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林家正蔵 所ジョージが100万円の刀の鍔を無価値にして衝撃

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 どんな大物だろうと天才だろうと、人生の中では思い悩み苦しむことがあった。そんな時に光を照らし道を示してくれた恩師の思い出は、今も色鮮やかに心に刻まれている。落語家の林家正蔵氏(52)が、そんな恩師へ感謝の言葉を語る。

 * * *
 父の(林家)三平が亡くなってから、噺家、古典芸能など、あまたの世界の人に良くしていただきました。落語とは全く違う世界にいるのに、兄であり、父であり、哲学者であり、友人であり、師匠になってくれたのが所ジョージさんです。

 所さんと出会ったのは、前座の修業が終わって、二つ目に昇進した頃でした。テレビにちょくちょく出させてもらうようになったころ、知り合いのディレクターが所さんの番組を担当していたので、最初は見学させてもらいました。次に通行人として出演し、その次はカンペ出し。そして番組出演、と階段を上っていきました。そこからは四六時中一緒でした。

 所さんはとても柔和で、繊細で、時には厳しい。それに物事をいろんな方向から見ることをされる方ですね。正面や後ろから見るのは当たり前、時には斜め上や下から見たりすることを教わりました。

 その所さんから真打襲名披露の時に、「渡したい物がある」といわれて「世田谷ベース」(※注)に行くと、手のひらに収まる大きさの桐の箱をいただいた。開けて見ると、ウチの家紋である花菱が刻まれた刀の鍔(つば)が入っている。しかもその鍔は銀色のラッカーで綺麗に塗装がされていた。

【※注/東京都世田谷区にある、所ジョージの事務所兼遊び場(趣味の車を保有するガレージ)のこと】

 知り合いの古美術商によれば元は100万円以上の価値があるという。しかし、塗装したことで価値がゼロになったそうです。

 所さんは何故そんなことをしたのか、ふと桐の箱のふたの裏を見ると、「伝統は壊さなければ意味がない」と書いてあった。これを見た時は体中に電気が走りましたね。

 落語は伝統芸、積むことが大事だと考えていた。積んで、潰され、また積む、の繰り返し。そうして芸を磨くものだと思っていたんです。所さんはそういったことはお見通しで、

「真打に昇進したお前(正蔵)は、積むことはできている。あとは少し壊してもいいんじゃないか。そうすればもっと光り輝く」

 とおっしゃりたかったのかなと思うと、嬉しくて涙が出ましたね。

 所さんとは同じ床屋さんに通ってるんです。ただ、所さんの前ではいまだに私は直立不動。床屋でも所さんと顔を合わさないように予約して行くんですが、決まって所さんと鉢合わせする。きっと床屋さんもグルなんでしょうね(笑い)。

 所さんと父は似ているところがあります。父は古典落語を敬愛しつつ、お客さんを喜ばせたいという気持ちが強く、すごく真面目だった。所さんもお酒も飲まず真面目。それでいて色々なものを壊していく。

 私は守っていくことで精一杯。壊すところまでいかない。5代目柳家小さん師匠がよく使っていた「守破離」という言葉がありますが、守は真似し、破は真似から離れ、離は新しく独自の物を作るということ。その教えと所さんの生き方が重なるんです。

●はやしや・しょうぞう/東京都生まれ。1978年、父・三平に前座名・こぶ平として弟子入り。1987年真打昇進、2005年九代目「林家正蔵」を襲名。

※週刊ポスト2015年11月27日・12月4日号


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