ガジェット通信

見たことのないものを見に行こう

認知症予防の新キーワードは「早歩き」! 週3回1時間歩くだけでも脳のネットワークに変化が

DATE:
  • ガジェット通信を≫

先日、テレビを観ていると「NHKスペシャル シリーズ認知症革命」(NHK総合)という興味深い番組が放送されていた。第1回(11月14日放送)は「ついにわかった! 予防への道」と題されている。

初回から認知症との闘いにケリをつけに来たかのようなこの副題は嫌いじゃないが、その内容がまた、思ってもないようなものだった。(文:松本ミゾレ)
認知症の前段階、「MCI」ならまだ予防可能!

みなさんは、MCIという言葉をご存知だろうか。MCIとは軽度認知障害と呼ばれるもので、簡単に言えば健常者と認知症の人の中間に位置する症状のことだ。一部の認知機能に障害があるものの、それを本人が自覚し、まだ日常生活を送る上では支障がない人たちのことである。

MCIのまま放置しておくと、いずれ認知症になってしまうという。しかし、MCIの段階であれば、これを予防することが可能ということが、最新の研究で分かってきた!

米ミシガン大学の研究グループは、MCIと診断された高齢者600人が、その後どのぐらいの割合で認知症を発症するか、5年をかけて追跡調査を行っている。これによると、MCIから認知症に病状が進行した高齢者が全体の5割に上っていたことが分かった。

ただ、4割の高齢者はMCIから進行せず、さらに残る1割は、なんと認知機能が正常なレベルにまで回復していたというのである。
歩く速さをストップウォッチで計るだけで将来の認知症リスクが分かる

ここからが本題だ。何故4割の高齢者はMCI状態を維持し、何故1割の高齢者は正常な状態に復活を遂げたのか。実は非常に簡単な日常の動作が、大きなヒントになっていたのである。

アルバート・アインシュタイン医科大学の研究員らが着目したのが、歩き方だ。なんと、MCIの人々の歩き方を見るだけでも、脳内ネットワークの現状が把握できるというのだ。正常な人の歩き方とMCIの疑いのある人の歩き方。それぞれのVTRが紹介されたのだが、違いは歴然。MCIの疑いのある人は、足腰が健常だというのに、その歩く速度が、明らかにゆったりとしていたのだ。

また、MCIの人の歩幅にも特徴があった。歩幅が非常に短いのだ。「認知症の高齢者は歩き方が歩幅も狭く、非常にゆっくりとしている」なんて言うけど、実はMCIの段階でも、この兆候は表れていたということになる。

アルバート・アインシュタイン医科大学のジョー・バギース教授曰く「歩く速度をストップウォッチで計る。たったそれだけで、将来認知症になるリスクが簡単に分かると考えられるのです」と語る。

同大学の研究員は、17か国2万7000人をの歩行データと、認知症を発症するリスクについての調査を行っていた。これによると、歩く速度が遅い人は、認知症になるリスクが、なんと1.5倍にも達していたことが分かったというのだ。それに加えて記憶力の衰えも確認される人の場合は、認知症リスクは2倍であったとも!

バギース教授によれば、歩く早さが秒速80㎝。時速2.9㎞以下という場合は、MCIの疑いがあり、認知症になるリスクが高いという。この速度は、青信号を渡りきれなかったり、後ろから歩行者に追い越されることが多い速度だというので、目安にしてもらいたい。
「早歩きで脳内ネットワークの結びつきが若い人のような状態に」

要はそれ以上の速度で歩くことが大事。さらに、早歩きは脳のネットワークの回復に繋がる。息がはずむ程度の早歩きを1回1時間、週に3回だけやると、血液中にVEGF(血管内皮細胞増殖因子)という物質が放出されるのだという。

このVEGFは傷ついた血管の代わりに新しい血管を構築するために働きかける。さらに早歩き程度の運動であっても、BDNF(神経栄養因子)という物質まで増加し、新たな神経細胞を作り出すことを促す。1年間継続するだけでも脳内ネットワークが回復し、認知症の予防になるそうだ。イリノイ大学のアート・クライマー教授は番組で

「(早歩きをすることで)脳内ネットワークの結びつきが若い人のような状態に変化していました。早足で週に3時間歩くだけで脳が若返り、健康になったのです」

と語っていた。こういう簡単な努力が、実は認知症に対抗しうる手段だったとは……。さあ、寒いかもしれないけど、今すぐ外出しよう! そしてガンガン歩くべしだ!

あわせてよみたい:社員がアルツハイマー病を発症したら、どう対応すべき?
 

カテゴリー : 生活・趣味 タグ :
キャリコネの記事一覧をみる ▶
  • 誤字を発見した方はこちらからご連絡ください。
  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちらから
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。

TOP