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西欧と比較することで見えてくる、日本人の美意識とは?

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 お寺やお城を訪れた際、その”屋根”に注目したことはあるでしょうか。ペリーが日本に来航し、江戸の町を船の上から眺めたとき「屋根ばっかりだ」と言ったと伝えられているほど、日本の建築において屋根は、目立つと同時に特色ある重要なもの。なかでも醍醐寺や法隆寺などの五重の塔、あるいは姫路城などの屋根に注目すると、軒のところが反っていることに気がつくはずです。

 わずかに曲線を描く、この”反り”は、外国にはおいてはあまり見受けられないものなのだそう。

 高階秀爾さんによる、本書『日本人にとって美しさとは何か』では、高階さんの豊富な知識量と経験、そして鋭い分析のもと、異文化、とくに西欧と比較することで見えてくる、日本文化――美術や文学などの芸術表現――の特質に迫っていきます。

 たとえば高階さんは、国内外で売られている”名所絵葉書”は、さまざまな情報を伝えてくれる貴重な資料なのだといいます。機会のあるたび絵葉書を集め、眺めていると「ローマのコロセウムやパリの凱旋門であれ、西欧の名所絵葉書は、いずれも余計なものはできるだけ切り捨てて、対象そのものを正面から画面いっぱいに捉え」ていることに気づいたそう。

 それに対し、日本の観光絵葉書では、お寺であれお城であれ、建物だけを捉えたものは稀であると指摘。建物も庭も白一色に覆われた「雪の金閣寺」とか、咲き誇る桜の花を前面に配した「清水寺の春」などのように、西欧の絵葉書では排除されている自然が大きな役割を演じているのだといいます。

 そして、このことは、名所についての日本人の考え方や自然観と密接に結びついているのではないか、つまりもともと日本人にとって名所とは、自然景と一体になったものだったのではないかと分析。

 江戸の名所を残した、歌川広重による『名所江戸百景』においても、それは確認できるといいます。

「五月の鯉のぼりや七夕祭り、あるいは両国の花火のような年中行事も登場して来るが、これも自然の運行と同調するものである。つまり「名所」は、単に空間的な場所であるだけではなく、時間、それも循環する時間と一つになった場所なのである」(本書より)

 観光名所絵葉書ひとつとってみても伝わる、西欧と日本の自然観、そして美意識の違い。本書にて高階さんが提示してくれる視点の数々には、新鮮な発見が多いはずです。

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