井上陽水、カバーアルバム『UNITED COVER 2』試聴・座談会開催
2015年7月にリリースされた井上陽水のカバー・アルバム『UNITED COVER 2』。9月にはアナログ・レコードも発売され、ハイレゾでの配信もスタートした。そんな同作のサウンドを極上の環境で楽しむ試聴・座談会が、 11月1日にSpincoaster Music Bar(代々木・新宿)で開催された。
出演者は本作のスーパーバイザーの川原伸司氏、アレンジャーの森俊之氏、エンジニアの渡辺省二郎氏。参加者は100名以上の応募者の中から抽選で選ばれた15名の井上陽水ファン、オーディオ・ファンの方々だ。
当日使用されたアンプやスピーカーは渡辺氏が持ち込んだもので、実際にこのアルバムの制作時に使用されたプロ仕様の最上級のものだ。このシステムで、CD、ハイレゾ、レコードの聴き比べが行われた。
選ばれた楽曲は、弦カルテットが聴きものの「夜霧よ今夜も有難う」、大編成ストリングスが聴きものの「シルエット・ロマンス」、ガット・ギターのみをバックに井上陽水のボーカルの真髄が感じられる「夢で逢いましょう」の3曲。「夜霧よ今夜も有難う」はCD、ハイレゾ、レコードで、「シルエット・ロマンス」と「夢で逢いましょう」はハイレゾとレコードでの再生となった。
それぞれの楽曲について、川原氏、森氏、渡辺氏から聴き比べての感想や、制作時の狙いどのように表現されているかなどについて語られた。
■森氏
「CDに比べてハイレゾは、立体感や奥行き、ふくよかさが素晴らしい。陽水さんのこう歌いたいという気持ちまで伝わってくるようだ。アーティストの意図や思いまで届けられるのがハイレゾ。また、レコードもそれにかなり近いという実感だった」
■渡辺氏
「ハイレゾは、僕たちが普段スタジオで体験している音とほぼ同じ。レコードには特有の音が滲んでいるような良さがあって、実際に自分が作った音よりもグッと来る瞬間がある。ハイレゾに甘い蜂蜜を垂らしたような感じというか」
■川原氏
「CDは音が良いというのは幻想で、アナログの音にどこまで近づけられるかということでデジタル技術は進歩してきた。ハイレゾになってやっと、アナログ、そして生の音に近づいたことが分かる。でも、ハイレゾにふさわしい実力のあるアーティストじゃないと、いくら音だけが良くなってもダメだと思う」
また、一般の参加者からも、「普段は携帯プレーヤーでMP3の音を聴いているので、この環境だとCDでもとても良い音だと思った。ところが、ハイレゾだと奥行き感がまったく違っていて驚いた。そして、レコードはそれに温かみが加わっていた」 「ハイレゾの音は、これまで見えていなかったものが見えてくるような感覚があった」 という感動の声が聞けた。
そして、渡辺氏からは「レコードの音は素晴らしいけれど、ここまでの音を再生するにはシステム等にかなりお金もかかります。そういう意味ではハイレゾが最も手軽に良い音を楽しめる手段だと思いますよ」というアドバイスもあった。
最後に参加者の一人がおっしゃった、「音楽の新しい楽しみ方が増えました」という言葉が今回のイベントを象徴しているように思えた。同時に、音楽の楽しみ方が多様化している昨今、その本質に触れる興味深いイベントともなった。
TEXT:細川真平
■『UNITED COVER 2』ハイレゾ配信
mora http://smarturl.it/uncover2mora
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