融資審査を確実にパスするための事業計画書の書き方

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融資審査を確実にパスするための事業計画書の書き方

 「起業後1年以内に倒産する会社が40%」という話を聞いたことがありますか?
これは「中小企業白書」(中小企業庁発行)に掲載されている統計ですが、会社を続けていくことがいかに難しいかが伝わってくるデータといえます。
 これまで多くの起業支援を行なってきた起業コンサルタント(R)の中野裕哲さんは「起業してから経営が安定するまでの最大の難所は、起業1〜2年目」だとして、創業間もない時期の事業運営の難しさを強調。著書『起業で使える事業計画書の作り方』(ソシム/刊)で、この時期を乗り切る上でのポイントとして「創業時に、できるだけたくさんの資金を調達すること」を挙げています。

 ただ、「できるだけたくさん資金を用意する」といっても、自己資金だけで創業資金のすべてを賄える人はほとんどいないはずで、起業を志す人の多くが補助金や融資を利用することになります。これらのサポートを希望通りに受けられるかどうかが創業計画の行く末に大きく影響するのは言うまでもありません。
 ここでは、特に「融資」に注目し、その審査をパスする秘訣を紹介します。

■創業融資の審査基準 4つのポイント
 創業に必要な資金を借りることができる「創業融資」を希望通りに受けることができるかは、審査時に提出する「事業計画書」にかかっています。ただ、起業についての知識がない素人が作成した場合、審査を通る確率は3割程度なのだとか。

 ただ、本書によれば、審査基準は以下の4つ。これらを意識して事業計画書を作成することで、審査に通りやすくなります。

・自己資金の割合
・経験、能力
・返済可能性
・資金使途

■自己資金の割合と貯め方がポイント
 まずは「自己資金の割合」について。いくら融資を受けるといっても、一定以上の自己資金がないと、融資審査には不利に働くといわれています。具体的には、創業資金のうち自己資金が1/3から1/2程度用意できていることがひとつの目安となっているそうです。
 しかし、自己資金の額は「多ければOK」というわけではなく、「どのようにその資金を蓄積したのか」も審査されます。そこで、事業計画書では、「毎月の給料が手取り30万円で、そのうちの10万円をコツコツと貯めてきた」「退職金として300万円受け取った」など、自己資金の「出所」を説明する必要があります。
 これを説明できなかったり、自己資金と言いつつ誰かから借りたお金だったりすると審査をパスできないそうです。

■経営者としての資質をアピールする
 審査する側にとっては「申込者がどれくらい経営に資質があるか」も気になるところです。たとえば、飲食業を起業したいなら、「飲食業界で店長の経験がある」といった職歴があれば有利に働きますし、人柄やお金の管理能力も問われます。
 事業計画書のなかでは、これらを単に「●●で×年働いた」というようなあっさりした記載ではなく、強調すべきところはしっかり強調して書くことが重要になります。
 
■地に足のついた売上計画を示す
 融資をする側にとって最大の関心事は「確実に返済してもらえるのか」ということ。そこで、事業計画書には、以下の式を満たすような予測損益を示すことが求められます。

 税引後利益+減価償却費>年間の返済額

 「税引後利益」とは、税金を納めた後に最終的に残った利益を指します。これは創業前ということもあり、甘く見積もられがちですが、当然、地に足の着いた予測を示さなければなりません。そこで中野さんは、事業計画書だけでなく、売上予測の根拠となるような、注文書のコピーや営業先のアタックリスト、価格表といった添付資料を付けることも薦めています。

■融資された資金の使い道を明示する
 中野さんは起業についてさまざまな相談を受けるなかで「どんな業種でも、借入限度額めいっぱいまで融資を受けられる」と勘違いしている人をよく見かけたといいます。「使う範囲内」でしか借りられないということを理解しないまま、事業計画書を作ってしまうケースが少なくないのです。
 そこで、事業計画書では、「なぜ、これだけの額が必要なのか」をきちんと示す必要があります。

 今回は「事業計画書の作り方」について取り上げましたが、本書にはそのより具体的な作成方法や創業融資の審査をパスするための心得、そして創業時の補助金や助成金の受け方なども解説されています。
 巻末には、実例集として、いくつかの事業計画書も掲載されています。これは、「創業」に特化した本書ならではのもの。創業融資を何としても勝ち取りたい起業家の方は参考にしてみると、いい結果に結びつくのではないでしょうか。
(新刊JP編集部)


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