住宅ローンの選択に変化 全期間固定型のシェアが変動型を上回る

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住宅ローンの選択に変化 全期間固定型のシェアが変動型を上回る

住宅金融支援機構が発表した「民間住宅ローン利用者の実態調査(民間住宅ローン利用者編)※」によると、「全期間固定型」を利用した人の割合が4割近くまで増加したという。以前は最多だった「変動型」と逆転した理由は、どこにあるのだろう?【今週の住活トピック】
民間住宅ローン利用者の実態調査(民間住宅ローン利用者編)」2015年度第1回を発表/住宅金融支援機構

※2015年3月~6月の間に住宅ローンを借りた1009件(調査時期2015年3月~6月)が対象「全期間固定型」が増加し、「固定期間選択型」と「変動型」は減少

住宅ローンの金利タイプとしては、35年などの返済期間を通して金利が固定される「全期間固定型」、当初の3年や5年、10年などの選択した一定期間だけ金利が固定される「固定期間選択型」、半年ごとに金利が見直される「変動型」の3タイプがある。

今のような低金利の局面では、長期的な金利変動を読み込む(金利上昇リスクを加味する)必要がある「全期間固定型」より直近の市況に対応する「変動型」のほうが、金利が低くなる。住宅ローンの低金利が長期間続いているので、より金利の低い「変動型」を利用する人が、これまでは4割前後と最も多かった。

ところが、2015年度第1回の調査結果では、「全期間固定型」(フラット35及びそれ以外の合計)が38.0%となって、「変動型」の35.8%を上回った。「全期間固定型」の内訳を見てみると、フラット35が23.3%で前回調査に比べて3.8ポイント上昇、フラット35以外の全期間固定型が14.7%と7.1ポイント上昇した。
また、「固定期間選択型」も26.3%となり、変動型と同様に減少した。

この傾向は、中でも全国展開をしている都市銀行や信託銀行で顕著で、「全期間固定型」は48.9%、「変動型」は30.1%となり、全体の割合に大きく影響した。

【画像1】住宅ローンの金利タイプ別利用状況(出典:住宅金融支援機構「民間住宅ローン利用者の実態調査(民間住宅ローン利用者編)」2015年度第1回)

【画像1】住宅ローンの金利タイプ別利用状況(出典:住宅金融支援機構「民間住宅ローン利用者の実態調査(民間住宅ローン利用者編)」2015年度第1回)金利が上昇すると予測した人が増えたわけではない

「全期間固定型」が選ばれた理由は、どこにあるのだろう?

調査では選択理由までは聞いていないので定かではないが、一般的に「金利が今後上昇する」と予測される場合は、低金利のうちに「全期間固定型」を選ぼうとする傾向が強くなる。では、金利上昇を予測した人が増えたのだろうか?

「今後1年間の住宅ローン金利の見通し」を質問した結果を見ると、「全期間固定型」を利用した人では、「現状より上昇する」と見る人は、むしろ前回より大きく減っている(42.6%→31.9%)。半数近くは「ほとんど変わらない」と見ていて、「見当がつかない」人が倍以上増えている(6.6%→15.7%)。

どうやら、金利の上昇局面に入ると思うから全期間固定型にしよう、と考えたわけでもないようだ。

【画像2】今後1年間の住宅ローン金利見通し(出典:住宅金融支援機構「民間住宅ローン利用者の実態調査(民間住宅ローン利用者編)」2015年度第1回)

【画像2】今後1年間の住宅ローン金利見通し(出典:住宅金融支援機構「民間住宅ローン利用者の実態調査(民間住宅ローン利用者編)」2015年度第1回)全期間固定型は史上最低水準、「フラット35S」の0.6%引き下げ効果も?

では、金利に注目してみよう。2015年の3月~6月に借り入れた人なので、その時期の金利はどうだったのか。

まず、「変動型」の金利に大きな変動はなく、ネット銀行などでは0.6%前後、都市銀行や信託銀行では0.775%(いずれも最大限の金利優遇を受けられた場合)などが多く見られた。
一方「全期間固定型」では、代表格である「フラット35」(住宅金融支援機構と民間金融機関が提携するローン)が、2015年2月に史上最低金利(1.37%)を更新し、3月~6月も最低金利※は1.46%~1.54%と低水準だった。都市銀行や信託銀行の30年全期間固定型なども、1.6%~2.0%程度の幅で変動し、2%を切る水準。
フラット35でもフラット35以外でも、全期間固定型の利用者が増えたのは、このためと思われる。

※フラット35は、金融機関によって金利が異なり、最も利用されている融資率9割以下、返済期間21年以上35年以下の場合に適用される金利の中で最低なもの

【図1】フラット35の金利推移(出典:住宅金融支援機構の「お借入金利の推移」よりデータ抜粋し、編集部にて作成)

【図1】フラット35の金利推移(出典:住宅金融支援機構の「お借入金利の推移」よりデータ抜粋し、編集部にて作成)

またフラット35の利用者が増えたのは、2月9日以降に資金を受け取る場合から適用されるようになった「フラット35S」の金利引き下げ幅拡大の影響が大きそうだ。

当初の5年間または10年間、金利を0.6%引き下げるので、3月~6月の場合は、最低金利であれば当初一定期間の金利が0.86%~0.94%まで低くなり、同じ時期の「変動型」の金利とあまり変わらない水準となる。そうであれば、金利が変わらない安心感も得られるフラット35Sのほうが魅力的に見える、といったことが考えられるだろう。

グローバル経済で何が起こるか分からない中、今後の金利を予測することは難しい。そうであれば、目先の金利が低いものを選ぶという判断もあるだろう。一方で、金利が上昇するタイミングを予測して、借り換えなどの自衛手段を素早く取るということも難しいものだ。金利が上昇した場合に、どの程度返済に余力があるかをよく考えて、低金利を活用することが大切だ。
元記事URL http://suumo.jp/journal/2015/10/14/99031/

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