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山口組分裂騒動 「人気武闘派組織」の面接会場の様子とは

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 山口組と神戸山口組の両トップにとって、分裂騒動は面子をかけた潰し合いである。だが、末端組員にとっては違う。いまヤクザ社会では、分裂騒動に乗じた地殻変動が起きつつある。フリーライターの鈴木智彦氏がレポートする。

 * * *
 分裂でたがが緩んだ山口組では、内部の不満が噴出しやすい。現状、分裂を深刻に受け止めているのは両陣営のトップクラスだけで、末端組員は押し殺していたストレスを発散する格好の機会としか捉えていない。
 
「あまりに不公平な状態が長く続きすぎた。ヤクザなのに喧嘩しても処分だし、金ばっかり毟(むし)られる。かといってサラリーマンのように転職し、別の会社に入ることもできなかった。若い人間はこのチャンスを逃したら後がないと焦ってる」(山口組系組員)
 
 事実、山口組内部のあちこちでクーデター騒ぎがあっても、決起した末端組員は、そのまま対立相手の神戸山口組に流れない。同じ山口組内部で条件のいい別の組織に移籍したり、カタギになったりするのだ。
 
 双方の切り崩しは続いていても、実情は組員たちの転職活動の色が濃い。2つの山口組が存在する混乱は、末端にとって歓迎すべき事態で、困っているのはお偉いさんだけかもしれない。
 
 この段階になっても、分裂騒動が抗争にならないのは、実働部隊になる若い衆がブラック過ぎる運営に付いていけず、足並みが揃っていないからだ。
 
「さんざん若い衆をいじめてきたツケ。自業自得。偉そうなこと言ってたところがケツをまくられている」(同前)
 
 幹部たちの命令よりも末端の“待遇改善要求”が先行している現状は、まったくもって今風である。

◆経済ヤクザより武闘派が儲かる

 山口組分裂の余波は、他団体にも波及している。両陣営がかつての破門者・絶縁者たちを拾い上げ、少しでも組員を獲得しようとする中、山口組から他団体の「武闘派」と呼ばれる組織に人が押し寄せているのだ。東京のとある組織は、毎日5~6人の組員志願者がやってくるという。名前を明かせば、全国の暴力団が頷くだろう有名ブランド組織である。

「自由化ってヤツだ。時代の流れだ。不満があっても死ぬまで親分に付いていくなんて言ってたら、一生冷や飯食いになる。面接ばっかで疲れるよ。ゆっくり飯を食うヒマもない。1日の最高記録は11人だな。世間話をするだけでも、使えそうなヤツは分かる。マスコミも暴排条例でヤクザが食えないとか、判で押したような報道は止めて欲しいね。人材が集まらない不景気だって調子がいい組織はある。そこにはまだ夢もある」(在京団体組長)

 なぜ他団体の武闘派に人気が集まるのか。

 分裂騒動で2つの山口組が疲弊していくなか、第三極に賭けたほうが勝算があると考える者は少なくない。実は「経済ヤクザ」という言葉は、喧嘩の出来ないヤクザという侮蔑のニュアンスを含んでいる。本来、金を集める誘蛾灯になるのは暴力だ。そして最終的に勝ち残った組織に金が湧く。

 とある人気武闘派組織の面接会場に同席させてもらった。事務所の応接室に通されたスーツ姿の男は角刈りで、かなり緊張していた。今の仕事や家庭環境から話がはじまり、話は過去の組織の内情になった。あまり古巣を悪く言わない方がいい。愚痴を言わない方がポイントが高いらしい。

「いまさらヤクザやっても大変だろう。そんな時代じゃない。なんでカタギになれたのにわざわざ戻りたいの?」

 面接官の親分が志望動機を質問する。

「燃えてみたいです。会長の下で」

 どうやら合格点に達したようで、この人は食事の約束を取り付けた。六代目山口組でも、神戸側でも、連日“採用面接”が行なわれているのだろう。抗争前夜の暴力団社会に、若い衆にとっての春が訪れている。

※週刊ポスト2015年12月11日号


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