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元裁判員による「ストレス障害訴訟」上告へ

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 強盗殺人事件の裁判員を務めたことにより急性ストレス障害になった女性が、国に国家賠償を求めた訴訟で、控訴を棄却した仙台高裁判決を不服として最高裁に上告することが明らかになりました。裁判員制度が始まって6年が経過しますが、問題点もあるようです。
 今回は、この元裁判員によるストレス障害訴訟等裁判員制度をめぐる現状について見てみたいと思います。

 裁判員制度は、特定の刑事事件において有権者である市民から選ばれた裁判員が裁判官とともに心理に参加する制度をいいます。制度の詳細につきましては、こちらを御覧ください。

 第一審の訴状によると、今回訴訟を提起した女性は、判決日を含む全6日の全日程に参加し、殺害現場のカラー写真がモニターに写し出され、 119番通報した音声記録も再生された日の審理で休廷中に嘔吐したそうです。
 その後、夜も写真がフラッシュバックして就寝中に何度も目が覚める、吐き気、食欲不振といった症状が続き、病院にいったところストレス障害との診断が出されました。
 女性は、国民に裁判員になることを強いる裁判員法が原因であるとして、国家賠償法に基づき国に慰謝料など200万円の支払いを求めていました。

 第1審では、裁判所は、女性の急性ストレス障害と女性が裁判員を務めたことは関係があるとして相当因果関係を認めたものの、制度については、司法の国民的基盤の強化を図るものであり、裁判員法の立法目的は正当であって、裁判員法の立法行為が違法とは言えないと判断しています。
 さらに、女性の「裁判員制度は『意に反する苦役』であり、憲法18条違反である」との主張については、裁判員の辞退を弾力的に認めていること、日当を支給するなどの負担軽減の措置も取られていることを理由に、国民の負担が合理的な範囲を超えているとはいえないとして、裁判員制度は合憲であるとの判断を示しました。

 女性は判決を不服として控訴しましたが、平成27年10月29日に仙台高裁は第1審の判断を支持し控訴を棄却しています。また、女性が控訴審において追加で主張をした「配慮なく遺体写真を見せられた」という点についても、特に問題はなかったとして主張を退けました。

 裁判員法では、出廷の義務があり、正当な理由なく出廷しない場合には、10万円以下の過料が課されることになっています(裁判員の参加する刑事裁判に関する法律112条)。過料が課したという話はまだ聞きませんが、法律では可能となっています。
 このように重い義務を課すのに、遺体写真やその当時の録音などに触れて体調不良を発症してしまったのに、特に問題はないとされてしまうのでは、今後裁判員になる方の不安は解消されないのではないでしょうか。

 最高裁判所が裁判員制度についてまとめているホームページでは、裁判員制度の実施状況のデータが掲載されています。そのデータによれば、開始された平成21年の辞退率は60.7%ですが、その翌年、翌々年と若干下がったものの、平成26年は64.4%、平成27年9月末は64.7%と増加傾向にあります。
 このような辞退率の多さ等も含めて、制度のあり方について再考の時期が来ているのではないかと思われます。
 最高裁の判断が注目されるところです。

元記事

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