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習近平氏訪問の英国 晩餐会皇太子欠席や1989年ワインで皮肉

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 中国には「有銭能使鬼推磨(カネさえあれば幽霊にも臼を挽かせられる)」という諺がある。いかにもかの国らしい“金言”だが、習近平・国家主席の英国訪問では、そんな拝金主義が嘲笑された。

 10月下旬、国賓として英国公式訪問を果たした習氏は、英国での原発や高速鉄道の建設など総額7兆4000億円にのぼるトップセールスを結んだ。滞在中はバッキンガム宮殿に宿泊し、エリザベス女王主催の公式晩餐会ではキャサリン妃が「チャイナレッド」のドレス姿で登場。そうした厚遇を中国メディアは「最上級の待遇」と報じた。

 しかし、その「札束攻勢」は英王室の不興をかっていたようだ。英国文化に詳しい石井美樹子・神奈川大学名誉教授が解説する。

「晩餐会にはチャールズ皇太子が出席しなかった。皇太子はかねてからチベット弾圧などの人権問題を批判しており、抗議の意味での欠席でした。欠席を許した女王にも同じ思いがあったと見ることができます」

 晩餐会で供された赤ワインにも、中国への抗議のメッセージが隠されていた。ワインはフランス・ボルドー産の「シャトー・オー・ブリオン 1989年」。1本約30万円の超高級ワインだが、あえて「1989年」を選んだことに痛烈な皮肉が読み取れる。

 1989年といえば、民主化を求める学生らが多数犠牲となった天安門事件の年。西側各国は経済制裁に踏み切り、「中国は人権を蹂躙する野蛮な国」というイメージが世界に定着した。“先進国の仲間入り”を悲願とする習氏はじめ中国政府が決して触れてほしくない出来事であることを百も承知で、あえてその「暗黒の年」のワインを選んだことは意味深だ。

 女王は晩餐会の席上、「今年は両国にとって非常に特別な年となる」と歓迎の意を表したが、「女王は習氏と会っている間、ほとんど笑顔を見せなかった」(同前)。

 また晩餐会で習氏がスピーチした際、隣に座るアンドリュー王子が頬杖をつく姿も物議を醸した。

 振り返れば、過去に英国を訪問した中国の指導者も「屈辱」を味わってきた。2005年に国賓として訪英した胡錦濤・国家主席も晩餐会では女王から「中国の動向はすべての人々の関心事」と、中国の人権問題を婉曲に指摘された。

 昨年、李克強・首相が訪英した際には「女王に会えなければ訪英しない」と注文をつけたり、宮殿の「レッドカーペットが短かった」と苦情を言ったりするなど、その振る舞いが英王室側を呆れさせた。中国に詳しい宮崎正弘・拓殖大学客員教授が語る。

「英国の狙いは中国のカネ。英王室による歓待はその謝意ではあるが、信頼や敬意を抱く関係ではない。そうしたメッセージがエリザベス女王をはじめとした王族の振る舞いに込められていた」

 カネでは品格や信頼は買えません──そんな女王の言葉が聞こえてきそうだ。

※週刊ポスト2015年11月20日号


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