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Album Review: 『三枝伸太郎 Orquesta de la Esperanza』 聴く者の心に寄り添う優しいサウンドで、日々感じるささやかな希望を演出

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 目を閉じて聴くと、様々な情景が浮かび上がる音楽。そういった音楽はもちろん多数存在するが、作曲家の三枝伸太郎が生み出す楽曲とアンサンブルも非常に映像的だ。彼のグループをそのままタイトルに冠したファースト・アルバム『三枝伸太郎 Orquesta de la Esperanza』は、まるで映画のサウンドトラックのように聞こえてくる逸品である。

 彼らの音楽をシンプルに説明すると、クラシカルなサウンドのタンゴだ。三枝自身のピアノとバンドネオン奏者の北村聡を核に、吉田篤(ヴァイオリン)、沖増菜摘(ヴァイオリン)、吉田篤貴(ヴィオラ)、島津由美(チェロ)という6人で構成されている。よって、リズムミカルな楽曲は控えめで、いわゆる踊れるタンゴを演奏するわけではない。冒頭の「Spring is coming」に代表されるような、静謐でたおやかな室内楽サウンドが特徴だ。とりわけ、中盤のメインとなる組曲形式の「希望の季節」を聴けば、彼らがやりたい音楽を理解することができるだろう。楽器同士が緻密に絡み合いながらも、学術的で難解なものではなく、聴く者の心にそっと寄り添うような優しいサウンドに溢れている。震災以降の春の終わりから夏までを描写した楽曲だということを知らなくても、そこに秘めた哀しみを感じることができるだろう。

 他にも、小田朋美のヴォーカリーズをフィーチャーした「忘れないと誓ったぼくがいた」や、唯一のカヴァー曲であるアストル・ピアソラの「Libertango」、大胆な構成とダイナミックな個々の演奏に圧倒させられる13分近い大作「At the sky in moscow」など、とにかく聴きごたえのある力作で、ヴォリューム感もたっぷり。とはいえ、けっして重厚や難解さはなく、どこか人間味を感じさせるのも三枝のアレンジの強みだろう。そして、曲が変わるたびに、脳裏に浮かび上がる映像も変化していくのが心地いい。グループ名にある“Esperanza”とは、スペイン語で“希望”を意味する。日々感じるささやかな希望をやさしく演出するサウンドトラックとして、このアルバムは常にそばに置いておこうと思う。

Text: 栗本 斉

◎リリース情報
『三枝伸太郎 Orquesta de la Esperanza』
三枝伸太郎
2015/09/25 RELEASE
2,700円(tax incl.)

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