【東京で唯一】幻の焼酎『青酎』を全種類飲める「青ヶ島屋」で秘境の味を堪能

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「日本の秘境」という言葉から、みなさんはどんな場所をイメージするだろう?

遥か北海道の彼方? 遠く沖縄の離れ小島? いや、違う。日本の秘境は東京にあった! 

その名も「青ヶ島」

正確には東京都青ヶ島村。東京から南へ358キロ、人口約160人の「日本で一番人口の少ない村」だ。

伊豆諸島に属するが、小さすぎて「伊豆七島」に入れてもらえなかった島である。せつない。

写真のとおり、切り立った崖に囲まれた二重式カルデラ火山で島には港がない。島に出入りする主な手段は、八丈島から出ている9人乗りのヘリコプター。しかも天候不順だと飛ばないことが多いというのだから、まさに絶海の孤島だ。

青ヶ島にはもう一つ、ものすごい特徴がある。それは村民160人のうち、10人が焼酎の杜氏だということだ。

青ヶ島の焼酎、通称「青酎(あおちゅう)」が呑みたい!

よし、そんなときは新宿に行こう!

新宿西口から徒歩5分、青酎と島料理の店「青ヶ島屋」

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というわけで、新宿西口にやってきた。新宿大ガートを右手に、小滝橋通りを北新宿百人町の交差点に向かってまっすぐ歩く。 

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飲食店とレコード店が立ち並ぶ通りを歩いていく。左手に「蒙古タンメン 中本」の真っ赤な看板が見えたら、次の道をぐいっと右折しよう。

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ビルの2階、青ヶ島の看板が目印だ。

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ほら、ちゃんと「日本の秘境」と書いてある。青ヶ島村には番地がないから、島中どこの住所も「青ヶ島無番地」なのだ。

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ここは「東京で唯一、幻の焼酎『青酎』を全種類飲める店!」。

銘柄はぜんぶ「青ヶ島焼酎(青酎)だが、島の杜氏たちは全員自己流でつくっているので杜氏の数だけ風味が存在する。

だから、「奥山直子」「広江マツミ」などと杜氏の名前が書いてあるのだ。

青酎だけでなく、伊豆諸島の焼酎や、小笠原諸島のラム酒など、珍しいお酒も豊富に取り揃えている。

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月曜の夜だというのに、大賑わいの店内。

店の奥に鎮座しているのは、平安時代末期の武将、源為朝。保元の乱(1156年)で敗れ、伊豆大島に流刑になったが、その後、伊豆諸島を支配したと言われており、伊豆諸島全域にはさまざまな「為朝伝説」が伝わっている。その後、琉球に渡り、琉球王家の始祖となったという伝説もある。

青ヶ島&伊豆諸島のウマい酒&フード乱れ打ち!

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どどーんと店の中央に鎮座しているのが青酎を「前割」している2つの瓶。

青酎はアルコール度数が25~35度と高めなので、水を加えて寝かせることで、まろやかな味にする。もちろん、ストレート、ロックで飲むことも可能だが、初心者はまずこちらの前割したものを飲むのがオススメだ。

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青酎で一番メジャーなのが「青酎 池の沢」(680円)。市場に出回っている青酎の実に8割が「池の沢」だったりする。青酎の原料はサツマイモだが、麦麹を使ってつくっているのが特徴。クリアな味わいだが、同時に芋の甘さと香ばしさが口いっぱいに広がる。

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キューッといただきます。表情がヘタクソですが、前割された「池の沢」は、とてもまろやかで飲みやすい。その上、味の奥にさらに味がある。つまり最高ってこと。

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あ、あれは……! メシ通の人気連載「ヒョイ飲み」でおなじみのライター、安田理央さん! なぜ、ここに……。安田さんが手にしているのは、「青酎 奥山直子」(680円)。安田さんは青酎をあおりながら、AV界で最近流行している“逆サバ”について語っておりました。そして表情の作り方がさすがベテランの味。

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ツマミも次々と到着する。まずは、「葉生姜」(480円)。ミソとマヨネーズでガリッといただくと、さわやかな苦味で酒が進む。

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こちらは「島ネリ」(780円)。要するに大きなオクラのこと。天ぷらでもイケるが、今日はナマでいただきます。島のネリは、大きくなってもやわらかいまま。ネバりも普通のオクラより断然強い。

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こちらは「島きゅうり」(380円)。一目瞭然、デカい! とてもみずみずしく、「ウリのよう」という声も相次いだ。味噌もいいが、塩で食べると一段とうまい。

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島きゅうりのおいしさにびっくりしているのはライターの和田絵美さん。

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各テーブルに置いてあるのが青ヶ島名物「ひんぎゃの塩」。ひんぎゃとは、地面から噴き出す蒸気の出る噴気孔のこと。黒潮から汲み出した海水を、火山の地熱だけを使ってじっくり時間をかけて生成してできた塩だ。まろやかでうまみがたっぷり。島全体が活火山の青ヶ島ならではの逸品である。

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そしてお待ちかねの「刺盛」!(写真は2人前1,800円)

奥から時計回りに、八丈島名物のカツオ、青ヶ島で獲れた天然でピンクがかった色が特徴のカンパチ、コマス(ヒメダイ)、赤身なのに食べると白身のようにさっぱりしているアカサバ、そして島一番の高級魚のオナガダイ。カツオは醤油、島みそ、島とうがらしなどをブレンドした青ヶ島名物「島だれ」で食べるとウマいゾ。

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『サリー&マグナム OF THE GENUS ASPHALT』(講談社BOX)が絶賛発売中のラノベ作家、てりさんがかきこんでいるのは、新鮮なネタを味噌であえた博多流ゴマダレ海鮮丼」(880円)。

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「にょうげ芋しうで添え」(580円)。ふかしてアツアツの里芋を、しうで(塩辛)と一緒にいただきます。「にょうげ」とは「煮あげ」という意味。八丈島では十五夜ににょうげ芋を食べるのだとか。

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瓶から青酎を注いでくれているのが、店主の菊池栄春さん。青ヶ島出身で、1年半前にこの店を開いた。

「青ヶ島だけでなく、伊豆諸島のさまざまな食材を楽しんでください。魚や野菜は、青ヶ島などから直送してもらっています」

なお、菊池さんは筆者の初代担当編集者とそっくりなのだが、誰にも通じないので心の中にしまっておきます。

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こちらが青酎の麦(580円)。前割してあるので、とてもクリアかつマイルド。

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本日もっとも絶賛の声が上がった「八丈キメジのハラモ焼き」。キメジとはキメジマグロのこと。ハラモとはお腹の部分、要するにトロだ(鮭でいうハラス)。もう、ぷりっぷり。

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キメジのハラモを食べた安田さん。まさに恍惚の表情。

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「フリーライターのよりどころ」を運営するYOSCAの代表取締役、宮嵜幸志くんもハラモをパクリ。

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ラーメンなら4玉食べる爆食ライターの千葉こころさん。青ヶ島屋でもビール片手にガンガン食べてました。

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まだまだ食べる。こちらは「絶品!ムロメンチカツ」(2ヶ680円)。八丈島で獲れたムロアジを使ったメンチカツだ。八丈島の漁協女性部手作りの味。

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「新ゴボウの唐揚げ」(580)円はカレーソースをつけていただく。デカいけど筋っぽくなくて、本当に柔らか。伊豆諸島はウマいものだらけだなぁ。

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新ゴボウの唐揚げをパクッといっているのは、ライターの坂本茉里恵さん。ビジネス系とIT系に強い才女です。

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八丈島の名物といったらコレを挙げる人も多い明日葉(アシタバ)。

なにせ「八丈草」という別名があるぐらい。青汁の原料としても重宝され、とても体に良い食べ物だ。青ヶ島屋の「明日葉のかき揚げ」(880円)はこのボリューム。ほかにも「冷たい明日葉そば」(780円)などのメニューがある。

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そして、締めはやっぱり「島寿司」で決まり。保存性を高めるためにヅケにしたネタと砂糖を混ぜた酢飯、ワサビの代わりに辛子を使うのが特徴だ。今日のネタは、アカサバ、エース(メジナ)、島海苔。一口大でパクパクいける。

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繰り返しになるが、伊豆諸島はうまいものばかり。青酎もうまいし、新鮮な魚も野菜も全部うまい。

青酎、そして島料理を未体験の人は、ぜひとも青ヶ島屋を訪れてみてほしい。

お店情報

青ヶ島屋
住所:東京新宿区西新宿7-15-15東宝観光ビル 2F
電話番号:03-6908-9723
営業時間: 17:00~24:00
定休日:日曜日

書いた人:大山くまお(おおやま・くまお)

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ライター・編集。1972年名古屋市生まれ。著書に『野原ひろしの名言』『野原ひろしの超名言』(いずれも双葉社)、『名言力』(ソフトバンク新書)など。「日経DUAL」で子育ての名言、「LoGiRL」でアイドルの名言について連載中。中日ドラゴンズと酒と酒場が好き。写真は3歳の娘が撮ってくれました。

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