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公営住宅が足りない! を空いている賃貸物件で解消

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若い世代を中心に所得が伸び悩むなか、茨城県ひたちなか市では、民間の賃貸住宅に入居した市民に助成金を出して、「公営住宅」並みの家賃で住める制度を導入している。その制度の概要や、取り組みの背景、課題などを紹介していこう。
上限2万円まで助成。民間の賃貸住宅が公営住宅代わりに

公営住宅は、都道府県などの自治体が整備した住まいのことで、低所得世帯を対象に、安価な住まいとして位置づけられてきた。ただ、公営住宅の整備には税金が必要となり、自治体の財政的な負担も大きいことから、近年では建設数が少なく「もっと公営住宅の拡充を!」といわれることも多い。

一方で、人口が減りはじめた地域では、空き家や賃貸住宅の空き物件が目立ち、大きな問題となっている。そこで、新規に住宅を建設するのではなく、既存の賃貸住宅に住んでもらい、家賃の一部を税金で助成、公営住宅並みの負担で住める制度をはじめたのが、茨城県ひたちなか市だ。2010(平成22)年度から、この「民間賃貸住宅家賃補助制度」を導入したという。

まず、制度の導入の背景と概要を聞いてみた。
「そもそものはじまりは、市営住宅の老朽化にありました。建物の用途廃止(行政が公共用として使用しなくなること)を決定するにあたり、新しく公営住宅を建設する、もしくは借り上げ賃貸を行うのでは、財政的な負担が大きい。そこで、比較的費用対効果が高いといわれる、家賃補助制度を導入したのです」と話すのはひたちなか市住宅課の担当者。あわせて、市内の賃貸住宅に空き物件が増えていたことから、ここに住んでもらって市街地を活性化したい、という政策的な狙いもあったという。

制度としては、ひたちなか市の市営住宅の入居基準を満たした人が、一定の要件を満たす賃貸住宅(家賃上限5万円、礼金なし、新耐震基準をクリアなど)に、入居するかたちに。補助額は家賃の最大1/2、上限が2万円となる。そのため、市営住宅の入居基準を満たした人が5万円の住まいを借りた場合、3万円の自己負担で住める計算になる。毎年20件が利用し、全国から視察多数。今後の課題は?

では、制度を実際に運用してみて、市民の反応や、地元への効果はあったのだろうか。

「制度開始初年度から、市報やひたちなか市のホームページなどで告知をしていますが、市民の方から多くの問い合わせがありました。実際には毎年20件、今までで累計120件の補助を実施しています。これにより、市営住宅の戸数不足を補えただけでなく、住宅に困っている低所得世帯の居住の安定をはかれたと思っています」と担当者。

5年間で、空き物件だった賃貸住宅120物件が市営住宅の代わりとして活用できていることを考えると、公営住宅不足を補う対策としては効果も大きそうだし、市街地の活性化にもつながっているといえそうだ。また、他の自治体からの問い合わせや視察依頼も多く、今年(平成27年度)には2つの自治体、2つの市議会が視察をしたそう。

最後に、今後の展開や課題についても聞いてみた。
「ひたちなか市では、今後も老朽化した市営住宅の用途廃止が決定しており、来年2016(平成28)年から4年間のあいだで、追加80件の補助を行う予定です。また、制度導入初期から補助を受けている人も、さらに5年ほど補助期間を延長し、入居者の居住の安定をはかっていきたいと思っています」というから、まずはこの制度、当面は継続する見通しだ。

さらに長期的な視点でひたちなか市全体を見ても、ゆるやかに人口は減少する見通しだという。つまり、住宅需要も読みにくく、新規の市営住宅建設は難しいという状況は、大きく変わりそうにない。そのため、「課題は、入居希望者の動向や景気動向の見極めでしょうか。補助件数を毎年、検討していく必要があると考えています」という。

もちろん、「自治体は公営住宅を整備すべきだ」という意見もあると思うが、どこの地方自治体も財政状況が芳しくない昨今では、現実的な方法として、空き家の活用+家賃補助制度は有効な手段のはず。大家さんにとっては借り主が見つかり、借り手は安価で住まいを確保できる。空き家に人が住めば、地域も活性する。こうした「幸せな循環」を生み出す取り組みに、これからも注目していきたい。●参考
ひたちなか市住宅課
元記事URL http://suumo.jp/journal/2015/12/08/102146/

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