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40代後半の乳がん 罹患率上昇も死亡率一定はマンモの影響か

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 タレント北斗晶(48)の乳がん告白で、マンモグラフィ(乳房エックス線検査)に対する疑問の声が上がっている。毎年マンモグラフィを受診していたにもかかわらず、北斗が右乳房に違和感を覚え病院を訪れると、直径2センチのがんが発見されたからである。なぜ発見が遅れたのだろうか。乳がん診療歴40年以上の近藤誠医師(近藤誠がん研究所・セカンドオピニオン外来)は、こう解説する。

「マンモはレントゲンですから、脂肪部分は黒く、乳腺の部分は白く映ります。がん病巣は白く映る。乳腺がびっしり張り巡らされていると、がん病巣があっても、雪原に白ウサギがいるようなもので、見つけるのはなかなか難しいですよ。だから乳腺密度の高い若い人ほどマンモを受ける意味がない。

 今回の北斗さんのがんは、1年の間に急激に大きくなったなどと言われていますが、毎年見逃されていた可能性が高いですね。また乳頭の真下で見つけにくい場所だったという人もいますが、マンモの場合、位置は関係ありません」(近藤氏・以下同)

 北斗は自身のブログで「女性の皆さん、若かろうが年を取っていようが乳癌検診に行ってください!」と呼びかけているが、若い世代に対してはマンモはあまり有効ではない側面もあるようだ。それどころか、マンモグラフィは今世界的に不要論が高まっている検査だと近藤医師は指摘する。

「アメリカでは2009年に米国予防医学専門委員会が、40歳代には利益より不利益の方が大きいのでマンモグラフィを推奨しないようにと国に勧告しました。スイスの医療政策を決める医療委員会では、60万人以上の女性を対象に行った研究の結果、“マンモグラフィ検診は乳がんの全死亡率を低下させない”と結論し、検診の廃止を提案しています。日本ではほとんど報道されていませんが、世界トップクラスの医学雑誌『ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディスン』に発表されています」

 また昨年、カナダのトロント大学が約9万人の女性を対象に最長25年間追跡した比較試験(マンモグラフィ検診を受けたグループと、受けないグループの比較)を行った結果、受診グループと非受診グループの間に死亡率の有意差はなかったと発表している。近年こうしたマンモグラフィの有効性を否定する研究データが相次ぎ、検診意義を問う声が世界的に高まっているのだ。

 実は日本乳癌学会も、40歳代のマンモグラフィの受診推奨度は「積極的には推奨しない」を意味するグレードBをつけている。しかも今年7月に発表された改訂版「乳癌検診ガイドライン」によると、今後さらにグレードを下げ、「推奨しない」とする可能性も言及されている。しかしマンモグラフィは触診やエコー(超音波)検診ではわからない微小ながんが発見するのが得意だったはずだが……。

「5ミリ以下の微小ながんが発見できると言われていますが、それは主に乳管内にカルシウムが沈着して石灰化したもの。石灰化した物質は明るく光って見えるので発見しやすいのです。ただ、乳管内がんの99%以上は臓器転移をせず、生命に関わらない“がんもどき”ですから放っておけばいいのです」

 近藤医師が示したグラフ(出典:国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター)は45~49歳の女性の乳がんの罹患率と死亡率を表したものだ。罹患率は右肩上がりだが、死亡率はほぼ一定である。

「罹患率が上がり続けているのは、マンモグラフィによって微小ながんを発見される人が増えているからです。検診機関や乳腺外科医が言うように、早期発見・早期治療で助かるというなら、死亡率は罹患率に反比例して下がっていくはずです。ところが、そうなっていない。マンモで発見されるがんのほとんどが命に別状のない“がんもどき”だということです」

 マンモグラフィ検診は本当に必要なのか。再検証が必要な時期に来ているようだ。

◆近藤誠(こんどう・まこと):1948年生まれ。慶應義塾大学医学部放射線科講師を2014年3月に定年退職。「乳房温存療法」のパイオニアとして知られ、安易な手術、抗がん剤治療を批判。現在「近藤誠がん研究所・セカンドオピニオン外来」を運営。著書に『がんより怖いがん治療』、近著に倉田真由美氏との共著『先生、医者代減らすと寿命が延びるって本当ですか?』など。


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