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【連載:映画で分かる女の本音】想い出にすることで人は前へ進める~『起終点駅 ターミナル』~

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かつて好きだった人、愛した人のことが忘れられなくて新しい恋に踏み出せない。つい昔の恋人と比べてしまう──。その男性(ひと)への執着が強いほど、過去の恋愛が現在の恋愛の足かせになってしまうことがあります。

ふたりでよく行った場所の前を通りがかると思い出してしまう、ふたりで聴いた曲を偶然耳にしただけで思い出してしまう、どこか雰囲気が前の恋人と似ているという理由で新しい恋(彼)を選んでしまう……。

ある程度、想い出に変わるまでは、未来に向かって歩くことは難しく、現在と過去を行ったり来たり。失った恋は、時間をかけて想い出になっていくものです。

失恋の傷は新しい恋が癒してくれるという声もありますが、もとの傷の対処をせずに上から新しいもので覆っても、それは一時、気が紛れているだけ。覆ったものが剥がれてしまうと、もとの傷は当然、目に見えてくる……。

そうやって少しずつ恋愛経験を重ねることで思うのは、ひとつの恋が終わった時にしっかりとその恋を自分の中で終わらせる必要がある。忘れようとするのではなく、終わったんだと自分自身で納得することが大切だということ。

そんな恋愛の終わりと始まりについて考えたのは、映画『起終点駅 ターミナル』に、恋愛を含めた人生における終わりと始まりが描かれていたからです。 ホンネスト

物語の舞台は北海道の釧路。25年前に、目の前で恋人の冴子(尾野真千子)が命を絶つ瞬間を目の当たりにした鷲田完治(佐藤浩市)は、その後、妻と別れ、息子とも離れ、まるで自分を自分で裁くかのように、国選しか引き受けない弁護士として釧路でひっそりと生きていました。

そして、ある事件の裁判で出会うのが敦子(本田翼)という若い女性です。この映画は、完治と敦子のラブストリーではないのですが、冴子を想い出にできず25年も自分を責めてきた男が、敦子と出会ったことで未来に進むきっかけをもらう。

敦子もまた、完治に助けてもらうことで彼女自身の恋愛を想い出にする。年齢も境遇も違う、親子ほど年の離れた男と女が、ふたりそれぞれの”あること”を想い出として終わらせ、新しい一歩を歩き始めようとする。すごくドラマチックな映画です。 ホンネスト

終着駅が始発駅になるように、無理に想い出にしようとしなくても、いつか終点であり起点であるターニングポイントが見つかる。そんな恋愛のヒントをもらった気がします。もうひとつ、答えを見つけたくても答えがない場合もあることに気づかせてもらいました。

この連載で紹介してきたこれまでの映画と比べると、少し重々しくて難しいかもしれませんが、たまにはこういう映画に浸る日があってもいいのではないかと。観終わった後に「良い日本映画だった」と何とも言えない余韻が待っています。

『起終点駅 ターミナル』

<キャスト>
佐藤浩市 本田翼
中村獅童 和田正人 音尾琢真 泉谷しげる 尾野真千子
原作:桜木紫乃「起終点駅 ターミナル」(小学館刊)
脚本:長谷川康夫
音楽:小林武史
監督:篠原哲雄

主題歌:My Little lover「ターミナル」(TOY’SFACTORY)

11月7日(土)全国ロードショー

<公式サイト>
www.terminal-movie.com

(C)2015桜木紫乃・小学館/「起終点駅 ターミナル」製作委員会

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