像1】マンション対抗運動会の様子(有明シティイベントプロジェクトfacebookページより)

【画像1】マンション対抗運動会の様子(有明シティイベントプロジェクトfacebookページより)

大人向けのイベントとしてはゴルフコンペなども開催されている。「バスをチャーターして出かけるので、各自がクルマを運転する必要がなく、好評のようです」。子ども中心のイベントが多い中で、子どもがいない世帯でも参加しやすい取り組みが用意されているのも新しい。目的は有明地区の街としての価値の向上

当初は「意見調整によって有明地区を住みよい街にしていくこと」が大きな目的だったが、今は「行政へ積極的に働きかけ、街づくりを主体的に行うこと」へとより進化している。「湾岸地区の中でも有明にはオリンピック・パラリンピックの競技場が4つできる予定です。世界的に注目される千載一遇の機会ですから、2020年以降の街づくりをどうするか、行政だけでなく住民や地域企業、学校など一体となって考えていきたいですね」

星川氏たちの活動を見ていると、単なる管理組合の運営や住民運動を超えて、企業の経営やコンサルタントの仕事を思わせる。その成果はマンション単体の資産価値にとどまらず、地域全体の価値の底上げを目指しているようだ。
「マンションを購入する前は、他の地域や他の物件を比較検討していたのに、購入後は自分のマンションの中だけで考えるようになってしまう。常に地域や物件の価値を客観的に見て、維持・向上させることが、自分の資産も守ることにつながると思います」という言葉が特に印象に残った。

以前、別の機会にブリリアマーレ有明を訪問した際、有明の他のマンションの理事をご紹介いただいた。旧来の友人のように、最上階のラウンジでワインを飲みながら各マンションの理事が集う姿に驚いた記憶がある。地味で面倒だと思われていた管理組合運営から楽しくやりがいのある管理組合運営へ、活動が変わってきていると感じた。
元記事URL http://suumo.jp/journal/2015/12/15/102828/

【住まいに関する関連記事】
タワーマンション管理組合のあくなき挑戦・カフェレストラン編
「2013年最も売れたマンション」 入居者4000人のコミュニティづくり
湾岸タワーマンションに、「町内会」的コミュニティが生まれたワケ
マンションの防災力を格段に高める、意外に身近な「7つ道具」とは
中古住宅の新潮流[3] マンションの修繕に合わせて室内も見直そう

住まいに関するコラムをもっと読む SUUMOジャーナル

  1. HOME
  2. 生活・趣味
  3. 5つのマンション住民で区を動かす! 江東区・有明連合軍
access_time create folder生活・趣味

SUUMOジャーナル

~まだ見ぬ暮らしをみつけよう~。 SUUMOジャーナルは、住まい・暮らしに関する記事&ニュースサイトです。家を買う・借りる・リフォームに関する最新トレンドや、生活を快適にするコツ、調査・ランキング情報、住まい実例、これからの暮らしのヒントなどをお届けします。

ウェブサイト: http://suumo.jp/journal/

TwitterID: suumo_journal

  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。