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栄光をつかんだアスリートが「第二の人生」で転落する理由

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 来年2016年はブラジル・リオデジャネイロオリンピック、2020年は東京オリンピックと、アスリートたちの活躍を楽しみにしている人は多いだろう。テニス、卓球、水泳、体操、レスリングなど、日本人選手のメダルにも期待がかかる。

 過去にも多くのトップアスリートたちがメダルを手にし、スポットライトを浴びてきた。しかし、どんなエリート選手でも、第一線を退くときは来る。引退後、自身の人生を台無しにしてしまう行為をしてしまうメダリストもごく一部いる。現役時代だけでなく、引退後の生き方にメダリストとしての人間性を問われることになるのだろう。

 『残念なメダリスト』(山口香/著、中央公論新社/刊)では、著者の山口氏が、浅田真央、なでしこ、錦織圭ら現役スターから、柔道の嘉納治五郎・山下・篠原、「東洋の魔女」らのレジェンドまでを振り返りながら、本物のチャンピオンの資格を問う一冊だ。
 山口氏は、1984年、第3回世界選手権で日本人女性柔道家として史上初の金メダル。88年、ソウルオリンピックでは銅メダルを獲得。「女姿三四郎」と称賛された。2011年、JOCの理事に選出。13年、全日本柔道連盟監事ならびに東京都教育委員会の教育委員に就任した。

■引退後のアスリートたちが陥る罠
 現役引退したアスリートたちは、その後、どんな道があるのか。監督やコーチなどの指導者、解説者が自分の経験を活かせる仕事だが、その採用枠はごく限られている。また、タレントになる人や有名人としての知名度を活かして政治家になる人もいる。こう見ていくと、アスリートの引退後の選択肢は限られてしまっていて、多様な受け皿や選択の道が準備されておらず、多くのアスリートたちは、少しの可能性と限られた領域の中で「第二の人生」を模索しなくてはならないのが現状なのだという。

 そんなメダリストが陥りやすい罠について山口氏が明かす。
 現役時代はちやほやされたが、現役引退した途端、周囲の態度が変わる。そのことにショックを受けるアスリートは多いというのだ。しかし、その時こそ、その人の真価が問われる。アスリートやメダリストは社会的な経験や失敗体験が少なく、危うい判断をしてしまうこともあり、良いことばかり言って近づいてくる人は警戒しなければいけないことに気づかず、簡単にだまされてしまう。栄光を手にしたメダリストほど、そんな罠に落ちやすいそうだ。

 アスリートのセカンドキャリアをどのように生きるのか。第二の人生のイメージも描くことなく突然現役時代が終わり、対応できない人も出てくる。狂った人生の歯車はそう簡単に元に戻せられないだろう。その事実を受け止めながら、自分の力を活かしながら生きていくためには、とてつもない精神力や自覚が必要になる。そうした心の準備や覚悟ができない人は「メダリスト失格」なのだと、山口氏は述べる。

 メダリストが置かれる苦悩もあり、人生を踏み外しかねない落とし穴もあるが、それでも、アスリートとしても、人としても、素晴らしいメダリストはたくさんいる。リオや東京オリンピックでも、テレビの中継や解説で引退したメダリストやアスリートを見ることも多いはず。そんな元アスリートたちの言動に注目してみるのも、また違った見方ができるだろう。
(新刊JP編集部)


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