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セルビアの欧州No.1フェス「EXIT」が魅せる光と影

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Photo credit: KANA「【セルビア女子一人旅 旅行記】ベオグラード&ノビサドの音楽フェスへ

TRiPORTライターのKANAです。
2015年7月8日、私はセルビアの北方の都市、ノヴィ・サドへと降り立ちました。とある世界的に権威のある音楽フェスを目指して。 セルビアといえば、長い間紛争が繰り広げられていたバルカン半島に位置する国家。街のところどころにその傷跡が残りますが、 現在は、夜でも女性一人で歩けるほど治安が良いです。

美しい遺跡や教会の数々、街にはお洒落なオープンカフェが並び、特に首都ベオグラードのナイトライフ文化はヨーロッパの中でもトップクラスの盛り上がりをみせています。そう、今や若者に人気の街となっているのです。

中でも一年に一度、 世界中から大勢の人々が熱気と興奮を持ってセルビアにやってくる時期があります。 それが、2013年、2014年にヨーロッパベストフェスティバル賞を受賞した、国際的ミュージックフェス「EXIT」 。

近頃は世界中で大規模な野外音楽フェスがブームとなっていますが、 このEXITは他の商業的なフェスとは少し…、いや、かなり違います。EXITが開催されたきっかけには、ある悲しい歴史があるのです。

EXITがはじまった裏側の真実

Photo credit: KANA「【セルビア女子一人旅 旅行記】ベオグラード&ノビサドの音楽フェスへ

十数年前まで紛争状態にあったセルビア。その混乱の間、人々は海外渡航の自由を奪われ、抑圧される日々が続いていました。そんな中、反骨精神を抑えきれなくなった大学生たちが立ち上がります。EXITを起こし、このフェスを通して政治変革を訴えていきました。

それが世界中に広まっていき、今年で15年目。今や国際的No.1フェスに成長し、苦労の末に渡航の自由も手に入れることができました。このような背景が他のフェスとは違う点です。フェスの裏には人々の思いの熱さがあるのです。

熱気立つ前夜の一時

筆者撮影

そのような歴史を知ってか知らずか、ここ数年EXITの盛り上がりは右肩上がり。世界中から若者たちが押し寄せ、連日一晩中お祭り騒ぎ。私は開催日の前日からセルビア入りしましたが、セルビアの首都ベオグラードからノヴィ・サドに向かう列車には、奇抜な髪の毛に派手な服装でフェスに挑む若者で満員状態。

前日の夜からノヴィ・サドに乗り込む人も多いのです。なぜかというと、前夜はまた違った楽しみがあるから。夜21時頃、ノヴィ・サドの中心街、スロボデ広場に行くと、そこではもうお祭りが開催されていました。明日から始まるフェスの様子が放映されるステージの前で、飲んで、踊って、気分の高揚を抑えられない人々の渦。ライトアップされた神々しい美しさを放つ聖なる教会の目の前で、爆音でかかるクラブミュージックとネオンの光の対比が不思議な光景を作り出しています。

小道に入れば、そこはまた不思議な空間。セルビア料理のお店や、怪しげな雰囲気を醸し出すバーやナイトクラブがひしめき合い、また小道を抜けると異なるステージが出現し、ここでも人々が飲んで踊っています。フェスの前夜は人々の興奮も最高潮に達してきています。

爆発する人々のエネルギー

筆者撮影

そして迎えたフェス当日。夜が近づくとフェス会場である対岸にそびえ立つ小高い丘の上のペトロバラディン要塞を目指して、人々はぞろぞろと歩き出します。ライトアップされた光に彩られ、神秘的な姿を醸し出す17世紀頃に建築された要塞。それは私たちを迎え撃つかのようでした。

筆者撮影

そして到着した会場は、すでに人々の熱気と興奮でまみれていました。出演者も何かを訴えるかのように声を身体の奥底から絞りだし、楽器で表現し、観客も何かをぶつけるかのように身体全体で暴れています。その熱気は深夜になるにつれどんどんと加速し、朝まで全力で駆け抜けていきました。

その様子は、当初のEXITの裏側にあった人々の気持ちを、心、身体、魂、全てで発散させているかのよう。その場のエネルギー、人々のエネルギー、音のエネルギー、そして人々の訴えかける心全てが混ざり合い、爆発し、参加した同士たちの心が1つになる。そんな一夜だったのです。

Photo credit: KANA「【セルビア女子一人旅 旅行記】ベオグラード&ノビサドの音楽フェスへ

セルビアという国

様々な音楽フェスが、今や日本でも開催されるようになりましたが、熱い思いがこもったEXITは、他のフェスとは一味も二味も違った感覚を味わえます。

ちなみにセルビアは、東日本大震災が起こったとき、すぐさま義捐金を寄せてくれた親日国なのです。しかし今の日本では、その事実を知るどころか、セルビアという国さえ知らない人が多いと思います。少しでもセルビアについて興味を持ってくれることを願います。

■セルビアのノヴィ・サドへの行き方

セルビアには、トルコ航空でイスタンブールを経由し渡航可能。首都ベオグラードの空港へ辿り着いたら、列車かバスでノヴィ・サドへ。レイルヨーロッパのユーレイルパスを持っていると、セルビア内含めヨーロッパ28か国に繋がる列車に乗り放題(高速列車や寝台列車は別途料金がかかることも)。ヨーロッパを周遊するのに非常に便利です。なお、トルコ航空はトランジット時に待ち時間が一定以上になる時は無料で一泊させてもらえます。

■EXIT時期の宿泊先

フェスの時期はどこも大抵値上がりします。宿はユースホステルが特におすすめ。世界中の国々から集まった他の宿泊客と交流し、一緒にフェスを楽しむこともできます。

◆文:KANA「HOTな海外オシャレ旅LIFE」「TRAVEL PHOTO集」 (世界を飛び回るフォトジャーナリスト。人々の暮らしや世界観を写真と文で表現。多数のメディアで旅の連載を持ち、ガイドブックも手掛ける。)
Photo by: KANA「【セルビア女子一人旅 旅行記】ベオグラード&ノビサドの音楽フェスへ

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