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蒼山日菜が切り絵に映すメッセージ

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0.3mmのシャープペンで描いた下絵を、針のように研ぎすまされた刃先を備える小さなハサミで丹念に切り取っていく――。国内外に多くのコレクターを持つトップアーティスト・蒼山日菜さんが作り出す、実に繊細で優美な独創性あふれる「レース切り絵」の世界。見る者を一瞬で魅了する作品の数々は、「カンヌ国際展覧会」をはじめとする世界的なコンクールで何度も最優秀賞を受賞してきた。

「私の切り絵の共通テーマは“沈思黙考”。なので、作品一つひとつにあえてタイトルはつけないのですが、環境問題、人権問題、動物虐待などコンセプトは必ずあります。たとえば代表的なモチーフである蝶々では、“あなたの趣味のために大切な命を殺さないで”“標本の代わりに、私の蝶々はいかがですか?”といった提案をしています」

初めて切り絵に触れたのは30歳の時。旅行先のフランスで知り合った男性と結婚し、移住。専業主婦として家事や育児に追われていたころ、友人に誘われて当時日本人の主婦の間で流行していた切り絵を始めたのがきっかけだった。

「当時は日本人がほとんどいない町に住んでいたため、近所から外国人差別を受けて、息子も学校でいじめにあっていました。その影響からか、婦人科系の病気を患って半年で4回も手術をしたりと、心身ともにボロボロ。にもかかわらず、フランス人の夫は状況をまったく理解してくれない。そんな辛い日々の中、切り絵に夢中になることで、いろいろなことから救われていきました」

心の支えとして始めた切り絵。少しずつ売れるようになってコレクターができはじめたころ、フェルネ・ヴォルテール市の文化庁の目に留まり、個展を開催することに。そして、その会場で真っ先に作品を購入してくれた女性にかけられた一言から、蒼山さんはプロの切り絵画家として歩むことを決意する。

「あなたの作品からは、大変な苦労を乗り越えた強さが伝わってくる。おかげで私の悩みも一気に吹き飛んだわ、って。その時、このまま趣味で終わらせてはいけない、10年後、20年後“私が彼女の絵を最初に買ったのよ”と自慢されるような、この人に恥じない立派な作家になりたいと思ったんです」

その後はコンクールにも意欲的に出品。2005年、フランスで最も権威ある世界最古の展示会「Le Salon des Artistes Francais」での入選を皮切りに、瞬く間に世界屈指の切り絵作家となった蒼山さんだが、決して初心を忘れることはない。“どうでもいいのよ、賞なんて。私は、あなたの作品が好きなだけだから”。ある客に言われた言葉を、今も心に深く刻み続けている。

「作家には自己表現型と提供型の二つのタイプが存在しますが、私はどちらかというと後者。とにかく作品を見てくださる方々に喜んでもらいたい、何らかのお役に立ちたいという気持ちが強いんですね。だから、今後はよりたくさんの人を幸せにできるよう、さらに精進します。そして、自分の切り絵をあしらった様々なグッズの制作にも力を入れていきたいと思っています」

■TOP WOMAN 第3回
(R25編集部)

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※コラムの内容は、R25から一部抜粋したものです
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