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葬儀費用を生命保険から出すことは可能でしょうか?

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Q.

 親戚の出来事で相談です。未成年の子供(親権は元嫁)が一人いる、離婚した若夫婦がいます。
 夫が交通事故で意識不明の状態が続いています(おそらく近日中に亡くなってしまいます)。不動産・預金・生命保険は第一相続人である未成年の子供が相続になると思います。また、葬儀の喪主は夫の父親がなる予定です。
 ただ、お金に余裕がなく葬儀費用を夫の生命保険でまかないたいと考えているのですが可能でしょうか?子供は未成年なので代理人の元嫁との話し合いで、元嫁が了解することが条件でしょうか?元嫁が非常にしたたかな女性なので簡単に首を縦に振ってくれない場合は、何かよい手立てはないでしょうか?

(30代:男性)

A.

 まず、相続の問題と生命保険の問題は切り分けて考えなければなりません。

 相続については、ご相談内容から、ご親戚の方(夫)が亡くなられた場合、離婚されているため、相続人は、未成年のお子様のみとなります(民法887条参照)。離婚後は、元奥様に相続の権利は生じません。
 相続が発生すると、故人(被相続人)に生じていた権利義務のすべてが相続人に引き継がれることになります(民法896条)。したがって、ご親戚の方が有していた不動産や預金はもちろんのこと、住宅ローンなどの借金があれば、場合によってはそれも引き継ぐことになります。

 一方、生命保険は、あくまで死亡をきっかけに予め指定していた保険金の受取人に対して金銭が支払われる「保険契約」になります。
 したがって、相続とは関係なく、受取人に対してお金が支払われることになります。受取人が元奥様か、未成年のお子様かはご相談内容からはわかりませんが、相続の対象とはならないだろうことはご注意ください。

 葬儀費用を生命保険から出したいということですが、受取人が元奥様の場合は、奥様に打診して支払ってもらうようにする必要があります。
 一方、未成年のお子様が受取人の場合、葬儀費用の支払いは法律行為(いわゆる契約)にあたりますので、法定代理人である元奥様の了承が必要になると思われます(民法824条)。
 いずれにせよ、事情を話した上で元奥様に協力を仰ぐのは必要ではないかと思われます。

 ただ、次に述べる「特別代理人」という仕組みを使えば、葬儀費用の捻出と適切な相続財産の管理が両立できると考えられます。

 まず、ご心配のもう一点として元奥様がご親戚の方の相続財産を我が物として消費することを避けたいという点があると思います。
 さきほど述べたように、未成年のお子様の場合、法律行為は法定代理人が代理行為として行います。これは、相続についても同じです。となると、ご親戚の方が亡くなられた場合、お子様の代理人として元奥様がご親戚の方の遺産すべてを管理することになりかねません。

 このような場合を想定して、法律では利益相反行為に該当する場合には、親権者ではなく、家庭裁判所が選任した特別代理人が未成年のお子様の法律行為を行えるように規定しています(民法826条を参照)。
 利益相反行為とは、「行為の外形から、一般的、客観的に判断して、子供の利益が害される危険がある」行為(最判昭和49年7月22日)とされています。今回のケースでは、法定代理人となる元奥様のお金の使い方によっては未成年のお子様の利益が害される可能性もありえますので、特別代理人の選任が可能であると思われます。

 そのため、まず、弁護士に依頼して、家庭裁判所に対して特別代理人の選定を申し立てます(この際、相続問題などに長けた弁護士を頼るほうがベターです)。そして、特別代理人を経由して相続財産から葬儀費用を拠出してもらうという方法を取ります。この際、保険金の受取人が未成年のお子様であっても、特別代理人を介して葬儀費用の支払いは許される拠出であると考えます。

 次に、相続財産の使い道については、お子様の養育や教育に必要な金額が生じるたびに、元奥様から特別代理人に対して申請の上、支払いを行うような運用にしておけば、財産の私的浪費を防げるものと思われます。

元記事

葬儀費用を生命保険から出すことは可能でしょうか?

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