学生を遊ばせている「名ばかり大学」より、開き直った「就職予備校」の方が社会の役に立つ

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学生を遊ばせている「名ばかり大学」より、開き直った「就職予備校」の方が社会の役に立つ

大学の授業よりも「就活」の方が成長できると書いた前々回の記事に対しては、「大学は就職予備校ではない。研究機関だ!」という批判をだいぶいただきました。確かに大学の中には、研究機関として実績を挙げているところも存在します。

しかし、中堅から下位の大学ともなると、とても研究機関などと言える状態ではないのが現実でしょう。高校どころか中学レベルの学力すら危ない学生もおり、所属している教授や職員は認めないでしょうが、そんな大学で研究などできるわけもありません。(文:河合浩司)
「小学校の算数レベル」を教える大学職員

先日、毎日放送がウェブ上に掲載した「急増!大学中退に究極の対策『辞めるなら来るな』」という動画を見ました(現在は配信終了)。登場する大学職員は、学生の学力があまりにも低いので、なんと「小学校レベルの算数のケアをしている」と言っています。

学力が低い大学の職員方の苦悩が見て取れる動画ですが、こうなってくると、もはや高等教育を施す「大学」の姿ではありません。

このような学生を排除するためには、本来は「学力」で入学時に選別をすべきですが、選別をしすぎると学生が残らなくなってしまいます。企業でいう「売り上げ」(授業料収入や補助金)を自ら大幅に下げる手段はとても取れないのです。

もちろん、大学も努力しているとは聞きます。「革新的な授業をしている教員がいる」と聞いて見学に行ったこともありますが、授業が終わった後、学生たちに「どうしてこの授業を選んだの?」と聞くと、「先輩から単位が取りやすいと聞いて」という答えが返ってきました。

変わった授業をしただけで、教育効果がいきなり変わることはないのだと思い知らされました。この大学の学生が弊社の筆記試験を受けにも来てくれていますが、学力の低さは相変わらずです。
研究成果がないから「就職内定率」をアピール

このごろ電車に乗っていると、大学のオープンキャンパスの広告を見かけます。学園祭の宣伝と共に、高校生や保護者にアピールするものです。広告には「就職に強い!」「就職には○○大学」「就職に自信あり」などという文言が書かれています。

これらを見ると「あぁ、この大学も職業訓練校であることを自分から言うんだなぁ」とつい思ってしまいます。

研究機関として実績のある大学であれば、その内容を宣伝できます。しかし、基礎学力が崩壊している大学は、研究の実績など掲げられるはずもありません。それでも集客のためには何かを打ち出す必要があるので、苦肉の策として「就職内定率」などという切り口に頼らざるをえなくなります。

私たち採用担当者は、そのような大学から学生を採用する際に「大卒だから高度な知識を身に付けているだろう」とは考えていません。「高卒よりも採用しやすいから」という理由で採用しているに過ぎないのです。

とはいえ、学生集めのために開き直って入学後のケアを売りにする「就職予備校」「職業訓練校」的な大学の方が、学生を遊ばせているだけなのに研究機関を名乗る「名ばかり大学」よりも、社会の役に立っているといえます。
せめて「読み・書き・四則計算」くらいは教えて

以上、ある種の大学においては研究をする振りをするよりも、「就活」に向けた努力を地道にした方がよいという考えが、お分かりいただけたのではないでしょうか。中堅下位校であれば、1年時から長期のインターシップに入ってもいいはずです。複数の現場で働きながら仕事を覚えれば、自分の特性や企業との相性も分かってきます。

授業では社会人生活に欠かせない基本的な「読み・書き・四則計算(中学生レベル)」を訓練するほか、インターン先の企業に提案できることを考えたり、営業や接客などの研修をしたりすることも有益でしょう。「かなり多くの大学生は、もう学究の徒などとはいえない」という現実を見据えた対策をすべきです。

あわせてよみたい:企業が「大卒」を採用条件にする理由
 

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