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新宿・歌舞伎町で深夜だけオープンする調剤薬局 夜の世界の人間模様が味わい深い

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個人的な話で恐縮なんだけど、たまに新宿・歌舞伎町に出向くことがある。ただ、僕は方向音痴なので、いつもキャッチの兄ちゃんたちに財布の中身を狙われるんだけど「あ~ごめんプロントで待ち合わせだから」と言って誤魔化す。

そんな歌舞伎町が、11月27日放送の「ドキュメント72時間」(NHK総合)でクローズアップされていて面白かった。「歌舞伎町 真夜中の調剤薬局」と題し、その看板の通り歌舞伎町で薬剤師として一人奮闘する男性に密着していた。(文:松本ミゾレ)
深夜に営業する歌舞伎町の「保健室」

取材が行われたのは10月初旬。夜22時から、歌舞伎町の小さな調剤薬局で勤務する、薬剤師の中沢さんの様子を追う。カメラを回すと、早速初老の男性が駆け込む。昼間に病院で処方箋をもらったが、時間がなかったのだという。

さらに、目の違和感を訴える、スタイルの良い若い女性現れた。彼女、目ヤニが止まらないし、目も痒いのだというが、そんな状況でも仕事は休めないそうだ。職業を訪ねると「究極のサービス業」と笑顔で答える。なるほど。なんとも不夜城に相応しい、不可欠な職業だ。

やってくるのは、歌舞伎町の住人ばかりではない。アジア系の観光客が女性を伴って訪れてきた。どもう旅先で良い雰囲気になったために一夜を共にしようという運びになったようで、行為後、ピルを求めて訪れたというわけである。

ところが調剤薬局ではピルの販売は処方箋が必要。遅くまで開いている病院を案内すると、彼らはそそくさと狭い薬局を後にした。日没後から朝まで営業しているこの調剤薬局では、夜の世界に生きる人々や、夜遅くまで観光を楽しむ人々にとってはかかせない存在のようだ。
「いつもの!」調剤薬局でボトルキープ!?

深夜1時を回った頃。薬局に中年女性が入ってきては開口一番に「いつもの」と言ってきた。すると中沢さんは手早くボトルを差し出した。

何かと思えば滋養強壮剤として親しまれているキヨーレオピン。まるで馴染みの店でキープしているボトルを要求するかのような素振りには驚いたが「疲れマックスだよ」とつぶやくこの女性には、欠かせない原動力なのかもしれない。

このようなボトルキープされたキヨーレオピンは、他にも何本もストックされていた。

みんな疲れているようだ。

女性だけではない。近所のバーで働くナイジェリア人男性もまた、このボトルを愛飲している。気分転換がてら中沢さんと雑談をするため、薬局を訪れることも多いということだ。陽気に店を出る男性の背中が、なんだか哀愁を帯びている
中沢さんのチャレンジ精神に感服

中沢さんがここで働くようになって、2年が経過するという。気になるのは、どうしてこの街で調剤薬局を開業しようと思ったのか、という点だ。

僕のような小心者は、せっかく開業するんならもっとこう、閑静な場所に薬局を構えたいと思うもの。歌舞伎町というと、何かと騒がしい印象が拭えない。時には危険に直面する可能性だってあるように感じる。

これについて中沢さんは、夜の間に働く人々をターゲットに、薬局を開業しようと考えていたと話す。他の薬局が閉まる深夜なら、需要もあると感じたようだ。

現在の仕事について問われると、「面白いですよ! 今まで自分が働いていたときには経験できないことがいっぱいあるので」と満面の笑み。元々別の薬局に勤務していた中沢さん。独立に当たっては通り一遍の、どこにでもある調剤薬局をやるではなく、敢えて刺激の多い世界に飛び込んだというわけだ。

中沢さんはいわゆるアラフォー世代。普通なら「ぼちぼち落ち着きたい」と思ってもおかしくないんだけど、このチャレンジ精神は見習いたいと素直に思えた。しかも結果的に毎日が面白いと言い切るし、率直に言えばとてもかっこいい男に見える。

日々の生活を成り立たせるための仕事を、「面白い、楽しい!」と感じることができれば、それはとても素敵なことだ。挑戦することでその道を拓くことができるという実例はあるという事実を、改めて教えられたような放送だった。

あわせてよみたい:管理部門出身者の「独立のススメ」(田代英治氏)
 

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