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医師・日野原重明と5人の美の巨匠の対談から見えてくるもの

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 1911年生まれ、100歳を超えた現在も活躍し続けている医師・日野原重明さんが、同じく長寿な日本を代表する美術家たち――篠田桃紅さん・堀文子さん・入江一子さん・後藤純男さん・高山辰雄さん――と対談を繰り広げる本書『一〇〇歳が聞く一〇〇歳の話』。

 90年、100年という年月を生きながら、今なお芸術と向き合い続ける5人の美の巨匠たち。本書を読み進めていくと、追い求めるには人間の一生ではとても時間が足りないほど、芸術とは奥深いものであること、それでも幾つになってもあくなき探究心を持ち続けることによって、少しずつ見えてくるものがあるのだということが伝わってきます。

 1916年生まれの画家、入江一子さんは、歳を重ね次第に絵がわかってきたところであるため、まだ10年ほど時間が欲しいと述べられます。あるいは1918年生まれの画家、堀文子さんも「絵なんていうものは、一生やってても、役に立つわけでもないし、一生をかけてやっても、これで終わりということがない」(本書より)ものだと指摘。それでも90歳を超えたこの頃になって、漸く日本画とはどういうものか少しわかってきたのだといいます。

 一生を通し、それも100年近く向き合い続けることにより、初めて少しずつ見えてくるものがあるという芸術の世界。医師である日野原さんは、5人の美術家たちとのこうした対話を進めるなかで、改めて医療と芸術との共通点を認識したといいます。

「私は聖路加国際病院に内科医として赴任した一九四一年から現在まで、どうしたら病んだ人の心と体、そして魂をもケアをすることができるか、という課題に取り組んできました。その過程で確信したのは『人間を癒すのは、芸術である』ということです。人は苦しみのなかにあるときにこそ、自分のことを省み、他人の苦しみにも共感できるようになります。それは、感受性が高まっていることの証です。そんなときに、そばに芸術、すなわち美術や音楽があれば、どれほど心癒されることでしょう。医療と芸樹は、人生を豊かにするという点において、共通点が非常に多いのは真実だと思います」(本書より)

 職業は違えど、それぞれ医師として、美術家として、長年ひとつの道に生き探究し続けてきたからこそ、いま思うこと。日野原さん、そして5人の美術家たちのひとつひとつの言葉からは、学ぶべきことが多々あるはずです。

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