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せっかく建てた家を小さくする? 「減築リフォーム」とは

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もともとの家をダウンサイジングする「減築」というリフォーム方法をご存じだろうか。10月末に表彰式が行われた「第32回 住まいのリフォームコンクール」でも、今年は減築の事例が何件か見られた。せっかくつくった部屋をなくしたり、家自体を小さくしたり、一見もったいなく感じるこの方法にはどんなメリットがあるのだろう? そこで、リフォームコンクールで国土交通大臣賞を受賞した福岡県の減築の事例を取材してきた。
ライフスタイルを見直し、部屋を「減らす」という選択

福岡県福岡市のとある一戸建て住宅。ここは、減築によって2階部分をなくし、家屋全体の耐震性もプラスしたリフォーム住宅だ。子どもが独立した夫婦とその母親の3人暮らし。「これからお母様の介護や施主様も年齢を重ねていかれることとリフォーム費用を抑えたいというご要望から、2階部分をなくした減築のプランをご提案しました」。そう話すのは住友不動産株式会社新築そっくりさん戸建事業部の小野勝広さんだ。

施工するまでに、全部壊して新築にする、家の形を変えずにリフォームするといったさまざまな計画が立てられたが、予算の都合や今後のライフスタイルを考えると、2階をなくす減築が一番しっくりきた。

【画像1】リフォーム前は、2階建てだが天井裏を含め3階建てほどにもなる大きな家。築35年でリフォームは今回が初めて。2005年の福岡県西方沖地震の影響で屋根が傾き、台風のときは家全体が大きく揺れ、老朽によって雨漏りもするという満身創痍の状態だった(画像提供:住友不動産株式会社)

【画像2】リフォーム後は2階部分をまるっと減築。左側の上部はロフトをつくり、収納場所として活用している(画像提供:住友不動産株式会社)

【図1】リフォーム前の玄関ホールやリビング・ダイニングはとても広く、リフォーム後はこれらの空間を少しずつ狭めて洋室にスペースをプラス(画像提供:住友不動産株式会社)荷物置き場がなくなる心配も、ロフトをつくって解決

しっくりきたといっても、せっかくつくった2階をなくすことや、間取りが減ることへの抵抗はなかったのだろうか。

「2階のバルコニーから星を眺める時間や長年使っていた寝室をなくす生活は、なかなか想像できませんでした。それに、荷物もたくさんあったから置き場がなくなる不安もありましたね」と取材時に対応してくれた施主の妻は振り返る。「でも、ロフトをつくって天窓もつけてもらったから、天体観察も収納場所もバッチリ。この機会に断捨離もして、処分した荷物は4トントラック2台分にもなりましたよ」

小野さんによると、減築を提案しても、部屋が減って荷物を置く場所がなくなることを心配する人が多いという。しかし、荷物を置くだけのために普段使わない部屋を残すことは、客観的に見ると、それこそ「もったいない」。ならば、使わない部屋は潔く減らし、収納専用のスペースを設ける。適材適所で有効に活用することにより、掃除や家屋全体のメンテナンスの手間や費用も抑えることができるのだ。

【画像3】天井に取り付けられたフックを外すとロフトへ続くハシゴが登場(写真撮影:岸本みなこ)

【画像4】ロフトはこれまであった2階のスペースを再活用でき、耐震補強の機能も果たす(写真撮影:岸本みなこ)デメリットはゼロ!? いいことだらけの減築

減築は「部屋を減らして家を小さくする」「2階をなくして平屋にする」といった事例が多い。耐震性の向上や空調効率の改善が一般的なメリットとしてあげられるが、ほかにどんなメリットがあるのだろうか。2階を減築して平屋にしたMさんのお宅の場合だと、このようなメリットがあげられる。●減築のメリット(小野さんと施主の妻による声)
・2階建てまたは外観を維持してリフォームする場合と比べ、低額の予算でできた(内装、屋根、外壁をリフォームすることが前提での比較)
・階段がないので間取りの自由度が上がった
・1階に天窓をつけることができ採光が良くなった
・重い掃除機を持って2階の掃除をしなくて良くなった(段差をなくしたのでロボット掃除機を活用できるようになって家事負担も軽減)
・住み慣れた家で動線もほぼ変えずにリフォームできたので引越し後の生活もスムーズ
・建物が低く小さくなったので外部のメンテナンス費が抑えられる

【画像5】家の中央にある主寝室。十分な大きさの腰窓をいくつも設けることができないため日当たりが心配されたが、天窓をつくることで明るい室内に。「1階の部屋にも天窓がつくれるのは2階減築のメリットです」と小野さん(写真:住友不動産のリフォーム)

【画像6】遮熱瓦を使ったことから夏でも室温が上がりにくく、エアコンの効き方が格段に改善された。風通しも良く、すべての部屋に風が循環する(写真:住友不動産のリフォーム)

例えば、これから家族が増えて子ども部屋を確保したい人やゲストルームを必要とする人には減築は向かないだろう。一方、同居家族が減った人や予算を抑えてリフォームしたい人にとって、今後「減築」はキーワードになる。

「リフォームを考えている方から『減築したい』という声はまだ少なく、こちらからご提案する機会が多いです。ただ、『予算を抑える=減築』ではなく、これからどんな住み方をするか、この部屋をどう使うかをきちんと評価してプランを練っていくことが大切だと考えています」と小野さんは話してくれた。

どんな家に住むかを考えるとき、否応なくこれからどう生きるかを考えさせられる。減築を選択する人は、自分に必要なものと不必要なものを見極めることができ、どことなく身軽に生きている印象を受ける。既存の家を活用するにも予算が足りない場合や好みの間取りにならないことから、妥協したまま住んだり、新築を選択したりする人も少なくない。減築は、自分らしい暮らしを手に入れるための新たな選択肢になるだろう。●取材協力
住友不動産株式会社
●参考
住まいのリフォームコンクール
元記事URL http://suumo.jp/journal/2015/12/09/102148/

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