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賃貸契約で退去時に床下基礎の工事費負担もしなければならない?

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Q.

 実の弟の件でご相談致します。この度、家賃を2年半滞納している事が発覚しました。1年前に不動産屋と本人で更新手続きをし、連帯保証人に私の名前を書いたらしいです。引越しを考えているのですが、居住年数は15年で、建物は築35年経過しているアパートで、床下の基礎がダメだからと工事費用40万負担しろと言われています。この場合、滞納している家賃は払わなければいけないのはわかりますが、工事費用まで負担義務はないか?と疑問です。

(40代:女性)

A.

 まず、連帯保証人としてご相談者様が、(事後的にであれ)保証契約を承諾しているのであれば滞納している家賃については(まず、弟様に支払い義務が生じますが、ご相談者様自身にも)支払い義務が生じます(民法446条以下の保証についてを参照)。
 この点は、床下の基礎工事云々とは別に必ず発生するものとご理解ください。

 次に、床下の基礎工事の費用負担について。この点について、結論から先に述べますと基本的に支払い義務はないと考えます。

 ご相談内容から察するに、家主は、原状回復の一環として床下基礎の工事費負担を打診しているものと思われます。
 通常、賃貸借契約(民法601条)では、純粋に法律の規定だけでは「善良な管理者としての注意を払って使用する義務(善管注意義務)」(民法400条)のみが借り手に課せられているにとどまります。
 しかし、契約書上において、原状回復義務(部屋を元通りにして返却させる義務)をも借り手に課すのが一般的と言えます。場合によっては、契約書上において、「特約(特別の付加的契約条項)」として、「この内容は退去時に請求するよ」という記載があるケースもあります。

 したがって、最初になすべきは、(特約も含めて)原状回復の費用負担がどのように規定されているか契約書を入念にチェックすることが必要です(ここで、仮に基礎工事も原状回復費用に含まれると規定されていれば、それを入念に説明され借り手側が了解していたら支払う必要が高まりますが、実務上、そのような条項は記載しないのが一般的です)。

 以下では、(特約などがなく)一般的に退去時に原状回復義務を課している賃貸借契約を前提としてご回答さしあげます。

 ご相談者様のように原状回復を巡るトラブルとしては、オーナー側から言われた工事の内容が、原状回復の項目に含まれるかどうか、がポイントになります。
 この点、どのような内容ででも原状回復の項目に含まれるか、というとそうではありません。その指針となるのが、国土交通省がとりまとめた「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」です。あくまで、ガイドラインであり、法的拘束力はありませんが、多くの不動産事業者がこのガイドラインを参照し、原状回復の費用負担を決めています。

 簡単に実例を踏まえてまとめると、例えば、家具の設置による畳やカーペットのへこみ、ポスターなどを壁に貼る際に空けた穴など、「賃貸人が住んだとしても通常できるだろう消耗や損傷」は賃貸人の負担であるとされます。
 反対に、禁じられているのに猫を飼っていて壁等を傷つけた、クーラーから生じる水漏れを放置してフローリングをダメにしたなど「賃借人の故意または過失によって生じた消耗や劣化」については賃借人の負担であるとされます。

 この基本的な考え方をベースに、建物の築年数や居住年数を考慮し、費用負担を考えます。ご相談者様のように築年数が35年で、15年と長期間住んでいた場合、「そもそも大きな経年劣化が生じるのが当然であり、それを賃借人に負担させるのはおかしい」という考え方に傾くことになります。

 今回のご相談内容であれば、床下の基礎工事部分です。これは、居住空間とは直接関わるものではないため、そもそもの費用負担項目にすら挙げられない部位であると思われます。したがって、ガイドラインなどを参照すると費用負担はしなくてよいものと考えられます。

 まずは、滞納家賃を支払って交渉におけるイーブンな立場を整えた後、こうしたガイドラインなどを提示して「費用負担はおかしい」と交渉してみることをおすすめいたします。
 もしこじれるようでしたら、賃貸借の問題に明るい弁護士などの専門家にアドバイスを求めてはいかがでしょうか?

元記事

賃貸契約で退去時に床下基礎の工事費負担もしなければならない?

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