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「マイナンバーは暗号化すればOK」デマが企業間に飛び交う

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 企業は、給料を支払っている従業員からマイナンバーを収集することが求められる。いま各企業でその準備が佳境を迎えているが、デマも飛び交い、大混乱が起きている。ある大企業の総務担当者は、こう吐き捨てた。

「マイナンバーなんて、行政の、行政による、行政のための制度じゃないか」

 従業員のマイナンバー収集で、過大な負担を強いられているためだ。特に焦りが大きいのは、パートやアルバイトが多い業態や、フランチャイズが多数を占める業態である。飲食業やコンビニなどの小売業ではアルバイトに学生が多いことから、不安の声が上がっている。

「1人暮らしをしている大学生は住民票が実家のままになっていることが多く、番号の収集に時間がかかることは間違いない」(大手小売)

 マイナンバーは住民票に記載されている住居に送付されるからだ。フランチャイズを多く抱える企業も大変だ。

「フランチャイズ店は、各オーナーが従業員のマイナンバーを管理しなければならない。何店舗も持つ大きい法人オーナーならば情報管理もしっかりしているが、1~2店を運営する小さい企業だと不安が残る」(大手コンビニ担当者)

 ファミレス大手のすかいらーくグループは、この夏にマイナンバーの収集・管理をする委託業者を選定、社内にワーキンググループを立ち上げて方針を定めている。

「当社は全国で8万人を超えるパート・アルバイトを含む約9万人の従業員がいて、年間で4万6000人の入退社があります。これだけの数のマイナンバーを、各店舗を通して扱おうとすると漏洩リスクが高まるため、各店舗ではマイナンバーを扱わないという方針を決めました。業務委託先からすかいらーくの名前の入った通知書を各従業員に郵送してマイナンバーを記入、返送してもらうことにしたのです」(人財採用グループディレクターの打木洋行氏)

 ニセのマイナンバー収集行為も想定されるため、各店舗は「こういう名前の委託先企業からすかいらーくの名前の入った通知書が届くから」と従業員全員に周知徹底する作業を必死で行っているという。

 中小企業を中心に、400の顧客を持つ「税理士法人ほはば」の前田興二・代表税理士が語る。

「番号の漏洩には罰則もあることから、リスクを気にする企業から『管理には、鍵のかけられる部屋を用意しなければいけないのか』とか、『パーティションはどんなものを買えばいいのか』といった相談があります。

 実際は『机の上に番号が書かれた紙を積んで放置してはいけない』『パソコン画面が他者から容易に見られないような角度になっていればよい』という程度で十分なのに、法律を拡大解釈して不安が増大してしまい、混乱を招いているのです」(前田氏)

 誤解が誤解を生み、企業の総務担当者の間ではデマも飛び交っている。たとえば、「マイナンバーを暗号化すれば、個人情報として扱わなくてよい」というものだ。

 税理士向けにクラウドシステムを提供するアカウンティング・サース・ジャパン社の中尾健一氏は、「法律で明言されているわけではないですが、暗号化した状態でも、マイナンバーと変わらず厳密な管理が必要というのが正しい考え方です」と語る。2016年から本格的なマイナンバー収集が始まる。混乱はまだ拡大しそうだ。

文■岸川貴文(ジャーナリスト)

※SAPIO2015年12月号


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