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2地域生活スタイル「参勤交代」 実践者が語る快適な暮らし

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 田舎暮らしを楽しみつつ、「完全移住」のリスクを軽減する。その有効な方法として話題になっているのが、都会と田舎を行ったり来たりする「参勤交代」の考え方だ。解剖学者の養老孟司氏が提唱し、経済アナリストの森永卓郎氏も東京都内と埼玉県所沢市をまたにかけ、プチ参勤交代生活を送っている。

 では、この「参勤交代」とは実際にどんな暮らし方なのか。具体的なケースを見てみよう。

 A氏(60代男性)は15年前に別荘として熱海にマンションを購入したがほとんど利用せず、「値下がりして売ろうにも売れない」ため、定年を機に、3年前から仕方なく参勤交代を始めた。

 平日は熱海のマンションで過ごし、週末だけ東京に戻っている。今ではすっかり2地域生活が気に入ってしまい、人間関係についても「地元の人との交流が意外に楽しい」と満足げだ。

「もっと若い頃だったら、人間関係を煩わしく感じたかもしれませんが、定年後、人間関係が乏しくなると、地元の人たちとの交流がとても大切なものに思えてきます。

 こちらに来てからヨガ教室に通うようになり、世代を超えてたくさんの人と知り合いになりました。そこでいろいろな地元情報をもらうほか、食事会にも参加しています。

 ここから会社に通勤している人や、かつて金の卵と呼ばれた、集団就職で熱海のホテルに働きにやってきたおばあさまたちなど、いろいろな人がいるから、話を聞いていても興味深いんです」(A氏)

 だが、心配なのは、妻も「参勤交代」に満足してくれるかどうか。3年前に夫の出身地である栃木県の田舎町に別宅を構え、都会のマンションとの2地域生活を送る58歳男性の妻・B子さん(57)はこう話す。

「都会では縁のなかったご近所つき合いも、思っていたほど苦ではありません。むしろ、平日は都会で“我関せず”のつき合いしかしていないので、週末ごとの地元の人たちとの交流は、私にとって心のやすらぎになっています」

 地元の人たちに噂話をされることもあるが、それにも慣れたという。

「興味本位というよりも、親身になってくれているからこそ気になるんだなと思えるようになりました。

 おすそ分けでいただく野菜や自家製の漬け物、味噌なんかも本当に美味しいし、料理も楽になりましたね。それに困った時に近所で助け合える関係って、すごく貴重だと思います」(B子さん)

 別宅を持たずに2地域生活を楽しむ方法もある。神戸在住のC氏(57)は、兵庫県内にある「クラインガルテン」という宿泊施設付き市民農園で週末を過ごすのが常だ。

「クラインガルテンはドイツ語で『小さな庭』を意味します。自給自足できる程度の小さな農園で、各区画に『ラウベ』と呼ばれる滞在施設が整備されているので、自然の中でゆっくりと休日を楽しむことができるんです」(C氏)

 普通の市民農園の場合、日帰りで農作業をすることになるため、のんびり農園に滞在できないが、宿泊施設付きのクラインガルテンなら、地方の別宅に通うような生活が楽しめるのだ。

 クラインガルテンは、1993年から全国50弱の農園に1000区画が整備され、田舎暮らしブームもあいまって利用者が増加。その先駆けが兵庫県で、今は100世帯以上が予約しているほどの人気ぶりだという。

「地元の方々がやさしく指導してくれるんです。すぐに仲良くなりましたが、通っているだけだから“濃すぎる関係”には決してならない。2地域生活ならではの快適な人間関係ですね」(C氏)

※週刊ポスト2015年10月30日号


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