ストレスチェック制度は「うつ病社員のあぶり出しに使え」 「すご腕社労士」のトンデモ主張が再炎上

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ストレスチェック制度は「うつ病社員のあぶり出しに使え」 「すご腕社労士」のトンデモ主張が再炎上

キャリコネニュースが12月3日に取り上げた「すご腕社労士の首切りブログ」が、問題となった11月24日付け記事「社員をうつ病に罹患させる方法」を削除した。ネットでの激しい批判をかわそうとしたようだ。

しかしこのブログには、他にも「社員を精神的に追い込んで、うつ病などに罹患させて退職に追い込む」という表現がいくつもある。特に12月から義務化された「ストレスチェック」については、法律の専門家とは思えない不適切な助言が見られる。
「無用な荷物であるうつ社員は捨て去るべきです」

従業員50人以上の事業所では、12月1日から「ストレスチェック」の実施が年1回義務化されている。目的は、従業員にストレス状態を客観的に把握してもらいつつ、会社として仕事をしやすい職場環境を適切に改善していくことだ。

しかしブログの筆者である社会保険労務士は、9月30日の記事でこの制度の目的を否定。経営者との想定問答として「うつ社員のあぶり出しを目的に労務管理にしようとしていいですか? 会社が健康管理費用を出す以上当たり前のことのように思いますが」という問いに対し、次のように答えている。

「勿論どんどんあぶり出しに活用してください」
「法の建前としては従業員の心の管理です。(略)勿論社員には、うつのあぶり出しだなんて言ってはいけません。心の管理が法律で義務付けられたといえばいいのです」
「無用な荷物であるうつ社員は捨て去るべきです」

言うまでもなく会社は、ストレスチェック制度に関する労働者の秘密を不正に入手することがあってはならない。個人の情報を取り扱った者が守秘義務に違反した場合には、「6月以下の懲役または50万円以下の罰金」(労働安全衛生法第119条)の対象となる。
敬語を話さない社員も「うつに罹患させて退職に追い込む」

この社労士は「社員をうつ病に罹患させる方法」を書いた翌日にも、「敬語を話さない社員の解雇」という記事の中でお得意の手法を披露している。

社内に敬語を話さない社員がいたら、就業規則で「上司や取引先には敬語を使わなければならない」旨を定める。そして、それを破ったらその場で反省文を書かせ、同時に厳しく注意するという。

それでもため口を使ったら「出勤停止3日から1週間」あるいは「賞与の査定を半分くらいに落とす」という厳しい処分を下す。社労士は、

「この時点で本人はうつ状態(に)なります」
「とどめとして退職勧告しましょう。ほとんどの確率で退職します」

と自信満々だ。取引先に敬語を使わない社員にも問題はあるが、普通解雇をしたければ適法な手続きを踏めばいいだけであり、いちいち「うつ状態に追い込む」という表現を使うのは不適切だろう。
労基署の指摘にも「私的自治に対する不当な干渉」と反発

また社労士は9月24日の記事の中で、中小企業で有給休暇の消化率が低くなるのは「あたりまえのこと」と言い切る。そして「有給休暇を取らせない工夫」として「計画的付与」とともに、次のような手法を助言している。

「社員に、繁忙期には有給(ママ)をとらないように朝礼等でアピールすることです。有給を取りにくい雰囲気をあらかじめ作っておくことが必要です」

あわせて「1か月前の申請」を義務化することによって、有休を取得しにくくする手法も紹介しているが、これについては労働基準監督署から「事実上の抑制策ではないか」という指摘があったことを明かしている。

しかし社労士は「そのような指摘は違法であり、私的自治に対する不当な干渉」として撤回を求めたところ、監督官が指摘を引っ込めたと書いている。なお、上記のブログは、12月4日17時現在ですべて削除されてしまった。
地元社労士会「厚労省と情報共有しながら処分判断」

愛知県社会保険労務士会の担当者によると、今回の炎上騒動で「この社労士の処分を望む」といった趣旨の問い合わせが3日から電話とメールで数件寄せられているという。近く幹部を交えて話し合いの場を設け、今後の方針を決める。処分については「すでに動いている厚労省と情報を共有しながら判断することになるのでは」としている。

社労士のブログに関しては「いい迷惑」というのが率直な感想のようで、「全員の社労士がこういう風に見られてしまうので不愉快ですね」と話していた。

あわせてよみたい:社労士ブログ「モンスター社員をうつ病にさせる方法」が物議
 

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