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武藤嘉紀「慶大時代の膝痛克服体験」が一流選手への扉開いた

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 ドイツのブンデスリーガで活躍するサッカー日本代表の武藤嘉紀選手といえば、ユース時代から活躍が伝えられていたスポーツエリートで、しかもしかもさわやかな慶応ボーイ。天は二物も二物も与えることがあるのだと感心させられる現在の活躍ぶりだが、学生時代には選手生命を危ぶまれる時期もあった。なぜケガを克服できたのか。(文・医学ジャーナリスト市川純子)
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 ドイツのブンデスリーガ・FSVマインツ05で活躍する武藤嘉紀選手。現役慶応大生として日本代表に選ばれた当時はイケメン、高身長、高学歴の三拍子揃った選手が現れたと話題になりましたが、活躍するまでにはケガとの闘いがありました。彼の才能を花開かせた慶應義塾大学ソッカー部監督で医学博士でもある須田芳正氏は、ケガと真摯に向き合った学生時代の姿勢がその後の活躍を支えたと言います。

「武藤君は大学1年の頃、試合中の接触により左膝半月板を損傷。膝のケガが原因で1年ほど試合に出られない時期がありました。サッカーができない時期も運動だけでなく食事や栄養も自主的に勉強し実践していました。一流選手になるためにはケガとの向き合い方が重要です」

 下半身のケガをきっかけに、そこをかばって他の部位も傷めるアスリートは多い。ケガをしたら適切な治療をしないと、現役を引退しても不調に悩まされ続ける可能性があると須田氏は警鐘を鳴らしています。

「スポーツ中に発生する怪我の統計をみると下半身が多く、なかでも足の関節や膝のケガは重症化しやすいという傾向にあります。選手にとって足首の捻挫はとてもよくあること。ただし足首の捻挫を繰り返し、そこをかばうと膝の負担が増えます。特に膝の場合繰り返し痛めてしまうことで、慢性的な痛みを抱え選手生命や選手寿命を大きく左右します。さらに中年以降にその後遺症により階段がおりづらいなど慢性的な痛みが現れやすくなります。

 現在変形性膝関節炎に悩む方は国内だけで3000万人いると言われています。若いとき、特に半月板損傷などのケガをした選手はきちんと治しておくことが大切です。また指導者や親もケガをした場合の知識は必要です」

 また須田氏は、若いサッカー選手が膝を痛めてしまう意外な原因を指摘しています。

「人工芝は水はけもよく、雨の日でも競技が行なえる全天候型で便利です。ただし以前の人工芝はサッカーの練習において足首や膝にダイレクトに衝撃を与えていました。中学・高校時代長期間にわたり、人工芝で練習していることで大学入学時は膝に痛みを抱えている学生もいます」

 須田氏の教え子で現在30歳のN君は、大学入学当時『もう膝がボロボロですから』と走ることも難しくサッカー部入部を諦めていました。それまでの練習環境を確かめると、人工芝で長年練習を続けていました。辞めるつもりだった彼に「才能は申し分ないのにサッカーを諦めるのはもったいない」と須田氏がアドバイスし、膝の軟骨をケアできる食品を食事に加えて、リハビリをしてケガを克服。その後4年間レギュラー選手として活躍しました。

 第二の武藤選手を夢見る選手が暮らす慶応義塾体育会ソッカー部の寮の食堂では選手自身が自ら体やケガについて学び、膝などの軟骨や、傷んだ筋肉の修復のための栄養や食事の摂り方などの情報交換が積極的に行われているそう。理論的かつ戦略的。スポーツ推薦や入試制度がないにも関わらず多くのプロ選手を輩出する、文武両道の慶応サッカーの強さの秘密はそこにあるのかもしれない。

※慶應義塾大学では、1927年の体育会公認の部となったときから「サッカー部」ではなく「ソッカー部」を名乗っている。”Soccer”の発音はソッカーに近いと言う初代主将の命名による。


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