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100年以上も少年であり続ける『ピーター・パン』、その歴史を振り返る

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米ワーナー・ブラザースによるジョー・ライト監督、ヒュー・ジャックマン出演の映画『PAN ~ネバーランド、夢のはじまり~』が10月9日に公開を迎えた。ジェームズ・M・バリーの物語をもとにした作品である。1904年のロンドンで戯曲『ピーター・パン』の初舞台を迎えたとき、そのスコットランド人の作家は「大人になりたがらない少年」というサブタイトルを付けた。ピーターは”消え去りたがらない少年”でもあり、これまでに5つの映画、いくつかのミュージカル、多数のテレビ出演、書籍シリーズ、ピーナッツ・バターのブランドやレコード・レーベル、バス会社の名前にさえ彼の名前は登場した。

バリーの戯曲は1904年12月27日にロンドンで初めて上演され、女優ニーナ・ブーシコーが主演を務めて大成功を収めた。しかし、1905年11月6日にニューヨークに場所を移して上演された際は、批評家たちに酷評され、本紙ヴァラエティにも「寒々しい失敗作」と書かれている。


しかし、舞台は口コミによって大当たりし、ピーター・パン役を務めた女優モード・アダムスはスターの座を確固たるものにした。1905年から1913年にかけて、アダムスは別のステージで他の役柄を演じていても、何度もピーター・パン役に戻ってきた。おかげで彼女は裕福になった。本紙ヴァラエティによれば、アダムスは年間100万ドルの稼ぎを得ていた。当時は生活費が安く所得税もかからないことを考えると、かなりの高額である。

女性が男性役を演じるというアイデアは、少なくとも18世紀にまでさかのぼる。当時、ヘンデルの歌劇などにいわゆるズボン役(オペラにおいて男装する女性歌手の役柄)、あるいは男性役を演じる女性歌手が登場した。その伝統は英国のパントマイムに引き継がれ、イギリスの演劇界で1世紀以上にわたり、とりわけバカンスの期間に人気を博した。大抵は人気のおとぎ話を題材にしており、女性が演じる少年の主役、コスチュームをまとった俳優が演じる動物たち、聴衆の参加といった要素を含んでいた。それらの要素はすべて、バリーによって『ピーター・パン』の中に取り入れられた。

アダムスはユタ州出身で、モード・クリスカデン(スコットランドの名前)と名付けられた。彼女は本紙ヴァラエティに当時最も有名な女優として認められ、世間が思うピーターのキャラクターと”ほとんど同義である”と考えられていた。しかしながら、1924年の無声映画版ではバリーがキャスティングに携わり、ベティ・ブロンソンがピーター・パン役を務めることになった。当時アダムスは52歳を迎えており、アップで見た際、永遠の少年を演じるには少々無理があったのだ。

無声映画版が上映されて以降、ピーター・パンは何度も我々の前に姿を見せた。おそらく最も知られているのは、1953年に”ディズニーの最も偉大な業績”として大々的に宣伝されたアニメーション版だろう。バリーの純粋主義者たちは、オリジナル版に込められていたバリーの悲観的な黙想の多くをディズニーが排除してしまったことに不満を漏らした。オリジナル版では、子どもたちは冷酷で、ピーターは関わられることを好まず、彼は死ぬことこそが”とてつもなく大きな冒険”に違いないと熱くなっていたのだ。

ディズニー版のピーター・パンは、いたずら好きなわんぱく小僧だ。ワーナー・ブラザースの『PAN ~ネバーランド、夢のはじまり~』の主人公はロンドンの少年である。しかし、20世紀の多くの人々にとって、そのキャラクター・イメージはユタ州ソルトレイクシティ出身の女性だった。

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