知っておきたい小屋の注意点 建築確認は? 固定資産税は?

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知っておきたい小屋の注意点 建築確認は? 固定資産税は?

昨今、ミニマムな「小屋」がひそかなブームになりつつある。立派な別荘などいらないが、自分の趣味部屋や非日常を楽しめる空間があったらいいなという人が増えており、簡単にネットで注文もできる。しかしながら「小屋」を建てるにあたっては、知らないと後悔することもある。今回は、知っておくべき「小屋建築の注意点」を紹介しよう。
建築確認申請がいるかは、こうやって決まる

「小屋」と聞いて、あなたはどんなモノを思い浮かべるだろうか? 山小屋、物置小屋、ボート小屋、はたまた犬小屋まで、人によって規模もカタチも違うはず。でも「あきらかに、家とは違うぞ!」と思っているのではないだろうか。

しかしだ、家を建てるときに守らなければならない建築基準法には「小屋」の定義はない。屋根と柱と壁があれば、すべて「建築物」となり、小屋も立派な建築物になる。そして、基本的に床面積が10m2を超える建築物を建てる場合は確認申請が必要となってくる。
えっ、じゃあ物置はどうなの、確認申請を出しているの? 確認申請を出したら固定資産税もかかってくるの? 10m2以内ならいいの? と頭はクエスチョンマークだらけになるかもしれない。

ということで、まずは小屋を建てる際に確認申請が必要かどうかを整理しよう。
最初に言ってしまうと、防火地域・準防火地域でない地域で、すでに住宅が建っている土地に床面積が10m2以内の小屋を建てる場合は建築確認が不要だ。それ以外の多くの場合は建築確認が必要なのだが、具体的にチェックするポイントは下記のとおり。

■建築確認申請が必要かどうかのチェックポイント
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(1)「都市計画区域」か「都市計画区域外」か
まずは小屋を建てる土地が「都市計画区域外」の場合、確認申請は不要だ。「都市計画区域」や、都市計画区域外でも「準都市計画区域」に指定されている区域の場合は、以下を確認しよう。

(2)「更地に小屋のみを新築」か「母屋が建っている土地に小屋を増築」か
更地に小屋を「新築する」場合は、確認申請が必要。すでに住宅(母屋)が建っている土地に小屋を増築する場合は、次の(3)・(4)・(5)を確認しよう。

(3)土地は「防火地域・準防火地域」か
小屋を建てる土地が防火地域・準防火地域に指定されている場合は、確認申請を出す必要がある。さらに、小屋であっても防火地域・準防火地域の基準を満たす不燃仕様が求められる。

(4)小屋は「10m2」を超えるか
防火地域・準防火地域でない地域で、10m2以内の小屋の増築なら確認申請をしなくても建てられる。

(5)土地の「用途地域は無指定」か
最後に、防火地域・準防火地域でなく、10m2を超える小屋を建てたい人は、土地の用途地域が無指定であれば、床面積にかかわらず確認申請はなしで建てられる。首都圏でも郊外に出れば無指定エリアもある。
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ちなみに東京都23区の場合は、防火地域・準防火地域が多い。首都圏であっても、郊外に出れば無指定エリアもある。

ここで注意したいことがある。小屋を増築する場合、すでに建っている建物と容積率や建ぺい率が合算になるので、その土地の容積率・建ぺい率の範囲内におさめる規模にすることが必要だ。

はっきり言って、建ぺい率、容積率いっぱいで建てていることが多い都心で小屋を建てるのはむずかしい。
小屋を建てるなら郊外、無指定エリアだ。1つの区画に1つの建物しか建てられないって本当!?

建築基準法施行令では、1つの区画に1つの建物しか建てられないという法律がある。基本的に、1つの区画に2つも3つも家は建てられないのだ。しかし、ここに例外がある。生活に必要な用途不可分の建物、例えば風呂やトイレのようなものなら建てられる。母屋に付随する離れも、1つの区画に建てることができる。

どういったものが離れになるのか? そこの見極めは、離れだけで生活が完結してしまうかどうか。離れにトイレや風呂、キッチンなど水まわりが完備されていると、離れではなく1つの建物とみなされるようだ。自分自身で判断がつかない場合は、その土地がある市町村役所の都市計画課に聞いてみるとよい。

また別荘地などにおいては、1区画に1建物と特別のルールが定められており、離れも建てることができないところがある。事業者によって異なるが、小屋を建てられない場合もある。別荘地に建てる場合はその管理会社に前もって相談してみよう。小屋に固定資産税はかかる?

確認申請を出して小屋を建てたから、この小屋に固定資産税はかかるかも……と思っている人もいるかもしれない。しかし、確認申請→固定資産税ではない。確認申請は建築基準法上のもので、自治体の建築課に申請を出すと、竣工時に書類に沿って建築されているかどうかの審査を受け、合格すれば検査済証が受けられるというもの。

一方、固定資産税は税務署の管轄。固定資産は、土地への定着性があるかどうかで判断される。基礎をつくって建てると家屋となって固定資産税がかかる。ブロックのような簡単なものの上に置かれている場合は構築物となり、固定資産税の対象とならない。基礎をつくらないということは、地震や豪雨といった災害時の安全性に欠ける恐れもあるので、十分検討しよう。小屋の価格に基礎・塗装・電気工事代は含まれない!

法律面、税金面での注意点のほか、予算面の注意点もある。小屋はキットを自分で組み立てる50万円くらいのものから、施工会社が施工する250万円以上のものまで多彩だ。もちろん設備の状況もまちまち。そこでネットで小屋の販売をしているSuMiKaの石畠さんに、小屋にかかるお金について伺った。

【画像1】170万円で販売されているヒロ建工の小屋58HOUSE。雑貨店にもなりそうな可愛いデザイン(写真提供:SuMiKa)

【画像1】170万円で販売されているヒロ建工の小屋58HOUSE。雑貨店にもなりそうな可愛いデザイン(写真提供:SuMiKa)

こちらはSuMiKaのHPで販売されているヒロ建工の58HOUSE。価格はSuMiKaのサイトでは170万円からとなっており、施工に含まれないものとして基礎工事、塗装工事、電気工事と記載されている。「確認申請が必要な用途地域で小屋を建てる場合は基礎工事が必要ですが、そうでない場合は10m2くらいですから、ブロックを使って簡易な基礎工事で済ますこともできます」(石畠さん)とのこと。通常、基礎工事をすれば別途50万円くらいかかるし、確認申請に20万円~30万円かかる。

電気は小屋内に配線されており、コンセントも付いているので、電気を使いたいなら引き込み工事が必要になる。費用は2万円~3万円くらいとのこと。「最近は家庭向けバッテリーを使うのもひとつの方法です。太陽光パネルと蓄電池を併用して自家発電することもできます」(石畠さん)

また水まわりがある小屋の場合は、水道の配管から引き込み工事が必要となる。配管が敷地内のどこまできているか、引き込む距離によって費用は大きく変わる。

小屋のなかには、ツーバイフォーや木造在来構造なら断熱材を入れることができるものもあるが、基本的には板1枚の壁があるだけだ。「断熱していないということは、外気と同じと考えてください。とはいえ10m2は6畳ひと間くらいですから、冬でも小さいストーブで大丈夫ですよ」(石畠さん)とのこと。

さて小屋の注意点をご理解いただけただろうか? 確認申請の有無や法令に関わる部分は、事前に確認しておかないと、知らないうちに法令違反をしてしまう恐れがある。自分で調べるのは大変なので、事前に各自治体の都市計画課に問い合わせたり、施工会社に相談したりするのがいいだろう。

小屋は、車1台分くらいの費用とスペースがあれば手に入れることができる楽しい空間。さきほどの施工に含まれていなかった塗装工事。ここはやはり、自分で好きな色をペイントしてしまおう。自分の趣味部屋、遊び部屋を手に入れてみては!●取材協力
SuMiKa
元記事URL http://suumo.jp/journal/2015/10/23/99481/

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