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親世代の学び直しが子どもの貧困を救う

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貧困の世代間連鎖を断ち切る。「子供の貧困対策大綱」を閣議決定

8月29日、政府は、経済的に厳しい家庭の子どもを支援するために必要な施策をまとめた「子供の貧困対策大綱」を閣議決定しました。基本的な方針部分の冒頭をみると「貧困の世代間連鎖を断ち切る」と明記され、子どもの貧困対策がようやく一歩前に進み始めたようです。この大綱では、子どもに対する学習支援や生活支援、経済支援に止まらず、保護者への支援も多岐にわたって施策が拡充されようとしています。

その中に、「自立支援教育訓練給付金事業の活用等により、親の学び直しの視点も含めた就業支援を推進する」との一文がありました。貧困で苦しむ子どもの家庭のうち、親の就労経験が乏しい場合やスキル不足を起因して低賃金で働かざるを得ないケースが想定されます。その対策として親のスキルアップを図り、収入を上げるための下地を作るという意図でしょう。

親が学び直す、すなわち職業訓練やスキルアップの資格取得などを受け易くする環境を整備することで収入がアップする可能性は広がるでしょう。その意味では、貧困家庭に育ってしまった子どもが大人になって貧困生活をおくらざるを得ないという「貧困の連鎖を断ち切る」という基本方針に合致しているといえます。

親が一生懸命になって勉強する姿が、子どもへ好影響を与える

数年前、ある定時制高校の先生から聞いた話です。定時制高校といえば、家庭の経済的な理由から、昼間は働き夜高校へ通い勉強するための学校です。先生曰く「生徒の保護者の中には、生活保護を受けながら昼間はパチンコに興じ、生徒が稼ぐアルバイト代を当てにする」という信じがたく、とんでもない保護者がいたそうです。幸い、その生徒は親を反面教師として「自立に向けて頑張っている」とのことでしたが、このような状況下では真っ当に働く意欲を失ってしまっても無理なからぬと記憶に残る話でした。

子どもは親を見て育ちます。見せるつもりは無くとも、しっかりと見ています。「子は親を写す鏡」という諺ならぬ「親は子を写す鏡」と考える筆者は、親が一生懸命になって勉強する姿を目の当たりにすれば、必ずや子どもへ好影響を与えるに違いないと思います。

今ある制度の周知徹底した上で、親の学び直しを拡充・支援すべき

その一方で、既に「母子家庭等自立支援給付金事業」という制度が設けられており、雇用保険の教育訓練給付の受給資格を有していない母子(父子)家庭を対象に、資格取得講座の受講費の一部給付や、看護士や保育士など一定の資格を取得するための高度技能訓練促進費および入学支援修了一時金が受給できるようになっています(一部実施していない市町村もあるようですが、詳しくはお住まいの市町村役場へお問い合わせください)。

今回の「親の学び直し」に限らず、拡大解釈が行き過ぎてしまい、税金のばら撒きになるようでは、国家財政悪化の一途をたどってしまわないとも限りません。対象者を母子家庭限定から子どもを持つ一定の困窮世帯へ対象を広げ、今ある制度の周知徹底した上で、予算が不足するのであれば、親の学び直しを拡充・支援してはどうかと思います。

何より、親が子どもに見習われるように、まずは襟を正すことが大切です。その姿を見れば、子どもが逆境を乗り越える術を学び取り、将来、自立に向かうための一歩になるでしょう。

(石村 衛/ファイナンシャルプランナー)

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