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【ライヴ・レポート】まがりかど、17歳から20歳へ 最後までゆるかった活動休止ライヴ

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4人組ガールズ・バンド、まがりかどが9月27日、東京・新宿紅布で行われたイベント〈奇天烈大発火!! -ありがとうございまがりかど-〉に出演。このライヴをもって、バンドとしての活動を休止した。

この日のイベントは、ゆゆん、ハラフロムヘル、わがままカレッジが出演。まがりかどはトリを務めた。バンドとしての現時点での最後の姿を見ようと会場には多くの人が詰めかけ、身動きするのも大変なほどの満員となっていた。セッティング中は終わりなどまったく感じさせない、いつもどおりの彼女たち。半笑いのようなゆるい表情を浮かべながら、各々の楽器を鳴らしていた。

ザ・ラヂオカセッツ「ロックンロール」が流れるなか、暗転して4人が登場すると、客席は早くも感情を爆発させステージに声援を送る。4人がステージ上で拳を突き合わせて「せーの」と合図。「ありがとうございまがりかど~」と声を合わせると、あいさつ代わりに「はじめまして」を演奏。続けて「ロックスター」で一気に場内の熱気を上昇させ、せいちゃん(Vo&Dr)が「やっほー! まがりかどだよー!!」と元気いっぱいに告げると、観客はメンバーの名前を口々に絶叫した。

「ゆきみー!!」「みさちゃーす!」と叫び声がこだまするなか、それをさえぎるように「静粛に、静粛に」と、くどうゆきみ(Vo&Key)が口を開く。「こんなたくさんの人にきていただけるなんて… やべー。いつもがらがらの紅布でやっていたので、めちゃくちゃうれしい。うちら、やってきて良かったなと思います。ありがとうございます」としみじみ語った。

まがりかどらしいどこかノスタルジックな新曲を挟みつつ、ドラムのカウントから「ダメなところ」へ。「届け届け届け! 全部わかってほしいなんて言わないけど ちょっとくらい分かってよ」というメッセージが響く。ライヴハウスで出会ってろくに楽器もできなかった彼女たちは、きっとこの歌詞のような思いからバンドをはじめ、ここまで辿り着いたのだと思う。

せいちゃんが「ベースのあさちさん以外、みんな二十歳になりまして… 歳をとりましたね」と切り出すと、あさち(Vo&Ba)は「唯一の10代なので、存分にチヤホヤしてください」と笑った。そして、くどうみさき(Vo&Gt)が「バンドを組んだときは17歳だったんですけど、そのこじらせていたときに作った曲を」と紹介し、当時の等身大の気持ちを歌った「17歳」を演奏。さらに手拍子のなか、ゆきみがアカペラで歌うと「18(仮)」がはじまった。バンドが重なり、ほかのメンバーも順に歌っていく。まがりかどは、メンバー全員がヴォーカルを務める不思議なバンドだった。そのハーモニーは、この日もたまらくエモーショナルに心に響いた。

せいちゃんの伸びやかなヴォーカルを合図に、まるで終わりに向けて駆け抜けていくかのようにアップ・テンポな「U」が披露された。拍手に包まれながら、ゆきみが「残り2曲になりました」と告げる。みさきは「紅布がはじめて来たライヴハウスなんですよ」と話すと、ライヴハウスについて歌った煌びやかなロック・ナンバー「青とオレンジ」へ。曲間なしで1st音源『まがりかど、まがったら』収録の「知らない星に願いをこめて今を見ようとしないあなたたちへ」と続いた。感情のこもった力強い演奏で本編は終了。ほかのメンバーが笑顔を見せても、みさきは最後まで顔をこわばらせながら歌っていた。

アンコールに応えて4人がステージに戻ると、ひとりずつ胸中を語った。せいちゃんは「2年間まがりかどを支えてくれて、ありがとうございました。はじめてのライブが自分たちの初企画で、そこでたくさんいろんな人に集まっていただいたんですけど、今日はそのときよりたくさんの人が来ていて、この2年間でたくさんの人で出会ったなと思って… すごい、みなさんとの出会いに感謝しています。ありがとうございます!! みんなツイッターやってるから、それぞれの活動を見守っていてくれるとうれしいです」と声を詰まらせながら話した。

ゆきみは「私は本当にまがりかどのことが大好きなんですけど、一番大嫌いでもあります。それは、友達とは違うから、うちらは。いろいろわかちあってきて、みなさんがいたからここまでやってこれました。ありがとうございます」と感謝を告げた。

あさちは口を開くと同時に涙があふれる。「私の性格では、まがりかどをやらなければ、こんなに多くの人と出会えることはなくて… 本当にみなさんのことが大好きです。まがりかどは休止しちゃうんですけど、まがりかどの音楽は止まらずに聴けるので、ぜひ音源やYouTubeでたくさん聴いてください」と振り絞るように語った。

再びゆきみが「私はバンドが組むことが夢だったので、その夢がかなって、すごいですよね。とにかく感謝しかないというか… とにかくラブって感じです」と話すと、最後にみさきが「私たちはもともとライブハウスに、みなさんと同じようにお客さんとしてきていて。本当に『やっちゃう?』みたいなノリではじめたんですけど(笑)。そのへんの4人で組んだみたいな感じで。すごい楽しかったです。楽しいことは辞めないけど」と締めくくった。

こみあげる感情を抑えきれない様子のせいちゃん、あさちとは対照的に、普段と同じようにゆるい表情で話すみさき、ゆきみの双子姉妹の顔が印象的だった。この2人は決して活動休止に対して思いがないわけではなく、きっとただ単に感情を表すのが苦手なだけなのだろう。

せいちゃんが「最後に、はじめて私たちが出会った街、はじめてスタジオに入った街、その日は日曜日、な歌を歌います」と話すと、みさきも「ライヴハウスにかよう、みなさんと私たちの歌を聴いてください」と紹介。「せーの、ワン、ツー、スリー、フォー」と口でカウントして「下北沢」がスタートした。最後に選ばれた曲は、彼女たちのはじまりの曲だった。「どんどんみんな会えなくなって あなたにもいつか会えなくなってって」。そんなフレーズを残して、ライヴは終わった。

演奏が終わり、最後は客席もステージもみんな笑顔だった。ステージからアメ玉をばらまいたあと、仕切り役がいないぐたぐたな記念撮影タイム。このバンドはいつも誰が前に出るわけでもなく、4人でひとつという奇跡的なバランスで成り立っていた。終演後も、物販やチェキ撮影の列が遅くまで続いていた。多くのファンに愛されながら、バンドはその活動を休止した。

まがりかどは、2013年5月に開催した自主企画で初ライヴ。イベントは満員となり、その後も目立った宣伝なしで順調に動員を増やしていった。2014年には10代の登竜門的イベント〈閃光ライオット〉の3次審査まで進出。今年も同イベントの意志を継ぐ〈未確認フェスティバル〉の3次審査まで駆け上がった。

その状況だけをみれば、とても恵まれたバンドだった。まがりかどは、もともとライヴハウスにあしげく通っていた大の音楽ファン同士で結成されたバンドだったため、自然とまわりも応援するようになったのだろう。しかしだからこそ、同時に危うさを秘めたバンドでもあったように思う。大きな志があるわけではないから、メンバーの心境や関係性の変化、ほかに夢ができたり就職したりといった環境の変化が生じた時点で、いとも簡単に終わってしまう気がしていた。明確な理由は語られなかったが、4人は活動休止という決断を下した。最後に演奏した「下北沢」を作った時に17歳だった少女たちは、きっと当たり前のようにあの頃よりも大人になったのだと思う。それと同時に、最後まで飾らない、ファン目線のままの愛すべきバンドだった。

みさき、ゆきみ、せいちゃんの3人は音楽を続けるようだ。まがりかどとしてのライヴをまた観られる日が来るのかはわからないが、その日を気長に待ちつつ、今後の彼女たちの活動を追い続けたい。(前田将博)

下北沢/まがりかど

https://youtu.be/S9oY4bquZIQ

撮影 : ぬまめん(@numatter_365)、たけお

まがりかど〈奇天烈大発火!! -ありがとうございまがりかど-〉
2015年9月27日(日)新宿紅布

1. はじめまして
2. ロックスター
3. 新曲
4. ダメなところ
5. 17歳
6. 18(仮)
7. U
8. 青とオレンジ
9. 知らない星に願いをこめて今を見ようとしないあなたたちへ

アンコール
10. 下北沢

・気鋭のガールズ・バンドまがりかど、インタヴュー&初音源配信開始 (OTOTOY特集ページ)
http://ototoy.jp/feature/2014081402

・まがりかど オフィシャルサイト
http://magarikado-hp.tumblr.com

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