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海越しに電波を飛ばせ! 「世界遺産・屋久島でスマホが使える」を実現した驚愕のアイデア

2015年7月、福岡県の官営八幡製鉄所や「軍艦島」の通称で知られる長崎市の端島炭坑などの23施設が「明治日本の産業革命遺産」として新たに世界遺産に登録され、話題を呼んだのは記憶に新しい。これによって日本における世界遺産登録数は19となった。そのうち、景観や生態系が対象となる自然遺産は「知床」「白神山地」「小笠原諸島」「屋久島」の計4ヶ所。いずれも手付かずの大自然が残る場所であり、電波が届いていないようにも思えるが、KDDIはエリア対策を行っており、携帯電話やスマートフォンを使用することができる。今回はそのうちのひとつ「屋久島」に焦点を当て、屋久島の自然遺産地域内をどのようにエリア化しているのか、その秘密を探ってみることにした。


1993年、世界自然遺産に登録された屋久島。樹齢数千年の屋久杉が織りなす美しい自然景観や亜熱帯特有の豊かな生態系は、他に類を見ない

「屋久島」の基地局は「種子島」にある!?

T&S取材班がまず向かったのは、九州の南に浮かぶ島、種子島。古くは鉄砲伝来、そして最近ではロケット発射場があることで知られるこの島に、屋久島で携帯電話やスマートフォンが使える秘密が隠されているという。

種子島に到着後、屋久島をエリア化するプロジェクトに携わったKDDI福岡エンジニアリングセンターの伏見正則と合流。島の南部に位置する携帯電話の基地局に案内してもらい、話を聞いた。


今回の取材には編集部員の大ちゃんも同行。小型のプロペラ機で鹿児島から種子島へ!

種子島から屋久島へ、どうやって電波を飛ばしているのか?

――屋久島の自然遺産地域内をエリア化するため、どのような手法を取っているのでしょうか?

「屋久島は観光地として人気ですが、景観上の問題や電源を確保できないなど様々な制約があり、島内の自然遺産地域内に携帯電話の基地局を設置することができません。また、地形が険しく、島内の他の地域から自然遺産地域に向けて電波を飛ばすことができないという事情もあります。そのため、観光客の方々は、屋久島の美しい自然をスマートフォンで撮影しても、SNSに投稿するなどリアルタイムで共有することができずにいました。そのようななかで捻り出したアイデアが、“島の外から電波を飛ばす”という特殊な手法だったのです」


種子島から電波を発射することで、基地局が設置できない屋久島の自然遺産地域内のエリア化を図った

――えー!? 屋久島と種子島は隣とはいえ、結構離れていますよね。海を超えて電波って飛ばせるんですか?

「種子島から屋久島は約35km離れています。我々が採用したのは、強力な電波をピンポイントで飛ばせる特殊なアンテナ。それを種子島南部の既存の鉄塔に設置し、屋久島に向けて海越しに電波を発射することで、縄文杉をはじめとする自然遺産地域内のエリア化を図ったんです。35km離れた場所に電波を飛ばすのは技術的にとても難しく、角度が1度ずれただけで、狙いたいところから600mほどずれてしまいます。そのため、電波がきちんと届くかどうか、検証に検証を重ねたうえで、工事に着手しました」

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