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エルトン・ジョンを聴くならこの5曲

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 エルトン・ジョン(Elton John)。正確には1998年以降、長年の音楽界への功績を認められてナイトの称号を与えられ、Sir Elton Hercules Johnとするのが正しいものらしい(もっとも、Elton Johnそのものも本名ではないのだけれど)。芸歴47年(最初のシングル「I've been loving you」('68)から数えて)、過去にリリースしたアルバムは2015年現在、32枚にもなる。もちろん、編集盤やサントラ盤、ライヴ盤も含めれば、約50枚ほどのアルバムを世に送り出しているサー・エルトン。Wikiってみると、シングルとアルバムの総売上げは、ビージーズやローリング・ストーンズ、ピンク・フロイドを上回る約3億枚…なんて記述がある。同様のものでは、2011年6月、経済誌フォーブス誌が「世界中で最も稼いでいるミュージシャン」を発表し、1億ドル(日本円で約80億円)を稼いで3位にランクインした…というのもある。まぁ、正確な数字は分からないけれど、大変な記録を打ち立てているアーティストであることは間違いない。

 いきなり、嫌味な書き方になってしまったが、もちろん悪意なんかありません。ただ、いつの頃からかエルトン・ジョンのパブリック・イメージのひとつとして、こうした「セレブリティ」的なものが表だってきてしまった感は否めないだろう。同じ「セレブリティ」にしても、ローリング・ストーンズとはどこか違う。微妙な言い方だけれど、どちらもエンターテイナーではあるものの、後者には枯れてもなおみなぎっているロックミュージシャン感が、エルトンにはやや薄いということはあるかもしれない。それでも、70年代の彼にはロック…とまで言わなくても、英国きってのシンガーソングライターという存在感を発揮していたし、『Captain Fantastic & the Brown Dirt Cowboy』(’75)の頃のツアーやザ・フーの作品をロックミュージカル仕立てにした映画『Tommy』(’75)に“ピンボールの魔術師”役で出演した姿などは、ジェリー・リー・ルイスをイメージさせるようなロックンローラー然とした姿を披露していたものだ。デビュー前にはあらゆるロックバンドのオーディションを受け(中にはキング・クリムゾンというのもあった)、ことごとく落選し続けたという秘話もある。やはり、ロックの洗礼を受けてきた人なのだ。本人の正しい経歴としては4歳からピアノを弾き、王立音楽院(ロイヤルアカデミー)に6年間在学するという、もしかするとクラシック音楽の道に進んでいたかもしれない、ある意味正統派な人でもあるのだけれど。
 前置きが長くなったが、今秋、彼は日本にやってくる。単独公演としては8年ぶり、8度目の来日公演となる。現在判明しているのは2公演のみで、11月16日(月)大阪・大阪城ホール、18日(水)神奈川・横浜アリーナ。 ちなみに今回のツアーの詳細に目を通していて、オッ! と思ったことが一つある。サポートミュージシャンの中にドラマーのナイジェル・オルソン、ギターのデイヴィー・ジョンストンの参加である。彼らは70年代のエルトンの黄金期を支えたミュージシャンだ。となれば? 
 そこで今回は、彼の長い活動と膨大なディスコグラフィーから、珠玉の5曲を選び抜いてみる。相当に無茶な作業であることは承知の上。まず、手持ちのアルバム、未購入のアルバムもあれこれ試聴して、ふるいに掛けてみた。そこで感じたのはやっぱり70年代にリリースされた諸作のグレードの高さである。これはもう決まりだ。先のツアーメンバーであるナイジェル・オルソン、デイヴィー・ジョンストンも参加している黄金時代から厳選することに異論を挟む方など、いるだろうか? 

1.「Your Song(邦題:僕の歌は君の歌)」(’70)
これは外せないだろう。数あるエルトンのベスト盤でも必ず入っている。本人も気に入っているらしく、未だにライヴでも演奏されることが多い曲だ。アルバムとしては彼の2nd作で、タイトルもずばり『Elton John』(’70)に入っている。デビュー作『Empty Sky』(’69)も悪くないアルバムで、エルトンの作風、持ち味は発揮されているのだが、発売当時はセールス的には伸び悩んだらしい。しかし、評論家筋には高評価で、それを受けて自信を持って制作されたのが2nd作で、実質、エルトン・ジョンの快進撃はここから始まる。制作陣もすでにパートナーとなっていた作詞のバーニー・トーピンに加え、プロデューサーとしてガス・ダッジョン、そしてストリングス/オーケストレーションのアレンジにポール・バックマスターが顔を揃え、ここに黄金の布陣が整っている。シングルとしてリリースされたこの「Your Song」は全米8位、英国7位を記録し、マッカートニー(ポール)以来の逸材とこれまたエルトンは評論家筋に激賞される。切なくロマンチックな歌詞に、エルトンがピアノ弾き語りでしっとり聴かせる、最高のラヴソングと言える。

2.「Rocket Man (I Think It’s Going To Be A Long Long Time)」(’72)
早くも5作目『Honky Château』(’72)に収録されていた秀逸な曲。LP時代ではA面のラストを飾っていた。米6位、英2位と大健闘。「Your Song」と同系列の作風と言えそうだが、この頃のエルトンは本当にいい曲を書く。デヴィッド・ボウイの初期のアルバムにも同タイトルの曲があるのだが、もちろん中身は異なる。ただ、そのボウイの作品のプロデュースを手がけているのもガス・ダッジョンという因縁はある(気のせいかサウンドもどこか似ている)。この時期、すっかりスター街道を歩み始めたエルトンはステージ衣装もこのあたりから派手になる一方で、デビュー時の神経質そうな頭髪の薄い男とは別人のようになっている。時代はグラムロックも全盛なわけで、先に名前の出たデビッド・ボウイも大人気だった。ナイジェル・オルソン(Dr)、デイヴィー・ジョンストン(Gu)、ディー・マレー(Ba)という演奏面でのサポート隊も定着する。

3.「Goodbye Yellow Brick Road」(’73)
これも外せない傑作だ。この曲を書いただけで、エルトンは未来永劫、その才能を語り継がれるアーティストなのかもしれない。当時はまだまだ少なかった2枚組LPで発売された『Goodbye Yellow Brick Road(邦題:黄昏のレンガ路)』(’73)のタイトルチューンであり、米英で堂々の1位を獲得している。3分12秒というラジオのオンエアに適した尺の中に、一度聴いたら忘れられないような印象的なフレーズ、彼の持ち味であるセンチメンタルかつドラマチックな展開、メロディーメーカーぶりが遺憾なく発揮されている。曲のモチーフとされたのはジュディ・ガーランド/『オズの魔法使い』であることは有名な話。ハリウッドでの出世街道ということだ。エルトン自身に置き換えてみると、まさに彼こそ出世街道をばく進中という状況にあり、アルバムセールスとしては『Honky Château 』(’72)から『Rock of the Westies』(’75)まで、途中リリースされた『Greatest Hits』(’74)も含め、7作連続1位という離れ業をやってのけている。その破竹の勢いのさなかにリリースされた『Goodbye Yellow Brick Road』が売れないわけがない。本人とバーニー・トーピンの創作意欲もピークにあり、次から次へと浮かんだイメージが曲になっていくというふうだったらしい。結果2枚組となったわけだが、3枚組でも4枚組でも作れたに違いない。アルバムの収録曲はタイトルチューンはもちろんだが、どれも恐ろしくクオリティーが高い。「Candle In The Wind」のように、後年注目され(故ダイアナ妃のセレモニーで、歌詞を変えて歌われた。本来モチーフにされたのは、ノーマ・ジーンことマリリン・モンローのこと)再びヒットした曲もある。20世紀のポピュラー音楽史に残る名作だ。

4.「Saturday Night’s Alright (For Fighting)」(’73)
こんなロックな曲もやるんだぜ、とエルトンが言いそうなチューンも選んでおこう。これも傑作『Goodbye Yellow Brick Road(邦題:黄昏のレンガ路)』(’73)に入っていたものだが、LPでは2枚目の裏(D/Side Four)に入っていた。シングルでも出ており、前述の「Goodbye~」と正反対の作風ながら、米12位、英7位と健闘している。タイトル通り、ロックで“ぶっ飛ばす”といった趣の曲で、一気呵成な4分54秒。ここには間違いなくグラムロックの匂いがする。先述したプロデューサーのガス・ダッジョンが遠因のデビッド・ボウイとの類似性というか、この曲などはボウイのヒット作、ジギー・スターダストこと『The Rise and Fall of Ziggy Stardust and the Spiders from Mars』(’72)に入っていても違和感ないくらい、曲調も作風も似ている。きらめくようなギターサウンドも、どこかボウイのバンドのミック・ロンソンに似ている。そういえばミック・ロンソンとエルトンの共演は早くに実現しており、エルトンの3作目となる『Tumbleweed Connection』(’70)のレコーディングセッションにロンソンは招かれ、「Madman Across the Water」でギターを弾いている。残念ながらアルバムには未収録だったが、後年出るリマスター盤のボーナストラックで収録されている。

5.「Don’t Go Breaking My Heart」(’76)
他のアーティストとの共演も多いエルトンだが、これはその中でも大ヒットしたナンバーで、ソロシンガーとしての経歴もあった女性シンガー、キキ・ディー(Kiki Dee)とのデュエットで、米英ともに1位になっている。通算11作目となるアルバム『Blue Moves(邦題:青い肖像)』(’76)制作中に実現したプロジェクトで、同アルバムには収録せず、シングルのみでリリースされている。男女の恋愛話を掛け合いで歌っている。流行の兆しがあったディスコ音楽を早くも吸収している感もある。キキ・ディーはなかなか上手いシンガーだ。このあたりのエルトンのソウルフルな歌いっぷりを聴いていると、駆け出しの時代に渡英してきたアメリカのソウル、R&Bのバックバンドでピアノを弾き、ブルー・アイド・ソウル風の曲も書いたりしていたという彼の意外な嗜好を垣間見るようで面白い。時代的にはデュエットものがヒットしていたような記憶がある。カーペンターズ、キャプテン&テニール(男性のトニー・テニールはエルトンのアルバムセッションに度々参加している)、アッシュフォード&シンプソン等々。エルトン自身はずっと連続1位を続けてきたアルバムセールスが途切れたものの、アルバム『Blue Moves』はこれまた2枚組ながらも米英で3位と相変わらずの人気を誇っていた。でも、いろいろな面で節目を迎えていた時期なのだろう。長年続いたバーニー・トーピンとのコンビが本作で解消となっている。金銭面でのトラブルがあったと言われるナイジェル・オルソンも離脱している(2000年に復帰)。そして、このアルバムはエルトン自身が立ち上げた「ロケット・レーベル」からのリリース第一弾だった。

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