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受任通知書に反すると不法行為になりますか?

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Q.

 高齢の母親(実家に独居)に緊急を要する治療や介護などが必要になり、私の妹に相談しました。すると、いきなり弁護士名で「受任通告書」が来て「亡父の財産について遺産分割調停をしろ。連絡の窓口は私(弁護士)だけにしろ」と書かれていたのでびっくり。
 どうやら、妹は母の面倒を見たくないので、私が相続したがっていると創作して、自分の子としての扶養責任と、相続の権利を相殺する、という前提で弁護士に相談したようなのです。私は、相続をしたいと言ったわけではなく、母の治療や介護などの話をしたかっただけなのです。通告書には、母の病状や介護のことは一言も書かれていませんでした。
 この場合、「母には緊急手術が必要で、手術を受けるように母を説得するのに協力してほしい」などの要請を妹に直接したら、不法行為になってしまうのでしょうか?

(50代:女性)

A.

 「受任通知書」とは、弁護士や司法書士などが依頼者から依頼を受けた場合、解決を望む事案の相手方に対して「私が間に入ります。以降は私を通じてやり取りしてください」といった内容を伝えるための書面になります。
 受任通知を受けたからといって、妹さんと一切連絡を取ってはならないということはありません(債務整理などの事案で貸金業者に対して受任通知を発送すると、以降は債権者から債務者に対しての弁済の要求がなくなりますが、これは法律の規定によるものです。貸金業法21条1項9号等)。

 連絡を取ったからといって、それが直ちに不法行為(不法行為とは、民法709条以下で規定されるものです。他人に対して権利侵害をした場合、それによって生じた損害の賠償を請求するための法的な仕組みです)に該当することはないと言ってよいでしょう。
 したがって、妹さんに対して直接連絡を取り、手術を受けるように一緒に説得するようにお願いすることは可能です。お母様の病状や手術の必要性が高いことを考えると、きちんとご相談されたほうがよいと思います。

 次に、ご相談者様が相続したがっていると妹さんが誤解されているということですね。この点については、亡くなられたお父様の遺産分割協議が整っていないのであれば、(介護の問題とは別に)相続人間で協議すべきことになります(遺産分割協議)。
 通常、遺産分割協議を経て遺産分割協議書を作成の上、相続財産を分割することになりますが、協議が整わない場合は遺産分割調停を裁判所に対して申し立てます(いきなり調停をすることも可能です。妹さんはそれを望み、弁護士に依頼していると考えられます)。なお、調停でもまとまらない場合は遺産分割の審判を行うことになります。

 上記のような手続きとなるため、亡くなられたお父様の遺産分割についても話し合いをすることが必要です。
 ちなみに、遺言などがなければ法律にのっとって財産が按分されることになります。具体的には、お母様が1/2、残りの1/2を子どもで均等に割るというのが基本になります(民法900条各項参照)。ご相談からは家族構成の詳細が不明ですが、(亡くなられたお父様の)子どもがご相談者様と妹さん2人だけならば、1/4ずつ相続となります。

 本来的には、亡くなられたお父様の相続の問題とお母様の介護は別の問題です。したがって、お母様の扶養義務と相続財産を相殺することはできないと考えられます。

 しかしながら、介護や治療には支出がつきまとうのも事実です。相続があるという前提で、ご相談者様が介護を引き受ける代わりに、月々に生じる介護や治療の費用(ご相談者様の労力を金銭に置き換えた費用も含む)を妹さんからもらいうけるという取り決めを交わしておくというのも一つの方法ではないかと思われます。

 結果的に妹さんは、「相続財産の価額÷前記の費用」で計算される月数分だけ介護の負担から免れられることになると思います。ただ、これは話し合いで取り決めることになると思いますので、妹さんが依頼されている弁護士を通じて打診してみてはいかがでしょうか。

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