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50万円で手に入れた小屋のある暮らし。その魅力とは

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50万円で手に入れた小屋のある暮らし。その魅力とは

二拠点居住に仕事部屋、ガレージ、趣味の空間として、最近注目を集める「小屋」。今年夏には、長野県茅野市で日本初となる「小屋フェスティバル」も開催され話題を呼んだ。そんななか、山梨県・八ヶ岳の自宅敷地内に、八角形のドーム型の小屋を建てた人がいるという。どんな目的で購入したのか、使い心地はどうか、話をうかがってみた。
費用は約50万円。わずか5時間で庭に小屋が建った

小屋を購入したのは、写真家のオオタ・マサオさん(60代)。オオタさんはふだん東京と山梨県北杜市を行ったり来たりする生活で、小屋は北杜市にある自宅の敷地内に建てたのだという。

八ヶ岳の林の中を進むと、そこは別荘も多い自然豊かなエリア。ご自宅の敷地に入り、母屋を過ぎると、青いルーフィング(防水シート)に覆われた小屋が見えた。【画像1】木製フレームの上にルーフィング(防水シート)を巻いた小屋と、施主のオオタさん。ルーフィングのカラーはシックなネイビーブルー(写真撮影:オオタ・マサオ)

【画像1】木製フレームの上にルーフィング(防水シート)を巻いた小屋と、施主のオオタさん。ルーフィングのカラーはシックなネイビーブルー(写真撮影:オオタ・マサオ)

この小屋は、東急ハンズ長野店と、ログハウスの夢木香(愛知・名古屋)のコラボレーションによる八角形のドームハウス。前述した「小屋フェス」にも出展しており、「自然を感じ、共生する縄文文化の暮らし方、現代の竪穴式住居を提案する」がコンセプトだ。

オオタさんは、妻とともに訪れた小屋フェスで、16もの小屋を実際に見学。
「もともと小屋には興味がありまして。チープでシンプルなつくりが、昔の生活を思い出させるというか。小さいころは、立派な家になんて住んでいないんです。小さい部屋にちゃぶ台があって、縁側があって……。今の生活は便利になりすぎちゃって、どうも好きじゃない」とオオタさんは笑う。「この小屋は、どこかパオ(遊牧民族の移動式の家)みたいでしょ? そこが気に入りました」【画像2】入口のドアはジャンキーかつモダンな雰囲気にしたくて、オオタさんが色を塗ったベニアを何枚か張り合わせた(写真撮影:オオタ・マサオ)

【画像2】入口のドアはジャンキーかつモダンな雰囲気にしたくて、オオタさんが色を塗ったベニアを何枚か張り合わせた(写真撮影:オオタ・マサオ)

「いろいろな小屋を見たけれど、水まわりが付いているとどうしても価格が高い。小ぎれいな『男の隠れ家』みたいなのは、いかにも商品化されている気がして」
オオタさんにとって小屋とは、農家が畑の近くに自分で建てて、農具を置き、そこでひと休みしたりするイメージ。この八角形のドームハウスは、「これぞ小屋!」という感じでグッと来たのだという。

八角ドーム(アースドームミニ)は、通常はフレームキットで58万円、内装・外装、材料付きキットだと120万円〜。すぐにでも小屋を建てたいと考えたオオタさんは、その場でフレームキットの購入を決意。小屋フェスに展示されていた小屋を最終日に解体し、翌日運搬してもらうことに。搬入後、4人の職人がわずか5時間ほどで完成させてしまったという。
費用は展示品処分価格として48万6000円、運搬費と施工費を含めても50万円ちょっとだった。

場所は、母屋の奥にある日当たりのいいイチゴ畑を選んだ。「母屋との距離感は考えましたね。あまり近すぎると独立した小屋をつくる意味がない。だから野菜の畑と花畑を挟んで、15mほど距離を空けました」
基礎は簡易的なもので、今後、霜などの様子を見て調整する予定。断熱材も、張ると内部が狭くなってしまうため、今のところ保留に。
「ただ、寒くてもいいと思っていて。快適すぎると五感が鈍る。今、どこも便利でコンフォータブルになりすぎている。小屋なんだから、自然を感じて、自然とともに暮らすのがいいんじゃないかな」【画像3】入口が低く、茶室のにじり口っぽいのも気に入った点。「これから中に入るというドキドキ感がいい」とオオタさん。2匹いる猫はここがオオタさんの城だと分かっているのか、小屋には入ってこない(写真撮影:オオタ・マサオ)

【画像3】入口が低く、茶室のにじり口っぽいのも気に入った点。「これから中に入るというドキドキ感がいい」とオオタさん。2匹いる猫はここがオオタさんの城だと分かっているのか、小屋には入ってこない(写真撮影:オオタ・マサオ)6畳の小屋は、6〜7人でワイワイ過ごすのにちょうどいい【画像4】廃材でつくったローテーブルは、オオタさんの手づくり。無造作に置かれた栗や淡墨桜(うすずみざくら)の枯れ枝は、まるでアート作品のよう。これはいずれハンガーにする予定だという。天井の明かり取りから射す光がどことなく厳かで、教会のようでもある(写真撮影:オオタ・マサオ)

【画像4】廃材でつくったローテーブルは、オオタさんの手づくり。無造作に置かれた栗や淡墨桜(うすずみざくら)の枯れ枝は、まるでアート作品のよう。これはいずれハンガーにする予定だという。天井の明かり取りから射す光がどことなく厳かで、教会のようでもある(写真撮影:オオタ・マサオ)

小屋を購入した目的は、夏に向けて、都内に住む娘や息子、オオタさんの友人が泊まれる場所にすること。今年、自宅に母を迎え入れたことから、泊まりだとお互いが気を使うのでは、と考えてのことだった。
小屋は約6畳とコンパクトだし、トイレもないが、寝るだけなら問題ない。というよりむしろ、キャンプのテントみたいでワクワクするかも……!
「夏に実際に泊まった友人は、落ち着くと言っていました。ちょっと広いテントみたいだって。夜は6〜7人で酒を飲んだんですけどね、仲良くなれる空間なんですよ。娘も友達を連れてワイワイやって……。冬はここで鍋を囲むのもいいかもしれないなぁ」【画像5】配線はあるが、電気は通していない。夜は電池式のランプで過ごすという。「本を読んだりするのでなければ、この灯りで問題ありません」とオオタさん (写真撮影:塚田真理子)

【画像5】配線はあるが、電気は通していない。夜は電池式のランプで過ごすという。「本を読んだりするのでなければ、この灯りで問題ありません」とオオタさん (写真撮影:塚田真理子)【画像6】日当たりも抜群。1つだけある三角形の窓は、夏は網戸にして風を通した。冬はアクリルを二重に張って、暖気が逃げるのを防ぐつもりだ(写真撮影:塚田真理子)

【画像6】日当たりも抜群。1つだけある三角形の窓は、夏は網戸にして風を通した。冬はアクリルを二重に張って、暖気が逃げるのを防ぐつもりだ(写真撮影:塚田真理子)今後はお金をかけずにセルフビルド。見晴し台もつくりたい

子どもや友人の宿泊シーズンが過ぎると、小屋はオオタさんひとりのためのプライベート空間となった。妻も、猫たちもここへは入って来ない。小屋の中にはオオタさんが日ごろから集めている廃材を置くなど、あえて雑多な雰囲気にしているのが落ち着く。「6畳という狭さがちょうどいいね。自分に閉じこもる、内省的な空間なんです」とオオタさんはいう。

いちばん好きな過ごし方は、入口に腰かけて、外を眺めてぼーっとすること。「ここは目線が低いから、犬や猫の世界というのかな。母屋とも違う、地べたに近い目線がいいんですよ」
見えるのはのどかな畑と山々だけ。晴れた日のひなたぼっこは最高に気持ちが良さそうだ。【画像7】入口に腰掛け、山々をぼんやり眺めるオオタさん。心が解放されるひとときだという(写真撮影:塚田真理子)

【画像7】入口に腰掛け、山々をぼんやり眺めるオオタさん。心が解放されるひとときだという(写真撮影:塚田真理子)

オオタさんが今後やりたいことは、冬に向けてルーフィング(防水シート)を木材で覆うこと。ルーフィングの感じやネイビーブルーの色合いは気に入っているが、このままでは劣化する恐れがあるからだ。廃材はたくさん集めている。三角形を張り合わせた複雑な屋根にどうフィットさせるかが課題だ。
もうひとつは、すぐ脇に生える木の幹を利用して、ドームハウスの上にはしごとテラスをつくること。角度的にちょうど富士山が見えるという。【画像8】雨が入らないよう、廃材で軒もつくった。取り外しが簡単にでき、晴れの日には外して日が当たるように。冬は雪を想定して、波状の軒を付ける予定だ(写真撮影:塚田真理子)

【画像8】雨が入らないよう、廃材で軒もつくった。取り外しが簡単にでき、晴れの日には外して日が当たるように。冬は雪を想定して、波状の軒を付ける予定だ(写真撮影:塚田真理子)【画像9】ドアの前には丸太を切ったものを敷き詰め、アプローチに。今後は左の木の幹を利用して、3人ほど乗れる見晴し台をつくりたいという構想も(写真撮影:オオタ・マサオ)

【画像9】ドアの前には丸太を切ったものを敷き詰め、アプローチに。今後は左の木の幹を利用して、3人ほど乗れる見晴し台をつくりたいという構想も(写真撮影:オオタ・マサオ)

今は冬に向けて、ひとまず外装を準備しているところ。「完成してしまうと楽しみが薄れてしまう気がして。旅もそうでしょう、行くまでがいちばんワクワクするし、アクシデントが思い出になったりする。今回、小屋自体は急いでつくってもらったけれど、あとは自分で楽しみながら、苦労しながら、ゆっくりやっていきます。コンセプトは『0円ハウス』かな。お金をかけてつくる家ほどつまらないものはない。悪戦苦闘しながらつくるから楽しいんじゃない?」とオオタさんはにこやかに語った。

この丸い小屋を見ると落ち着く、とオオタさんがいうように、かまくらのような懐かしさもあるのかもしれない。角がない空間は音響もいいというから、今後は音楽も楽しめるだろう。
ときには友人が集い、ふだんは自分だけのプライベート空間として。セルフビルドで進化する楽しみもふんだんに残した小屋は、オオタさんらしい生き方、暮らし方そのものに見えた。
元記事URL http://suumo.jp/journal/2015/11/20/101009/

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