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同時期公開で内容も被る……それでも『アルマゲドン』が『ディープ・インパクト』よりヒットした理由とは

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 映画ビジネスに関わって30年以上の宣伝プロデューサー、鈴木英夫さんの近著『ヒットを生み出す インスピレーションの力学、共感という魔法 東映、ディズニー、東宝東和で学んだ仕事のヒント56』。

 同書では、ディズニー映画『トイ・ストーリー』『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズの他、ハリウッドの超大作に携わった鈴木さんの、映画宣伝での数々のエピソードが明かされていますが、その1つが、日本では2000年に公開された、ブルース・ウィリス主演『アルマゲドン』の宣伝秘話。

 当時、同作の日本におけるマーケティング部門の最高責任者を担当した鈴木さんは、宣伝方法に苦慮していました。

 実は、『アルマゲドン』公開の少し前に、スティーブン・スピルバーグ監督が製作総指揮を務めたパニック映画『ディープ・インパクト』が公開されていました。両作は公開時期が近いだけでなく、”地球に巨大な彗星が衝突する危機から人類を救う”という設定までそっくりだったため、『ディープ・インパクト』を観た人は、『アルマゲドン』には足を運ばないのではないか? と発言した映画評論家もいたほどです。

 さらに、鈴木さんを悩ませたのが、アメリカと日本の、映画の楽しみ方の違いです。ポップコーン片手に驚嘆と歓喜の声を上げながら映画を楽しむことが多いアメリカでは、『アルマゲドン』もSFアクション大作・娯楽映画としてヒットしていました。一方、”泣ける映画”、感動モノがヒットする日本市場では、アメリカと同じような宣伝をしても、ヒットは見込めないだろうと、鈴木さんは頭を抱えてしまいます。

 そんなとき、鈴木さんの目に飛び込んで来たのが、試写を観たスポーツ新聞の記者が書いた映画評の「泣きパニ映画」という造語でした。”泣けるだけの映画でもなく、パニックだけの映画でもない”という意味の「泣きパニ映画」という言葉は、同作の魅力を見事に言い当てていたのです。宣伝チームではこの造語をヒントに、アメリカではフォーカスされなかった”父と娘”の絆を強調し、日本向けに家族愛の物語としてプロモーションを仕掛け、大きな共感を呼ぶことに成功。その結果、『アルマゲドン』の興行収入は135億円に達し、『ディープ・インパクト』を超える大ヒットとなりました。

 映画宣伝にまつわる逸話の他にも、鈴木さんが自身の体験から編み出した仕事術のヒントが詰まった同書。映画業界を目指す人だけでなく、多くのビジネスパーソンにとっても興味深く読める1冊となっています。

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