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迷惑な賃借人に退去してもらうことはできる?

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Q.

 四階建てのビルをテナントとして貸しており、今回相談の対象者は、三階と四階をテナントとして使用しています。この対象者がクレーマーで困っています。不景気なので家賃を下げろ、環境を良くしろなど、こと細かくクレームをつけてきます。退去にかかる費用を支払ってもいいので退去してもらいたいのですが、方策はありませんか?

(60代:男性)

A.

 賃借人がクレーマーだということですが、家賃の減額を求めたり(世間相場との乖離があれば)、賃貸物件をめぐっての環境整備を求めるのは、その程度によっては賃借人の権利行使の範囲内であるともいえます。要求回数や要求態度によってはクレーマーだということもできるでしょう。

 そこで、賃借人がクレーマーであることを前提に説明をします。
 借地借家法28条は、正当の事由がなければ賃貸借の解約をすることができない旨を規定し、正当事由を列挙しています。
 もちろん、同条列挙以外の正当事由を排除するものではないのですが、賃借人がクレーマーであることは正当事由の範囲内にあるとは思えません。
 立退料の提供は、正当事由の一つとして同条に規定されていますが、あくまでも正当事由を補完するものであるとの考えが主流です。

 したがって、立退料を提供したとしても、賃借人が明渡しを拒絶する場合には、非常に難しいと考えられます。また、賃借人がテナントとして物件を利用していることから、営業損失なども検討する必要性があり、少なくない金額が必要となるでしょう。

 悪質な賃借人についての地裁での古い事例があります。
 しかし、この事例の賃借人は、明渡しを求めた家主やその家族に対して、暴言を吐いたり家屋内を浸水させるなどの嫌がらせを行い、簡易裁判所での和解にも出席しませんでした。
 本来は正当事由がない場合だったのですが、家主の移転先の提供があったこと・和解のための簡易裁判所の努力があったにもかかわらず賃借人は出席しなかったこと・移転先を探す努力もしていないことを理由に正当事由があるとされました(地裁段階で確定しており、他の裁判所も同様の判断をするかは不明です)。

 これは、逆にいえば、ご相談のクレームだけでは、正当事由がないということになります。
 以上からすれば、退去してもらう方策は、現段階では見当たらないというしかありません。

元記事

迷惑な賃借人に退去してもらうことはできる?

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