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公務執行妨害

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公務執行妨害

 まず、12月1日に掲載された「尋問」で「供出調書」とあったが、私のパソコン打ち間違いで、正しくは「供述調書」であるので、この場を借りて訂正する。(編集部注:当該箇所については修正済みです)

 新聞に公務執行妨害で逮捕された人の記事が出ていたことで、思い出したことがある。まだ、弁護士になって1年が経過するかどうかという時期だったような記憶である。

 当番弁護士に当たっていて、事務所で待機していると、江戸川区方面で公務執行妨害罪により逮捕された被疑者からの要請が入った。警察署留置に連絡をとると、その日にちょうど送検されており、警察署に戻ってくるのは、おそらく6時30分ころになるのではないかということであった。
 警察署に帰ってきてすぐに食事となるだろうから、7時ころに接見に行きたい旨を告げておいた。

 7時ころに警察署に到着すると、ちょうど夕食が終わった時間で、すぐに接見することができた。当番弁護士制度の内容を説明し、公務執行妨害罪で逮捕されたということであるから、さっそくその経緯や内容を確認していく。本人の言い分は次のとおりであった。

 早朝に、近所のパチンコ屋に行こうと、9時ころに自転車で家を出たが、途中で自転車に乗った警察が寄ってきて、名前だとか、どこに行くのかなどの職務質問に遭った。
 早くパチンコ屋に行って、開店を待ちたかったので、ろくな返事をしなかった。警察官が停まれとも言ったが、無視してそのまま走っていったところ、警察官が追いかけてきて、自転車が並走するような形になった。
 警察官は、自分の自転車を停めようとして、並走したまま足で自分の足を蹴るような恰好になり、そのはずみで警察官は自転車共々倒れ、そのまますぐに、公務執行妨害罪ということで現行犯逮捕された、というものであった。

 その言い分を、そのまま信じたわけではないが、彼の言い分が嘘だと断定することもできない。
 既に当番弁護士制度の説明はしていたから、委任する意向があるかどうかを確認したところ、そのつもりはないと言う。今後の刑事手続きやら国選弁護人のことを聞きたかったそうだ。

 その日はそれで接見は終了したが、私もまだ若かったせいもあり、まったくの独断及びボランティアで、事件現場を、同じような時刻に見てみようと思い、その翌朝に、事件現場に赴いた。
 いくつか、既に開店している商店もあり、その人たちが事件を目撃していないかも確かめた。その結果、二人の人から、「後ろから警察官が追いかけていたが、あんなに並走したら、どちらかが倒れると思った。案の定警察官が倒れたけれども、並走した警察官も悪いし、男の人が自転車を倒したようには見えなかった」との言質をとった。
 さらに、何かあれば、証言してもいいですよとの承諾まで得ることができた。

 さて、どうしたものか。検察官による勾留請求は、その日になされることは間違いない。その請求前に、検察官に会って事情を説明したいのだが、とりあえず、再度接見に行き、事情を説明して弁護人選任届をもらう必要があった。
 さらに、検察庁に電話をして、担当検察官を教えてもらい、事情を簡単に説明した上で、弁護人選任届が入手できればとの条件付きで検察庁に赴くことを申し伝えた。

 ところが、接見をした彼は、私が受任することを拒否した。その理由は、金銭がないからだという。私も乗りかかった船で、ボランティアで構わないと説得をしたのだが、「それは先生に申し訳ない。裁判で明らかにするからいい」と言う。
 私は、まったく考えていなかったのだが、「裁判になって無罪となった方が、刑事補償金入るから」とも言う。それを聞いて絶句状態となった。

 接見を終了して、再度検察官に電話をして、弁護人選任届が入手できなかったことを伝えた。すると、その検察官は、弁護人選任届がなくても、いろいろと事情を聴きたいので、時間があればすぐに検察庁に来てくれないかと言う。要請に従って、検察官と面談をしたが、目撃者の目撃内容とその氏名を伝え、私の仕事は終了した。

 その日の夕方、検察官から、勾留請求はせずに、在宅で事件を解明することにしたとの聯絡が入った。
 その後、どうなったかは知らないが、少なくとも、在宅となったことで、男の人は彼の思惑どおりに、刑事補償金を受領できなかったことだけは間違いない。

元記事

公務執行妨害

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