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第28回 飲食事情(その5)

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第28回 飲食事情(その5)

 拘置所においては、お茶はかなりの量が支給され、留置場の7杯どころかその何倍以上も飲むことができる。
 配膳係りの人(面倒見さん・受刑者)が、朝昼夕の毎食事時にお茶が入った直径50センチ高さ90センチほどの寸胴を台車で運んでくる。食事等を出し入れするところに、被告人が部屋に備え付けてある中型ヤカンのふたを外して出すと、配膳係りの人が寸胴から柄杓でお茶をすくってヤカンに入れてくれる。
 ヤカンはお茶を入れやすいように、注ぎ口を廊下側に向けて出すのがルールである。こうすることで、配膳係りの人はヤカンの注ぎ口をつかんでお茶が入れやすいのだ。このことは、面倒見さんから習った。

 ルールといえば、空になった食器の出し方にもルールがある。
 ご飯茶碗のふたを一番下にして、その上に漬物小皿、その小皿にキムチなどが入っていたビニール袋、その上にご飯茶碗となり、これらの横にすべての残飯を入れた汁椀を置くことになる。
 残飯はすべて汁椀に入れて出すのである。残飯処分などの便宜のためのルールだと思う。大分刑務所でも同じであったから、全国共通ルールなのかもしれない。

 話をお茶に戻すと、中型ヤカンには湯飲み茶わんで7~8杯くらい入るのではないだろうか。朝昼夕の3回配られるので、トータルではかなりの量になる。
 十分な量であるから、食事時だけで消化することはできない。他の人はどうしているのか分からない。魔法瓶に移し替えて間食のときに熱いお茶を飲み、次の食事のときに捨てているのだろうか。

 私は魔法瓶に移すことはしなかった。居室の魔法瓶が壊れていたことが理由である。
 どうしようかと考えたが、ホテル住まいでもあるまいし、文句をつける立場でもないし、食事以外のときには熱々のお茶でなくともよかったから、そのままにしておいた。
 しかし、カップ麺を食べる人にとって魔法瓶は重要であり、お茶ではなくお湯を保温していたはずである。お湯は一日に一度配られている。

 その質の高さや量からして拘置所の食事は留置場のそれをはるかに超えている。では拘置所の食事に関して何の問題もないかといえばそうでもない。

 一番の問題は、食事時間である。どの程度食事をしていられるかという食事時間のことである。
 拘置所の食事時間は初めての者にとってはかなり短い。10分ほどだろうか。あっという間に配膳係りの人が「空下げ」(カラサゲ)と言いながら器を下げに回ってくる。
 空の食器を下げるよという意味だ。もう少し待ってくれなどという我が儘を言うなどとんでもないことで、特に夕食後はすぐに点検時間となるので、食べるのが早い私でも、当初は残さざるを得なかった。

 そのうち、麦飯、おかず、汁物の順で配膳され、それぞれに若干のタイムラグがあることから、配られた麦飯を食べ始め、おかずが来たらそれに手を付けて、汁物を最後に食べるというようにしていた。
 ただ、この食べ方にも問題があった。毎月の献立表が月に一度回覧されるのでこれを書き写しておけば毎日の献立が分かる。しかし私の場合、回覧終了後に入所したため、事前に献立を知ることができなかった。
 そのときの献立はカレーだった。カレーの場合、麦飯とは別に汁物を入れる容器にカレーのルーが入ってくる。カレーであるとの献立を知らない私は、いつものようにまず麦飯から食べ始めたのだが、ルーがきたときには麦飯は既に3分の1ほどに減っており、結局ルーだけを食べなければならないこととなってしまった。

 ついでにいえば、カレーの場合麦飯の入った容器の方にルーをかけて食べるのではなく、ルーの方に麦飯を入れて食べるのが、ここでの正しい食べ方である。逆にして注意を受けた。どうも麦飯の容器の方をできるだけ汚さないようにするためであるらしく刑務所でも同じだった。(つづく)

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第28回 飲食事情(その5)

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