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BSで音楽番組が急増 長時間、フルコーラス、早朝5時がカギ

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 2000年12月にスタートしたBSデジタル放送も今年12月で15周年。ちなみにBSとは、人工衛星の1つ。放送衛星「Broadcast Satellite(ブロードキャスト・サテライト)」の略称である。そんなBSの番組といえばテレビショッピングやドラマの再放送、旅番組といったイメージが強いが、目下、増加の一途をたどっているジャンルが音楽番組だ。

 2012年と今年2015年のそれぞれ10月第一週で、主要BSチャンネル9局(※)で週何本の音楽番組が放送されているのか比較してみると、2012年には9局で1週間にわずか8本しかなかったのに対し、2015年には週28本と、3倍以上も増えていることが明らかになった。

■CSの歌謡曲専門チャンネルの加入者増も追い風か

 この2年間で、増加の契機となった出来事はあったのだろうか。BSの番組を手がける放送作家の内堀隆史氏に聞いてみると、次のような答えが返ってきた。

「CSなどで放送中の日本唯一の歌謡曲専門チャンネル『歌謡ポップスチャンネル』への加入者数増加も追い風の1つになっているでしょう。このチャンネルは『若者お断り! 毎日が歌謡祭!』をキャッチコピーに、毎日、『レッツゴーヤング』といった懐かしの音楽番組や伝説のコンサートなどを放送しているのですが、2012年10月に加入世帯数が400万世帯を突破した後も、2013年2月に560万世帯を超え、2013年10月には約570万世帯となり、2015年8月末には590万世帯を突破。

 しかも加入者の80%が男女とも50才以上。一方、BSの視聴者層も50才以上が90%以上と言われていますから、そうした年配の方々の『歌』に対する支持の高さに着目し、各局がこぞって新番組として音楽番組を立ち上げ始めたのではないでしょうか」

■地上波とはまったく違うBS独自の音楽番組

 ではBSには実際どんな音楽番組があるのか見渡してみると、地上波とは趣向の異なるプログラムを数多く発見することができた。

月曜夜9時のゴールデンタイムから放送されている『BS日本 こころの歌』(BS日テレ)は“合唱”が売りの音楽番組。『また逢う日まで』『喝采』『津軽海峡冬景色』といった名曲を、混成コーラスグループが毎回、美しいハーモニーを聴かせている。

 同じくBS日テレの夜8時からは、実力派歌手が一堂に会する『歌謡プレミアム』が放送。『母に捧げるバラード』や『浪速恋しぐれ』といったセリフ入り名曲集や、古賀政男や遠藤実といったヒットメーカーの曲を2時間の特別編成で歌手たちが歌い綴るスペシャルなどさまざまな切り口の企画も人気だ。

 水曜夜7時、五木ひろしが司会を務める毎週2時間のレギュラー番組『日本の名曲 人生、歌がある』(BS朝日)。その回のゲスト歌手が、ベテラン歌手の名曲を本人の目の前で熱唱する企画「トリビュート タイム」が見もの。石川さゆりに憧れてこの世界に飛び込んだ演歌歌手・石原詢子(いしはら じゅんこ)が、緊張しながら『津軽海峡冬景色』を石川の目の前で歌うシーンは圧巻だった。

 2014年4月から放送されている『地球劇場~100年後の君に聴かせたい歌~』(BS日テレ)も月1回(土曜夜7時)の放送ではあるが2時間の番組。加山雄三、さだまさし、小椋佳、吉田拓郎、徳永英明、渡辺美里、THE ALFEEなど、1人ないしは1組の実力派アーティスト(ウタビト)がスタジオに登場。その人生をまるまる2時間かけて解き明かし、さらにはヒットナンバーからファン垂涎の隠れた名曲まで歌い尽くすという贅沢な内容。ホスト(ツタエビト)である谷村新司のやさしい語り口も人気だ。

 また、『あの年・この歌~時代が刻んだ名曲たち~』(BSジャパン 金曜夜11時)は毎回、20世紀のある1年にスポットを当てて、時代背景と当時の名曲をじっくり振り返る“音楽報道番組”。

■「地上波がコンビニならBSは専門店」 

 こうした番組の傾向について前出の内堀氏は、「地上波がなんでも揃うコンビニなら、BSは専門店。音楽番組にしても、特定の歌手や歌を深く追求することができる。また、通常1時間の番組でも定期的に3時間、4時間、さらには5時間のスペシャル番組を組むこともある。つまりBSの音楽番組は日々、ちょっとした紅白歌合戦」とも指摘する。

 またBSチャンネル「BS 12(トゥエルビ)」で音楽番組を手がけている放送作家でライターの若木康輔氏はこう証言する。

「地上波の放送では、フルコーラスをじっくり聴かせると、“長い”であるとか“退屈”と言われてしまいますが、BSではそちらのほうがむしろ喜ばれます。ラジオ局に例えれば、地上波の音楽番組は、わかりやすく言えばトーク主体のAMラジオ。それに対してBSの音楽番組は音楽メインのFMラジオといえるでしょう。つまりBS放送は地上波より積極的に『音楽を聴きに来る』お客さんが多いため、フルコーラスはかえって歓迎されるのです」
 
 さらに、週28本の番組を見渡すと、なんと半分以上の16本が、早朝5時台の番組なのである(『サブちゃんと歌仲間』〈BSジャパン〉、『日本名曲ミニアルバム』〈BS-TBS〉、『演歌がええじゃん』〈BS12〉など)。これはやはり高齢者の起床時間に合わせての時間設定だろう。
 
「長時間でフルコーラス、またライフスタイルに合わせて早朝でも放送する。視聴者のニーズに応えて柔軟に番組編成を行えるBSの音楽番組はますます需要が高まると思います」(内堀氏)
 
 歌の醍醐味、歌手の魅力をまるごと楽しめるBSの音楽番組。じっくり浸ってみてはいかがたろうか。

※主要BSチャンネル9局
NHK BS1、NHK BSプレミアム、BS日テレ(日本テレビ系列)、BS朝日(テレビ朝日)、BS-TBS(TBS系列)、BSジャパン(テレビ東京系列)、BSフジ(フジテレビ系列)、ビックカメラが出資しているBS11(イレブン)、三井物産の出資子会社「ワールド・ハイビジョン・チャンネル」が運営しているBS12 (トゥエルビ)


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