ガジェット通信

見たことのないものを見に行こう

第88回アカデミー賞、視覚効果賞は『スター・ウォーズ』『ジュラシック・ワールド』『オデッセイ』に注目

DATE:
  • ガジェット通信を≫

2016年に開催される第88回アカデミー賞の視覚効果賞は、例年同様に、夏に公開された超大作映画や、自宅での映画鑑賞の流れに歯止めをかけるような驚くべき視覚効果や劇場ならではの視覚体験ができる一流の作品の数々での賞レースになっている。アカデミー賞にむけて熱くなるこの時期になると受賞候補作品の名前があがってくるので、本紙ヴァラエティが、第88回アカデミー賞のマイナー10部門について週間で分析していくことにしよう。

まず、リストのトップには、9月最終週末のニューヨーク映画祭で初公開され大きな波紋を呼んだロバート・ゼメキス監督の『ザ・ウォーク』が入るべきだろう。スーパーバイザーに『フライト』で視覚効果監修を務めたケヴィン・ベイリーを迎え、視覚効果スタジオのアトミック・フィクションのチームが制作した映像は、最終的にアカデミー賞を獲得する脅威となるかもしれない。最初の2カットのトーンがあまり評判が良くなかったが、誰もが納得する素晴らしいフィナーレだった。

ロバート・ゼメキス監督作『ザ・ウォーク』しかり、リドリー・スコット監督の『オデッセイ』も評判の高い娯楽映画だ。興味深いことに、両作品の米公開日はちょうど1週間違いだ。スコット監督と『プロメテウス』や『X-MEN:フューチャー&パスト』で過去に2度アカデミー賞ノミネートされたリチャード・スタマーズが率いるチームは、マット・デイモン演じる遭難した宇宙飛行士と火星にいるような感覚以上の視覚効果を観客にもたらした。作品には非常に凝った詳細な映像がふんだんに盛り込まれている。完璧な3D映像が施され(スコット監督は、撮影終了後に3D変換するよりも、3Dカメラでの撮影を好む数少ない監督)、今アカデミー賞シーズンのラインナップ作品の中で最も美しい映像作品となっている。

アカデミー賞の視覚効果賞は、『スター・ウォーズ』シリーズ1作目『スター・ウォーズ』に始まり、2005年公開の6作目『スター・ウォーズ エピソードⅢ/シスの復讐』を除く全ての作品に与えられている。考えるまでもなく、これから公開となるJ・J・エイブラムス監督のシリーズ7作目『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』も受賞候補作となるだろう。例え、今までの受賞がアカデミー賞受賞候補のライバル作がなかったからだとしても、映画芸術科学アカデミー(AMPAS)は特別に、『スター・ウォーズ エピソードV/帝国の逆襲』や『スター・ウォーズ エピソードVI/ジェダイの帰還』に敬意を払って特別名誉賞を捧げるだろう。過去3度アカデミー賞にノミネートされ、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』のスーパーバイザーを務めるロジャー・ガイエット(『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』『スター・トレック』、『スター・トレック イントゥ・ダークネス』にてノミネート)は、視覚効果にとって最高の環境と言えるILM(インダストリアル・ライト&マジック)チームを率いている。コンピュータグラフィックスを素晴らしい技術で実践的な視覚効果に組み合わせることに集中している点が、視覚効果賞を受賞するポイントになるだろう。

『ローン・レンジャー』でアカデミー賞にノミネートされたティム・アレクサンダーが、今夏の大ヒット作『ジュラシック・ワールド』で視覚効果アドバイザーを務めた。バンクーバーからデンマークに至るまで売り込みを行い、ILMは、20年近くアカデミー賞から遠ざかっているこの『ジュラシック・パーク』シリーズに息を吹き込ませようとした。また、アレクサンダー率いるチームは、『ジュラシック・パーク』でアカデミー賞を獲得したデニス・ミューレン、スタン・ウィンストンといった巨匠の足跡を継いだ。今年の興行収入1位の作品を認めないというのは難しいだろう。

『ジュラシック・ワールド』は、『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』の米国での興行収入をついに追い抜いた。『アベンジャーズ』の視覚効果部門のアーティストたちこそが唯一のスーパーヒーローチームだと声を出して言えるほど、シリーズの続編にふさわしい出来だったが、目新しさが無くなってきたかもしれない。『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』のありあまる視覚効果は、この業界で働く人たちにとってさえ過剰だったのではないだろうか。もしくは、ウルトロンのようなキャラクターが登場するだけで気に入られるには十分ではなかっただろうか。今年、ILMでは多くのスタッフたちが各プロジェクトで働いており、そういったスタッフたちを集めてどんな作品ができるのかも興味深いところだ(マーベル・スタジオの『アントマン』も混合チームによる作品)。

実験的な視覚効果のある映画の走りといえば、サム・メンデス監督による『007』シリーズ23作目『007 スカイフォール』が3年前に視覚効果賞の受賞に迫った。今回は、シリーズ最新作『007 スペクター』が相当すると考えなければならないだろう。視覚効果とスタント映像がせまりくる作品だ。また、凄まじく早いコンピューター処理画像と狂気的な実写映像、強烈なスタント映像を組み合わせて重複させた作品といえば、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』だ。同作の驚愕シーンの大半は、撮影後の非常に細かい編集作業によって作られている。アカデミー賞視覚効果賞の選考委員たちの高い評価を期待することができそうだ。

ロン・ハワード監督の『白鯨のいた海』にも注目をしたい。ハーマン・メルヴィル原作の小説『白鯨』を映画化するために、作品に多く見られる水の動きは視覚効果を作るアーティストたちにとって苦難の技だったに違いない。

最後に、2つ作品をあげておこう。1つは、ハワード監督の作品のように、主人公が荒々しい山に挑む姿を描いた『エベレスト 3D』だ。バルタザール・コルマウクル監督は、観客を世界で一番高い山に登る登山家たちに近づけようとした。レハンドロ・G・イニャリトゥが監督と脚本を手掛けた『レヴェナント:蘇えりし者』は、19世紀初頭の辺境の狩猟ヒュー・グラスを描いた痛ましいストーリーだ。凶暴な熊による残虐な行為の映像を、延ばした撮影テイクをつぎあわせるテクニックだけではなく連続して組み合わせたことが選考員たちの興味を引くポイントとなるだろう。同監督の『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』は、昨年の第87回アカデミー賞作品賞受賞という快挙を遂げた。

これらは、アカデミー賞の賞レース前半で私がみる限りの候補作品トップ10であるが、他の作品も入ってくるだろう。
丁寧な仕事をした『Ex Machina(原題)』、壮大な環境を描いた映像の『PAN ~ネバーランド、夢のはじまり~』や『カリフォルニア・ダウン』も入るだろう。また、『ターミネーター:新起動/ジェニシス』は、アーノルド・シュワルツェネッガーの若い時の作品と比較されることで注目を集めるだろう。もしかすると、ついに選考委員によって『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』や『ワイルド・スピード SKYMISSION』が選ばれるかもしれない。

とにかくアカデミー賞当日になれば分かるが、アカデミー賞視覚効果賞候補作品の経過をこちらのページから閲覧することができる。また、本紙ヴァラエティによるアカデミー賞関連記事もお見逃しなく。ARTISANから

カテゴリー : エンタメ タグ :
Variety Japanの記事一覧をみる ▶
  • 誤字を発見した方はこちらからご連絡ください。
  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちらから
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。

TOP