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子供は母語を完成させてから外国語を学ぶべきなのか

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https://www.compathy.net/tripnotes/18613

Photo by: Seina Morisako「Chinese Culture in Singapore

こんにちは、TRiPORTライターのSeinaです。現在私は家族と一緒にシンガポールで暮らしています。息子はシンガポールのインターナショナルスクールに就学中。最近、「ESL(English Second language=英語が母国語でない子が学ぶコース)」を卒業しました。

現在は英語ネイティブの子と同じカリキュラムで学んでいます。ESLを卒業すると、息子の学校では小学生でも第二外国語を選択しなくてはいけません。彼の学年は中国語を学ぶことになっています。つまり息子は、日本語、英語、中国語を学んでいることになります。

多民族国家は多言語国家

シンガポールで暮らす民族はおおまかに4つに分類することができます。中華系74%、マレー系13%、インド系9%、その他4%です。言語も様々で主に、英語、中国語、マレー語、タミール語の4つが使われています。一番多い民族は中華系であるのに、国語はマレー語で学習し、公用語は英語なのです。政治的判断、経済政策の一環として、政府がどの言葉を公用語にするかを決定しました。

英語は段階的に学校のカリキュラムに取り込まれ、英語という教科を学ぶのではなく「英語で学ぶ環境」が整えられました。シンガポールの子供たちは英語を勉強しなくてはいけない環境に追い込まれたのです。

この結果、シンガポールで生まれ育った若い人の多くは中国語のほかに、英語も堪能になりました。大人、子供問わず、会話中に簡単に言語を切り替えます。同僚と中国語で雑談していたお店の店員が来客時にすぐ流暢な英語に切り替える風景をよく見かけます。私は会社勤めをしているシンガポール人の友人から「処理する仕事内容によって英語思考と中国語思考に切り替える。これが普通」と言われ、とても驚きました。

日本では「子供は外国語を学ぶ前にまず母国語を学ぶべき」という意見をよく聞きます。息子はまだ小学生。日本語の漢字も勉強しなくてはいけません。こんなに多くの言語を学んで混乱してしまわないのか、私はとても不安でした。

複数言語取得のコツは「コードスイッチング」

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Photo by: Seina Morisako 「Chinese Culture in Singapore

その悩みを私が担任の先生に相談したところ、彼女はすぐに中国語の先生を紹介してくれ、直接質問できるような環境を提供してくれました。不安そうな私に、中国語の先生は3つの助言をしてくれました。

①中国語はSpeaking重視。Writingは本人の母語である日本語を最優先にすること。
②Readingはどの言語でも読みたい本をどんどん読むこと。
③英語で中国語のレッスンをするので英語で思考することが増える。家では正しい日本語を話し、不足分を補うこと。

息子の場合、日本語ネイティブなので、中国語にも使われる「漢字」の意味を理解できていることがとてもアドバンテージになるから心配いらないと、先生は励ましてくれました。「彼は混乱しませんか?」という私の質問に対して、混乱を起こさないために、家で正しい日本語を話すようにとアドバイスをくれました。

子供が複数言語を同時に学ぶ際は、それぞれの言語をある程度バランスよく生活に取り入れることがポイントだそうです。このバランスの維持がスムーズなコードスイッチング(言語の切り替えが行われること)を促すことができるのだとか。「小学生に複数同時に言語学習なんてとんでもない。まず母語でしょう」という意見が多い日本的な思考との違いに私は驚きました。

多言語取得に必要なものは言語だけではない

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複数の言語が並存する「バイリンガル」「マルチリンガル」になるには、単に言語ができればいいというわけではなさそうです。「相手の状況・話題・聞き手などに応じて言語を使い分けている」というのが一般的な多言語話者の定義になっています。つまり発信するだけでなく、相手に合わせて言葉を選択する判断力が必要になってくるのです。この判断力を取得するには、判断する材料をより多く集めなくてはいけません。

私は先生から言われたいくつかのアドバイスの中で「母国文化について本を読んだり、映画を見たり、実際に行ったり、多くの体験をしてください」「母国以外の出身の主人公の本を、できれば母語とそれ以外の言語で読んでみてください」というこの2つは、息子だけではなく私にも、とても有益だと感じました。ぜひ挑戦してみたいと思います。

ライター:Seina Morisako
Photo by: Seina Morisako 「Chinese Culture in Singapore

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