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人工知能を備えたロボットが、人間から「専門的な仕事」まで奪いつつあるという話

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コンピュータの発達により、紙で行っていた職場の仕事はかなりの部分が電子化されました。単純な事務作業は激減し、事務職の雇用も縮小。この波がさらに専門職にも迫っていると、11月12日付の英The Guardianが取り上げています。

例えば英国アベリストウィス大学とケンブリッジ大学が共同開発した人工知能ロボット科学者「アダム」は、2009年に世界で初めて新しい科学知識を自ら発見することに成功。その後バージョンアップした「イヴ」は薬品発見の仕事を受け継ぎ、現在はマンチェスター大学でマラリア薬の識別をしているのだそうです。(文:夢野響子)
コンピュータの方が得意? 医師や弁護士も例外ではない

自動化システムや人工知能の進歩により、「アダム」や「イヴ」のようなロボットは、いまや実験を行うだけでなく、その結果を自ら解釈して物事を発見できるようになっています。

医学はロボットが台頭する時代でも、人間の仕事が生き残る分野と思われてきました。確かに看護のような仕事は、細かい動作や笑顔など機械にやらせるには難しい領域です。しかし医師の養成にかかる費用は多額であり、機械化が期待される分野でもあります。

そもそもコンピュータは質問を理解し、膨大なデータベースから答えを探し出すことができるので、一般開業医の診断や簡単な処方を助けるのに最適です。IBMが開発したスーパーコンピュータ「ワトソン」は、米国の人気クイズ番組「ジェパディ!」に出演して人類代表2人と対決して勝ったこともあります。

人間の手が届きにくい部分の外科手術ができる「ダ・ヴィンチ」というロボットは、外科医が遠隔操作して世界中で手術が行なわれています。ここに「ワトソン」の人間の身体に関する理解力が加わったら、この分野はどこまで発展するか分かりません。

弁護士の仕事もコンピュータには困難な分野と思われていますが、契約書の作成や遺言書の準備などは、計画通り進めば単純作業。弁護士事務所にテンプレートで保存されている仕事量は、今日でもかなりあります。人工知能の発達にあわせ、「多くの分野で人間弁護士の需要は減っていく」と記事は予想しています。
ジャーナリズムやエンタメにも及びつつある影響

ジャーナリズムの分野でも、ソフトウェアが書いた記事がすでに刊行物に使われているそうです。米ナラティブ・サイエンス社が開発した自然言語生成プラットフォーム「クイル」は、構造化したデータを入力すると最新ニュースを説得力ある記事にしてくれます。

軍事用無人偵察機の登場に伴い、商業フライトでもエアバスやボーイング機は完全自動化され、濃い霧の中に着陸することができることはすでに知られています。

人間の創造性が生み出すアートの世界にも、コンピュータは入り込んでいます。2012年にカリフォルニアで行われたコンサートは、16年前に亡くなったヒップホップMC「トゥーパック」をホログラム(3次元像)で《再生》しました。

芸術家は今やもう一つずつ作品を創る必要はなくなっています。botを作れば、コンピュータが自動で作品を創り続けてくれるからです。

テレビや映画界にはまだ完全な人工俳優は登場していませんが、古い記録から採取したデータから新しい演技を作り出すことが可能です。マーロン・ブランドの死の2年後に公開された「帰ってきたスーパーマン」は、1978年の作品のデータを基にコンピュータが新しいシーンを作り出したものでした。

もちろんコンピュータやロボットの発達によって「人間の仕事が奪われる」だけでなく、「人間がある仕事から解放される」と解釈することもできます。そのとき人間は何をすべきなのかが問われるのではないでしょうか。

(参照)Thinking machines: the skilled jobs that could be taken over by robots (The Guardian)

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